皆さま、新年明けましておめでとうございます。
昨年末、日銀が政策金利を0.75%に引き上げ、30年ぶりの金利水準となりました。
私が宇都宮市で不動産業に携わり始めた2002年、日本はすでに超低金利時代に突入していました。
20年以上この業界で仕事をしてきて、「金利が上がり続ける」という局面を本格的に経験するのは、初めてのことです。
小学生の頃に体験したバブル好景気で金利が上がっている局面と、世間の雰囲気は真逆です。
実質賃金の低下がつづくなか、止まらないインフレ。
通貨防衛のための利上げ。
2026年、宇都宮市の不動産マーケットは歴史的な転換点を迎えるのは確実な情勢です。
しかも、東京などの大都市より先に、地方都市である宇都宮市に影響が出始める可能性が高いのです。
今回は、売りたい方・買いたい方・不動産をお持ちの方、それぞれの立場から2026年の展望をお伝えします。
目次
- [2025年の振り返り:低金利時代の終焉が確定した年]
- [2026年の金利環境予測:専門家の見解も分かれる「不透明な1年」]
- [宇都宮市場の特殊性:地方都市が先に影響を受ける理由]
- [「価格下落」より先に来る「売れない・買えない」の時代]
- [住宅購入を検討されている方へ]
- [売却を検討されている方へ]
- [不動産オーナー・相続を控えている方へ]
- [エリア別展望:格差拡大が加速する1年]
- [まとめ:2026年は「確実性」を重視する年に]
2025年の振り返り:低金利時代の終焉が確定した年
2025年12月は、日本の不動産マーケットにとって歴史的な転換点となりました。
高市政権の積極財政策で、円安が進み、長期金利も急騰。
日銀は政策金利を市場に押され、0.75%に引き上げたような格好で、30年ぶりの金利水準に達し、更に利上げが続きそうな情勢です。
過去ログ→【日銀が利上げ!宇都宮市の不動産マーケットは歴史的な大転換へ!】外国人投資家はまだまだ、インフレ、円安が加速すると警告!?
長期金利も2.1%まで上昇し、こちらは26年ぶりの高水準となっています。
私が不動産業界に入って以来、「金利は低いのが当たり前」「金利は上がらない」という前提でビジネスが成り立っていました。
住宅ローンを組むお客様も、変動金利を選ぶ方が圧倒的多数でした。
その前提が、2025年に明確に崩れたのです。
2026年の金利環境予測:専門家の見解も分かれる「不透明な1年」
では、2026年の金利はどうなるのでしょうか。
一般庶民には、長期的な物価高加速への警戒感が広がっています。
記事リンク→円安30年に幕引く「地動説」 市場激変に備えを(日本経済新聞)
先月の日銀会合の意見要旨を見ると、政策委員の間で「さらなる金利引き上げと金融緩和の段階的な縮小が適切」という認識で広く合意されていることがわかります。
さらに注目すべきは、数人の政策委員が「実質金利が均衡水準を大きく下回っているため、将来の会合まで行動を遅らせることはかなりのリスクを伴う」と警告していることです。
つまり、日銀内部でも「利上げを急ぐべき」という意見が出てきているのです。
植田総裁は「賃金と物価がほとんど変化しない、いわゆるゼロノルムの世界に戻る可能性は大きく低下している」と述べました。
市場では次の利上げは「2026年前半」との予想が多く、7月には政策金利が1.0%に達するという見方も出ています。
確実なのは、「利上げは続く」ということです。
そして見逃せないのは、長期金利の急上昇です。
記事リンク→長期金利上昇、一時2.125% 日銀利上げ加速観測で債券売り(日本経済新聞)
すでに10年国債金利は2%の節目をあっさり超えて、2.1%台に乗せました。
約26年10か月ぶりの高水準です。
約1年前の2024年末は1.11%だったので、そこから+1.0%の上昇。わずか1年でこれほど上がるのは異例の早さです。
住宅ローンへの影響も具体化してきました。
多くの銀行は2026年4月に変動金利を0.25%引き上げ、2026年7月以降の返済に反映される見込みです。
30年間続いた「金利は下がる・上がらない」という期待が、「上がる」に反転しました。この期待の反転が、人々の行動を大きく変えることになります。
宇都宮市場の特殊性:地方都市が先に影響を受ける理由
ここで重要なのは、宇都宮市のような地方中核都市の特殊性です。
「東京の不動産価格がまだ上がっているから、宇都宮も大丈夫でしょ?」
そう思われる方もいるかもしれません。しかし、現実は逆です。
地方都市は、大都市より先に金利上昇の影響を受けます。
なぜでしょうか。
東京23区には「クッション」があります。
富裕層や外国人投資家による現金購入が一定の割合を占めているため、金利が上がってもローンに依存しない買い手が存在するのです。
いわば、金利上昇の衝撃を吸収できる「余力」があるわけです。
しかし、宇都宮市にはその「クッション」がほとんどありません。
宇都宮市で取引される不動産のほとんどは、住宅ローンを利用した実需購入です。
現金で不動産を購入できる富裕層や、投資目的の外国人投資家は極めて限られています。
さらに、宇都宮市場には以下のような構造的な課題があります。
ローン依存度が極めて高い ー 購入者の大半が住宅ローンを利用。金利上昇の影響を直接受けます。
賃金水準が東京より低い ー 同じ金利上昇でも、手元に残るお金への影響は宇都宮市の方が大きくなります。
人口減少による需要の構造的縮小 ー 団塊世代の高齢化で、今後5〜10年で「空き家予備軍」が急増します。
過去ログ→【宇都宮市で「空き家予備軍」が急増中!】団塊世代の高齢化で2030年までに何が起こるのか?
つまり、金利上昇の影響を「そのまま受ける」構造なのです。
東京で起きていることを見て安心するのではなく、宇都宮市独自の市場環境を冷静に見極める必要があります。
「価格下落」より先に来る「売れない・買えない」の時代
「金利が上がると不動産価格は下がるんですよね?」
お客様からよく聞かれる質問です。
確かに、教科書的にはその通りです。
しかし、宇都宮市のような地方都市では、もう少し複雑なことが起きると予想しています。
価格が下がる前に、「売れない」が先に来る可能性が高いのです。
どういうことでしょうか。
金利上昇により、買い手の購買力が低下します。
今まで4500万円の物件を検討できた世帯が、4000万円の物件しか検討できなくなる。
しかし、売り手は「去年までこの価格で売れていたから」という感覚から、すぐには価格を下げません。
結果として何が起きるか。
売り物件は増えるが、買える人がいない。
実はすでに、首都圏の中古マンションの取引データを見るとすでにその兆候が出ています。
見た目の価格はなかなか下がらないのに、取引そのものが成立しない。
売りたい人と買える人がマッチしなくなるのです。
連日のマスコミの報道で新築住宅の価格高騰を見て、中古住宅を「査定額より高く売りたい」と考える人が増えています。
しかし、買い手の購買力という「天井」がある以上、その天井を超える価格では売れません。
さらに、金利上昇期待が定着すると、買い手の行動も変わります。
「今のうちに買おう」という駆け込み需要は一時的です。
その後、マーケットに在庫が増えだしたら、「金利が上がって予算が減った」「もう少し待てば価格が下がるかも」という買い控えが続きます。
一方、売り手は「売れるうちに売ろう」と考え、売り物件が増加します。
買い控えと売り物件増加が同時に起きる。
これが2026年の宇都宮市不動産マーケットで起きる可能性が高いシナリオです。
住宅購入を検討されている方へ
では、住宅購入を検討されている方は、2026年どのように動けばよいのでしょうか。
購買力の低下を正確に把握する
まず認識すべきは、金利上昇により「同じ年収でも借りられる金額が減る」という現実です。
ざっくり言えば、金利が1%上がると、同じ返済額でも借りられる金額は約1割減ります。
4500万円借りられたはずの世帯が、4000万円しか借りられなくなる。これが金利上昇の現実です。
さらに、すでに変動金利で住宅ローンを組んでいる方は、返済額の増加にも備える必要があります。
過去ログ→【ペアローンで住宅購入、ちょっとまって!?】宇都宮市内でもペアローンが急増中!17年ぶり金利上昇でリスクは最大級に!?
「買える物件」の選択肢が狭まる
栃木県の新築マンション年収倍率は、前年の8.88倍から12.03倍へと急騰しています。
もはやサラリーマン1馬力では新築物件が購入できない時代に突入しています。
過去ログ→【栃木県の新築マンション年収倍率が12倍超に急騰!】中古需要は増加、しかし恩恵を受けるのは一部エリアだけ?宇都宮市の不動産市場の現実とは・・
新築を諦めて中古物件を検討する層が増加しており、程度の良い中古物件への需要は高まっています。
つまり、「新築は無理だから中古で」と考える人が増えた結果、条件の良い中古物件には買い手が集中しやすくなっています。
良い物件ほど早く売れてしまう傾向が強まっていますので、中古を検討される方は、気になる物件が出たら早めに動くことが重要です。
2026年に購入を検討するなら
金利上昇局面では、「確実性」が何より重視されます。
「将来の開発期待」「いつか延伸されるLRT」といった不確実な要素に賭けるのではなく、今現在の利便性が確保されているエリア、実績のある立地を選ぶことが重要です。
また、無理のない借入額で、金利がさらに上昇しても返済できる計画を立てることが必須となります。
売却を検討されている方へ
売却を検討されている方にとって、2026年は重要な判断の年になります。
「売りたいのに売れない」時代が来る
これまでの20年間、不動産を売りに出せば、比較的スムーズに買い手が見つかる時代が続いていました。
低金利で住宅ローンが組みやすく、「買いたい」と思った人が実際に「買える」状況だったからです。
しかし、2026年以降、この状況が大きく変わります。
金利上昇で住宅ローンの審査が厳しくなり、借りられる金額も減っていきます。
「この物件が欲しい」と思っても、ローンが通らない。
あるいは、希望額まで借りられない。
「買いたい人」はいても、「買える人」が減っていく。
結果として、売り物件は増えるのに買い手がなかなか見つからない、という状況が本格化すると予想されます。
「売れるうちに売る」という選択肢
人気エリア以外の物件を所有されている方にとっては、中古需要が比較的旺盛な今の市場環境は、むしろ貴重な売却機会と言えるかもしれません。
金利上昇が本格化し、購買力がさらに低下すれば、「売りたい時に売れない」「希望価格では売れない」という事態が常態化します。
過去ログ→【相続税を払う人が10人に1人の時代へ!】宇都宮市で親の不動産を相続したら、「とりあえず賃貸」が危険な理由
価格設定の重要性が増す
ここで、取引が減っていくプロセスを整理してみましょう。
まず、金利上昇で買い手の予算が下がります。今まで4500万円まで検討できた人が、4000万円までしか検討できなくなる。
一方、売り手は「去年までこの価格で売れていたから」と、従来の価格で売り出します。
すると、売り出し価格4500万円の物件に対して、4000万円までしか出せない買い手しかいない、という状況が生まれます。
価格が折り合わないので、取引が成立しません。
売り手は「もう少し待てば買い手が現れるかも」と考え、価格を下げずに待ちます。その間にも新たな売り物件が市場に出てきます。
結果として、売れない物件が市場にどんどん溜まっていく。これが「取引が減る」「市場が動かなくなる」という状態です。
不動産は株式と違って、「今日の相場」がすぐにわかるわけではありません。
実際に取引が成立して初めて「この価格で売れた」とわかります。
取引自体が減ると、「今いくらで売れるのか」という相場観すら掴みにくくなるのです。
こうした状況では、価格設定が極めて重要になります。
「去年はこの価格で売れていたから」という感覚は通用しません。
買い手の購買力という「天井」を正確に把握し、その天井の範囲内で価格設定をしなければ、いつまでも売れないという事態に陥ります。
私が20年以上、取引現場で見てきたのは、「価値があって売れる物件」と「価格を下げても売れない物件」の2種類があることです。
価格を下げれば売れるという単純な話ではないのです。
だからこそ、売れる市場環境のうちに判断することが重要になります。
不動産オーナー・相続を控えている方へ
「とりあえず賃貸」のリスクが高まる
相続した実家、転勤で空いた元マイホーム。
「とりあえず賃貸に出しておこう」という判断をされる方は多いです。
しかし、2026年以降、この「とりあえず賃貸」のリスクが高まります。
賃貸に出している間も、建物は老朽化が進みます。
将来売却しようとした時、買い手の購買力は今より下がっている可能性が高い。
さらに、人口減少で賃貸需要自体も縮小していきます。
空き家リスクの顕在化
2025年、団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となりました。
今後5〜10年で、介護施設への入居や子供との同居が本格化します。
宇都宮市内の単身高齢者世帯22,505世帯のうち、仮に半数が今後10年間で施設入居や子供との同居を選択した場合、約11,000戸の実家が新たに空き家になる計算です。
これは現在の空き家数(5,587戸)の約2倍に相当します。
相続対策の環境変化
2025年11月には、投資用不動産の相続税評価ルールを根本から変える方針が発表されました。
過去ログ→【不動産業界、騒然!地主さん・富裕層の相続対策に大きなメスが!】宇都宮市内でできる賢い相続対策とは!?
「相続直前に慌てて不動産を買って節税する」という手法は、もう通用しなくなります。
相続対策では、長期的な視点での資産設計が、これまで以上に重要になってきています。
エリア別展望:格差拡大が加速する1年
2026年、宇都宮市内のエリア格差はさらに拡大すると予想しています。
JR宇都宮駅徒歩5分圏内
このエリアは引き続き堅調に推移すると予想されます。
新築マンションを手がける会社も、駅徒歩5分圏内でなければ開発しないという方針を示すところが増えています。
供給が限られることで、希少性が高まる構図です。
ただし、金利上昇により購入層の購買力は確実に低下するため、価格の急激な上昇は期待できません。
横ばいから緩やかな上昇にとどまると予想されます。
駅東側LRT沿線エリア
LRT西側延伸の延期により、相対的な優位性が高まります。
開発や購入の動きが東側に集中することで、緩やかな上昇基調は続くと予想されます。
今年、LRT沿線ではアークタウン宇都宮が、3月頃開園の予定となっています。
過去ログ→【LRT沿線の魅力アップ!新たなランドマーク「アークタウン宇都宮」が来年開園!】新公園開発の経済効果を考えてみたら!?
期待の施設の開園効果で、LRT沿線の魅力がさらに高まるのは確実です。
しかし、「LRT効果」への過度な期待は、現実的な購買力の低下で修正されることが予想され、これまでのような急激な上昇は期待できないと見込まれます。
実際に住む人の需要に支えられた、地に足のついた相場形成となるでしょう。
駅西側・LRT延伸予定エリア
LRT西側延伸が2036年まで延期され、さらに金利上昇が続く中、駅西側の不動産需要には大きなブレーキがかかることが予想されます。
過去ログ→【宇都宮市のLRT西側延伸、2036年に開業延期で事実上の計画凍結か!?】知事も弱気の発言で先行きの見通しはどうなる!?
また、県庁前の県有地や、県美術館や図書館の再開発の行方次第で、相場の方向性が決まってくるでしょう。
リニア新幹線の発着駅となる名古屋駅の駅前ですら再開発が頓挫し、全国各地で公共工事の入札不調が相次ぐ事態を見れば、行く末は自ずと見えてきます。
記事リンク→名鉄「寝耳に水」の再開発中断 見誤った建設インフレ、時機逃す(日本経済新聞)
「いつか再開発される」「いつか延伸される」という期待だけで価格が形成されているエリアは、その期待がしぼむとともに調整局面を迎える可能性があります。
郊外・公共交通から遠いエリア
最も厳しい状況が予想されるのは、郊外や公共交通から遠いエリアです。
バス運転士不足の影響で路線の減便・廃線が続けば、JR宇都宮駅周辺とLRT沿線への需要集中がさらに強まります。
人気エリア以外の物件を所有されている方は、早めの判断が求められる局面です。
まとめ:2026年は「確実性」を重視する年に
2026年の宇都宮市不動産マーケットは、30年ぶりの金利上昇という歴史的な転換点の中で、大きな構造変化を迎えます。
東京より先に、実需主体のマーケットである宇都宮市のような地方都市で最初に影響が出始める可能性が高い。
「価格下落」より先に「売りたくても売れない」状況が来る可能性が高い。
売り物件は増えるが、買える人がいない状況が本格化する。
これが、宇都宮市内の不動産マーケットを長年現場で見てきた私の2026年予測です。
住宅購入を検討されている方は、無理のない借入額で、今現在の利便性が確保されているエリアを選ぶ。
売却を検討されている方は、買い手の購買力が低下する前に、早めの判断を検討する。
地主さん、資産家の皆さんは、短期的な相続対策網が封じられる傾向のなか、「とりあえず」ではなく、長期的な視点で資産設計を見直す。
「いつか金利が下がる」「いつか開発される」という淡い期待ではなく、金利負担の重さと市場環境の変化を冷静に見極めることが、これまで以上に重要になると見ています。
2026年は「確実性」を重視する年。
皆さまにとって、良い判断ができる1年になることを願っております。
今回の内容が、皆さまのお役に立てば幸いです🙌
本記事は2026年1月4日時点の情報に基づいています
★荻原功太朗の業務について★


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