皆さま、こんにちは!サンプランの荻原功太朗です。
宇都宮パルコが閉店して早5年以上が経過し、宇都宮市の街の顔でもあり、聖地でもある一等地の空きビルがついに動き出しました!
スポーツ用品販売大手のゼビオが本社機能を移転し、複数のスポーツ小売店を入居させる計画が発表されています。
→宇都宮パルコ跡、複数のスポーツ小売店入居へ 本社移転のゼビオ検討 ビル下半分に商業機能(下野新聞)
5年以上、明かりが灯らなかったビルににもようやく光が差し込みそうで何よりです。
しかし、現状、中心市街地は時代の変化にされされており、街に求められる商業機能も大きく変化しています。
今回は、ゼビオ進出と中心市街地に求められる施設について考察し、街の課題について考えてみます。
5年の空白を経て、ついに再始動
宇都宮パルコは2019年5月に閉店し、中心市街地の顔ともいえる建物が長期間空き状態になっていました。
そこに、全国に約880店舗を展開し、年間売上高約2500億円を誇るゼビオホールディングスが2025年1月末に建物を取得し、新たな活用方法を模索しています。
発表された計画によると、ビルの半分程度に商業機能を持たせ、複数のスポーツ小売店を入居させるとのことです。
また、スポーツ関連団体や企業が利用できるシェアオフィスの設置も検討されており、スポーツを通じた地域活性化の拠点づくりを目指しているようです。
立ちはだかる現実的な壁
しかし、この計画を冷静に見つめると、いくつかの大きな課題が見えてきます。
現在の中心市街地の状況を考えると、特定のスポーツショップだけで十分な集客を図ることは、なかなか難しいのが現実です。
中心市街地の最大の問題は、やはり交通アクセスでしょう。
LRTの西側延伸工事はまだ着工の段階にも至っておらず、公共交通機関による利便性向上は当面期待できません。
多くの人がマイカーでアクセスすることを考えると、駐車場料金を払ってまで中心街に買い物に来てもらうのは相当ハードルが高いのは誰の目からも明らかです。
また、無料駐車場をある程度確保できたとしても、駐車のしやすさや、建物へのアクセスを考えると、郊外の巨大駐車場を備えたショッピングモールが圧倒的に集客には有利です。
郊外のショッピングモールなら無料駐車場があり、同じようなスポーツ用品店も入っています。
よほど特別な魅力あるショップでもない限り、わざわざお金を払って、停めにくい駐車をしてまで中心市街地に来る理由を見つけるのは困難です。
駐車場代や駐車のしやすさに対する心理的なハードルは、私たちが思っている以上に高いものです。
中心市街地に本当に必要なもの
それでは、中心市街地の活性化には何が必要なのでしょうか。
近年、宇都宮市中心部では分譲マンションの供給が着実に増えています。
それに伴い、「街暮らし」する住民も増えています。
そして今後も高齢化が進むにつれて、車の運転が難しくなった方々の街住まいへの需要は、さらに高まることが予想されます。
こうした現実を踏まえると、住んでいる人たちのニーズに応えることが何より重要になっています。
具体的に真っ先に思いつくのが、高級惣菜を豊富に揃えた質の高いスーパーマーケットです。
また、子育て世代の増加を見込んで保育施設や学童保育といった子育て支援施設も欠かせません。
さらに、高齢者が気軽に集える健康増進施設やカルチャーセンター、図書館の分館なども住みやすさを大きく向上させる要素です。
そして、マイカーがなくてもこれらの施設を結ぶ小型のコミュニティバスやシェアサイクルといった域内交通の充実も重要になってきます。
この中でも、特にスーパーマーケットは毎日の生活に直結するため、最も優先度が高い施設だと考えられます。
質の高いスーパーが街を変える
現在、街なかの食料品店といえばドン・キホーテが主力となっていますが、正直なところ、これだけでは住む街としての魅力に物足りなさを感じます。
ドン・キホーテは確かに便利な存在ですが、商品構成や店舗の雰囲気が、すべての住民層のニーズに合うわけではありません。
特に、都心部の分譲マンションを購入できる生活にゆとりのある世帯にとって、質の高い食材や惣菜を求めるとなると、東武百貨店まで行かなくてはならず、選択肢が限られているのが現状です。
理想的なスーパーマーケットとは、単に高額な商品を並べることではありません。
地元の新鮮な野菜や肉類、魚介類を使った手作り惣菜、老舗の味を受け継いだ和惣菜、健康志向の方向けの有機食材など、多様なニーズに応える品揃えが大切です。
中心市街地に住むということは、郊外のような大型冷蔵庫や冷凍庫を置けない住環境の方も多いです。
そのため、必要な分だけ購入できる小分けパックや、その日の食事に困らない充実した惣菜コーナーは、実用面でも大きな価値があります。
徒歩圏内に住む高齢者の方々にとって、日常的な買い物ができる良質なスーパーマーケットは生活の質を左右する重要な要素です。
重い荷物を持って遠くまで買い物に行く負担は相当なもので、近くに信頼できる食材を購入できる場所があることは、住み続けられる街の条件として欠かせません。
また、質の高いスーパーマーケットは単なる買い物の場を超えた機能も持ちます。
地域住民の情報交換の場となり、コミュニティの結節点としての役割も果たすのです。
朝の買い物で顔なじみの店員さんと挨拶を交わし、旬の食材について教えてもらう。
そんな日常的な交流が、街に住む魅力を高めていきます。
地元の人々が日常的に利用できる施設があることで、自然と街に人の流れが生まれ、それが他の商業施設の集客にもつながるはずです。
朝の買い物ついでにカフェに立ち寄る、夕方の食材購入の帰りに本屋で雑誌を見る。
こうした自然な回遊が街全体の活性化を支える基盤となるのですが、残念なことにここ20年〜30年で中心市街地に住む人達が回遊を楽しめ場所が数多く失われてしまいました。
まとめ:課題はあるが期待したい
ゼビオによる宇都宮パルコ跡地の再生計画を見ると、正直なところ集客の課題は大きいでしょう。
スポーツ用品という特定の分野だけで、中心市街地全体の活性化を期待するには荷が重すぎます。
商業店舗の苦戦は、街の構造的な問題ですから、ゼビオの勇気ある新たな挑戦をぜひ応援したいです。
しかし、LRTが開業したものの、宇都宮市民の足はやはりマイカーが中心です。
実際、この交通事情がパルコ撤退の大きな理由でもありました。
根本的な問題が変わらないまま、また同じような商業施設を作っても、結局は同じ壁にぶつかってしまう可能性が高いのではないでしょうか。
それでも、5年間も空っぽだった建物に再び明かりが灯ることは、間違いなく良いニュースです。
スポーツを軸にした街づくりという発想は魅力的ですし、シェアオフィスなど様々な使い方を考えているのも評価できます。
街の再生は時間のかかる取り組みですし、民間企業だけで成せる技ではありません。
ゼビオの挑戦をきっかけに、民間企業だけでなく行政も一緒になって、本格的な街づくりが動き出すことを期待しています。
宇都宮の中心市街地が、住む人も働く人も訪れる人も、みんなが「いい街だな」と思える場所になっていくことを願っています!
今回の内容が皆さまのお役に立てば幸いです🙌
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