誰もが気軽にマイカーに乗れる時代となり、公共交通機関が充実していない地方では、「マイカー依存社会」となり、駐車場が人の移動に大きな影響を与えるようになりました。
「クルマ社会」の浸透とともに、宇都宮市のような地方都市では、無秩序に市街地が拡散するスプロール化現象が問題となり、街はスカスカ、スポンジ化し、都市は非効率化し、維持管理コストが大幅に上昇してしまいました。
そして、人の流れが拡散するなか、街の都心部は活気を失ってしまいました。
大店法が見直されたことで、郊外には、巨大な無料駐車場を設けたショッピングモールが次々と開発され、移動手段をマイカーに依存する人々の流れは、都心から郊外へと姿を変えました。
マイカー移動への依存度が強まり、商業施設の無料駐車場は当たり前の付加サービスと考える方も増えました。
しかし、よく考えてみると、街の都心部は地価も固定資産税も高く、商業店舗が顧客用に、有料か無料を問わずとも、専用駐車場を設けるのすら容易ではありません。
一方、郊外の商業施設は、もともと何もなかった僻地に幹線道路を接続させただけなので、地価も固定資産税も安く、巨大な無料駐車場を設けるのは容易です。
郊外はマイカーでの集客ありきで店舗開発されていますから、施設存続の生命線とも言えるのが停めやすく大型の無料駐車場になりますが、駐車場の確保の点を考えると、郊外と中心市街地では駐車場の確保に大きな差があることは明確です。
「クルマ社会」における無料駐車場の優位性は圧倒的で、そこを是正することで、都市の構造問題に切り込むことができると考えられます。
徒歩・自転車&公共交通の利用者に不公平な無料駐車場
そもそも同じ商業施設でも、大店法の改正後に新たに郊外に開発された巨大な施設と、中心市街地の商業施設では、駐車場の料金に関して、本来負担するべき額を負担してない、不公平な制度になっています。
クルマ依存と公共交通の衰退をもたらしている原因の1つとして、駐車場の料金が無料であることが大きな要素となっています。
それにより、公共交通の運賃の方が、マイカーを使用して郊外の店舗に行くより、費用が高くなることが多く、マイカー利用を促す動機になっています。
昨今は、国を上げて、CO2の削減やSDGs(持続可能な開発目標)を声高に掲げている状況からすると、マイカー利用を促進させる不公平な点は是正されるべきでしょう。
また無料駐車場は、自転車等で来訪する駐車場非利用者にとって費用負担が不公平となる側面もあります。
駐車場の料金が無料であることは、駐車場利用者だけ駐車料金を値引きして優遇していることになると共に、駐車場の建設・維持・管理費用は施設使用料や物品の販売価格に上乗せされ、駐車場を使わない施設利用者からも間接的に徴収していることになるため、公平性の点で大きな問題であるともいえます。
今までは自動車業界や大手流通業者に配慮していた面もあったでしょうが、国策としてのCO2削減やSDGsと矛盾しているマイカー移動を本気で抑制し、コンパクトシティ構想を推し進め、公共交通の利用を促したいなら、無料駐車場に規制をかけることは大きな意識改革の兆しとなるでしょう。
もし、インターパークの駐車場が無料でなくなったら?
もし国がなんらかの規制をかけて、全国にある一定規模以上の商業施設に無料駐車場を禁止したらどうなるでしょうか?
仮に、宇都宮市のインターパークエリアの施設が、買い物してもしなくても、駐車料金が一律100円かかると考えてみてください。
本来は、駐車場を利用する人と、利用しない人がいるなら、利用した人が駐車料金を負担するのは至極当然なはずです。
しかし、今は無料駐車場が当たり前であることから、利用者サイドからは大きな反発を招くのは間違いないでしょう。
かつてレジ袋が無料だったことを思い出してください。
今ではすっかり有料のレジ袋に慣れ、マイバックを持つのも定着しました。
これによりどれほど環境負荷が減ったかは正直、疑問ですが、一定の意識変化は促されたことは間違いありません。
それと比べると、ショッピングモールでは当たり前だった無料駐車場を、たった100円だけでも負担させることは、有料レジ袋を超える大きなインパクトになることでしょう。
巨大ショッピングモールを運営する大手流通業者からは反発があるでしょうが、CO2削減やSDGsを出されては、100円くらいの負担を求めることは受け入れざる得ないでしょう。
仮に、たった100円でも郊外のショッピングモールが駐車料金を徴収するようになっただけで、集客に大きな影響がでることになるのは確実です。
それだけ無料の効果は絶大なのです!
レジ袋だって、買ったところでたかだか3円とか5円くらいなのに、今や多くの方がマイバックを持っていますからね。
ちなみにマイバックの値段と買い替え頻度を考えると、有料のレジ袋を買ったほうが得だとの研究もあります😅💦
無料駐車場の規制と同時に公共交通の無料化が行われたら!?
無料駐車場の規制だけでなく、セットで公共交通の無料化に国策として予算を使えば効果は絶大でしょう。
例えば、マイカー依存の高い地方都市に、週末や祝日だけ公共交通を無料化し、国が予算を負担すれば、マイカー利用を大幅に抑制できることは確実です。
宇都宮市でもLRTと市内のバスが週末無料だったら、渋滞でイライラする郊外のモールに遊びに行く人は確実に減るでしょう。
郊外のショッピングモールと中心市街地の店舗を公平に競わせる意味でも、無料駐車場を規制し、一律100円程度を負担させるのは妥当だと思います。
また、JR宇都宮駅から運行しているインターパークまでの無料バスと、有料の公共交通であるLRTでベルモールまで行くのを考えても、無料は不公平だと見えます。
国策として本気でCO2削減やSDGsを推進し、コンパクトシティ政策に舵を切るなら、ショッピングモールの開発がピークアウトした今、無料駐車場の規制と公共交通無料化の絶好のタイミングであると思います。
過去ログ→【地方を襲う、26年ぶりイオンモール出店ゼロの衝撃!】宇都宮市のコンパクトシティ移行は必要不可欠に!?
ネット通販も「送料無料」の表示規制が?
ネット通販も昨今は、「送料無料」表示の規制を配送業者サイドから求められています。
→通販「送料無料」表示、規制見送り コストの説明要請(日本経済新聞)
ネット通販で配送料無料は、商品代金に送料が含まれていることは明白ですが、表示を別にすることにより割高感が出ることで、リアル店舗にとってはプラスになるでしょう。
ただ、ネット通販ではすべての利用者が配送サービスまで含めた購入となるため、利用する人と利用しない人のいる無料駐車場の規制とは大きな違いがあります。
最初は一定規模以上の大型店だけに無料駐車場の規制をかけ、徐々にショッピングモールや都市郊外の商業施設をコンパクトシティ化の構想に合わせて、集約していくべきでしょう。
現状ショッピンモールは、ネット通販との競争が激化してきており、採算ギリギリの店舗も増えています。
日本はすでに人口減少が加速する局面を迎えており、いずれショッピンモールも廃業ラッシュになるのは目に見えています。
結果的に、郊外の商業施設の再規制、コンパクトシティ化による中心市街地の再活性化、ネット通販の拡充へと舵を切らざる得ないでしょう。
ニューノーマルな時代を意識する
ここ数年で、真夏の気温が40℃くらいまで上昇するのは珍しいことではなくなりつつあります。
それだけ、地球環境も急速に変化しています。
環境意識の高まりから、世界各国でマイカー利用を規制する動きも増えてきています。
また、日本は避けて通れない、深刻な少子高齢化と人口減少の問題を抱えており、「現状維持」、「今まで通り」の考えは通用しなくなってきており、すでにニューノーマルな時代を迎えていることを自覚するべきです。
宇都宮市で路面電車としては75年ぶり、全線新設のLRTライトレールへのダイナミックな公共開発が行われネットワーク型コンパクトシティ化に舵を切ったことが、全国で注目を集めていいます。
国内の人口問題は深刻で、今までの価値観を引きずったまま、システムの現状維持を図ろうとも、物理的に不可能です。
環境問題を最優先し、庶民に不評なレジ袋有料化のような政策が、続々と打ち出されることも十分に考えられます。
いずれにしても、お釈迦様が説いたようにこの世は「諸行無常」。
現実存在はすべて、姿も本質も常に流動変化するものであり、一瞬といえども存在は同一性を保持することはできません。
過ぎた良き時代の哀愁に浸って、不平不満を抱くより、ニューノーマルな時代の変化を楽しむくらい柔軟な思考を持つほうが、賢明ではないでしょうか🙌
★荻原功太朗の業務について★
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