皆さまこんにちは!サンプランの荻原功太朗です。
去年の4月にインターパークにIKEA進出のウワサを記事にしたところ、予想以上の反響がありましたが、残念ながら現実となったのは全く異なる施設が再開発される運びとなりました😅
過去ログ→【インターパークの明暗を分ける!宇都宮にIKEA進出のウワサ!?】カトレアガーデン宇都宮南は全店閉店へ!再開発はどうなる?
かつてのカトレアガーデン跡地は「アクロスプラザ宇都宮インターパーク」として再開発されることが決まり、工事も始まっていますが、SNSなどを見ていると、明らかにインターパークの集客力は衰退し、商業開発は大きな曲がり角に差し掛かっているのを感じます。
IKEA期待から現実への落差
カトレアガーデンの敷地面積5万4千平方メートルという規模は、IKEAのようなフルスペック店舗の展開には十分な広さがあり、多くの読者の方々からも期待の声をいただいていました。
しかし蓋を開けてみると、決まったのは「アクロスプラザ宇都宮インターパーク」という施設で、もともと閉店した「カトレアガーデン宇都宮」を運営・管理していた大和ハウス系のショッピングモールとなり、メインテナントは埼玉県発の「生鮮市場TOP」という食品中心のスーパーマーケットになる予定です。
インターパーク周辺にお住まいの皆さんには、地域密着型のスーパーとしての役割は重要ですが、インターパーク全体の「広域集客力」という観点では、期待されていた規模感とは大きく異なる結果となりました。
相次ぐ既存店舗の動き
この1年を振り返ると、インターパーク内の既存店舗に大きな変化が見られます。
具体的には、m.f.editorialが2024年10月に完全撤退、ライトオンが2024年8月をもって閉店、同じタイミングでハニーズも区間移転のため8月までの営業となりました。
さらにTSUTAYAも業務の縮小移転を余儀なくされ、ファミリーマート TSUTAYAインターパーク店も4月30日で閉店、FKD内のアメリカ屋も2024年に閉店するなど、この1年だけでも相当数の店舗がインターパークから姿を消しています。
注目すべきは、これらの店舗撤退が単発的なものではなく、短期間に集中していることです。
特にライトオンとハニーズが同時期に動いたことは、インターパーク内での商業環境に何らかの変化があったことを示唆しています。
FKD本館内でも、中核店舗の入れ替わりが激しくなっていることを物語っています。
撤退の規模と影響
これらの撤退を総合すると、アパレル系(m.f.editorial、ライトオン、ハニーズ、アメリカ屋)、書籍・エンタメ系(TSUTAYA)、コンビニ(ファミリーマート)、業種を問わず幅広い分野で店舗の動きが見られます。
これは特定業界の不振ではなく、インターパーク全体の商業環境の変化を示している可能性があります。
30%の危険水域とは
商業施設業界では、空きテナント率が30%に達すると施設運営が極めて困難になると言われています。
この数字が重要な理由は、残存店舗への集客効果が急激に低下し、連鎖的な撤退が始まるためです。
商業施設の魅力は「多様な店舗が集積することによる相乗効果」で成り立っています。
買い物客は複数の店舗を回ることを前提に来訪するため、選択肢が減ると施設全体への来訪動機が低下します。
また、空き店舗が目立つようになると、施設全体に「衰退感」が漂い、それがさらなる客足の遠のきを招く悪循環に陥ります。
現在確認できるだけでも、この1年間で6店舗以上の撤退や移転が発生しており、FKDショッピングモール全体やインターパーク周辺の商業施設の規模を考えると、魅力低下により客足が遠のき、街区全体の衰退が現実的な懸念となってきています。
業界全体の構造変化の影響
これらの店舗撤退は、個別の経営判断だけでなく、各業界の構造変化も反映しています。
ライトオンについては、全国的に店舗数の見直しが進んでおり、最盛期516店舗が現在340店舗に減少、さらなる店舗統廃合が予想されます。
m.f.editorialについても、閉店後は「TAKA-Q 宇都宮ベルモール店をご利用ください」とのことで、同ブランドの展開がベルモールに集約される形になりました。
これは企業側が宇都宮市内での店舗展開を「選択と集中」していることを示しており、インターパークよりもベルモールの方が将来性が高いと評価されていることがうかがえます。
郊外モールを取り巻く構造変化
今回の状況を考える上で、郊外型ショッピングモール全体が直面している構造的な変化を理解することが重要です。
アメリカでは人口が増加している地域でも小売店舗の閉鎖が相次いでおり、その背景にはネット通販の急速な普及があります。
トイザらスのような大手小売チェーンの破綻や、IKEAが郊外大型店から都心型店舗への戦略転換を進めたことなど、世界的に郊外型商業施設のビジネスモデルに変化が起きています。
こうした海外の動向を踏まえると、日本の郊外ショッピングモールにも同様の波が押し寄せることは自然な流れで、これから不採算店の閉店ラッシュと店舗の集約化が進むことは確実でしょう。
ライフスタイルの変化が与える影響
インターパークの集客を支えてきた「週末ファミリーでショッピングモール」という消費パターンに変化が生じてきています。
ガソリン価格の上昇、高齢化の進行、オンラインショッピングの普及だけでなく、昨今は、インフレによる実質賃金の減少が続いていることや、金利上昇でローン負担が増していることで、郊外商業施設への依存度が下がっているのが現状です。
宇都宮市では65歳以上の高齢者が人口の26%を超え、今後さらなる高齢化が見込まれています。
高齢者にとって、広大な駐車場や大型施設内の移動は負担が大きく、より身近でアクセスしやすい商業施設が求められる傾向にあります。
そういった意味では、インターパーク周辺にお住まいの皆さまにとっては、大きな魅力アップの施設として新たなスーパーは期待が持てますが、街区全体の商業開発にとっては大きな転換点であると言えます。
業界全体の転換点
今年6月の記事「【地方を襲う、26年ぶりイオンモール出店ゼロの衝撃!】宇都宮市のコンパクトシティ移行は必要不可欠に!?」でもお伝えしましたが、国内最大手のイオンモールが26年ぶりに新規出店ゼロとなったことは象徴的な出来事でした。
人手不足や建築資材の高騰といった直接的要因もありますが、より根本的には大型ショッピングモール業界全体が拡大期から調整期に入ったことを示しています。
公共交通アクセスの重要性
一方で注目されるのが、LRT(ライトレール)でアクセス可能なベルモールの存在です。
昨年8月の記事「【もし、インターパークの駐車場がすべて有料になったら・・!?】そして、宇都宮市のLRTや公共バスがすべて無料になったら・・!?」でも触れましたが、車を運転しなくてもアクセスできる商業施設の価値は今後ますます高まっていくでしょう。
高齢化社会において、公共交通でアクセス可能な立地は大きなアドバンテージとなります。
また、環境意識の高まりや燃料費の上昇も、こうした立地の価値を押し上げる要因となっています。
地域不動産市場への影響
商業施設の魅力度変化は、周辺不動産価値に直結します。
インターパーク周辺の地価は、これまで商業集積による利便性で支えられてきましたが、その前提が変わりつつあります。
住宅需要への多面的な影響
商業施設の雇用減少は周辺住宅需要にも影響し、「ショッピングモール近くの便利な立地」という価値命題そのものの見直しが迫られています。
具体的には以下のような影響が考えられます。
まず、商業施設で働く従業員やその家族の住宅需要減少です。
FKDショッピングモールやジョイフル本田などで働く数百人規模の雇用が仮に縮小すれば、通勤利便性を重視してインターパーク周辺に住居を構えていた世帯の転出や、新規転入の減少が予想されます。
次に、商業施設の集客力低下による地域活力の減退です。
週末の賑わいや人の流れが減少すると、周辺の飲食店やサービス業にも影響が波及し、地域全体の魅力度が低下する可能性があります。
不動産投資への影響
投資用不動産の観点では、賃貸需要の質的変化に注意が必要です。
これまでインターパーク周辺は、商業施設へのアクセスの良さを理由に選ばれることが多かった立地ですが、今後はより基本的な住環境の質や交通利便性が重視される傾向が強まるでしょう。
特に、単身者向けアパートや若いファミリー向けの賃貸住宅については、商業施設の魅力度低下が直接的に入居率や賃料水準に影響する可能性があります。
一方で、高齢者向けの住宅については、むしろ生鮮市場TOPのような日常利便性の高い施設の方が評価される場合もあり、ターゲット層によって影響は異なってきます。
マイホーム購入への示唆
マイホーム購入を検討される方にとって、いま見られている街の変化は重要な判断材料となります。
「将来の資産価値維持」という観点から、以下の点を慎重に検討する必要があります。
まず、商業施設依存度の高い立地のリスクです。
インターパーク周辺のように特定の商業集積に依存した地域は、その施設の盛衰によって地価が大きく左右される傾向があります。
商業施設が縮小すれば、当然ながら周辺地価にも下落圧力がかかります。
また、将来の売却時期における市場環境の予測も重要です。
10年後、20年後に売却を考える際、果たしてインターパーク周辺の魅力度がどの程度維持されているかは慎重に見極める必要があります。
地域格差の拡大
宇都宮市内でも、長期的視点に立てば、立地による資産価値の格差が鮮明になるのは確実です。
LRTでアクセス可能なベルモール周辺や、JR宇都宮駅周辺の再開発エリアなど、公共交通の利便性が高く、複数の交通手段を選択できる立地の相対的な価値が高まっていくでしょう。
一方で、自動車依存度の高いインターパーク周辺は、高齢化の進行とともに住み手を選ぶ立地になっていく可能性があります。
特に、運転に不安を抱える高齢者や、車を持たない若年層にとっては、アクセス面でのハードルが高くなることが予想されます。
今後の不動産戦略
こうした変化を踏まえ、インターパーク周辺で不動産をお持ちの方や購入を検討される方は、長期的な視点での戦略が重要になります。
既に不動産をお持ちの方については、地域の変化を注視しながら、適切なタイミングでの売却や活用方法の見直しを検討されることをお勧めします。
一方、新規購入を検討される方は、商業施設の動向だけでなく、交通アクセスや生活インフラの充実度など、より多角的な視点での立地選択が求められるでしょう。
何より、日本全国の地方で、今まで進められてきた郊外の広大な敷地を利用した、巨大商業施設の開発がすでにピークアウトしたことをしっかりと受け止めるべきでしょう。
今後の展望、まとめ
インターパークの現状は、全国の郊外型ショッピングモールが直面している課題の一例と言えます。
人口動態の変化、消費行動の多様化、公共交通整備の進展など、複数の要因が商業施設の競争環境を変化させています。
IKEA進出への期待から「生鮮市場TOP」中心のアクロスプラザへという現実は、地域のニーズや市場環境の変化を反映したものとも考えられます。
大型専門店による「非日常」から、日用品スーパーによる「日常」への転換は、地域住民の価値観やライフスタイルの変化を表しています。
不動産投資や住宅購入を検討される際は、こうした長期的な環境変化を踏まえた判断が重要になります。
目の前の利便性だけでなく、10年後、20年後の地域の姿を想定した選択が求められる時代になったと言えるでしょう。
同じ宇都宮市内でも、交通アクセスや立地特性によって今後の発展可能性は大きく異なる可能性があります。
インターパークの地価や再開発の動向については、宇都宮市郊外の不動産市場全体への影響が大きく、今後も注意深く観察していく必要があるでしょう。
今回の内容が皆さまのお役に立てば幸いです🙌
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