【栃木県の新築マンション年収倍率が12倍超に急騰!】中古需要は増加、しかし恩恵を受けるのは一部エリアだけ?宇都宮市の不動産市場の現実とは・・

2025年12月12日金曜日

宇都宮市でマイホームを 宇都宮市のLRTについて 宇都宮市の不動産と街の動向 不動産売却

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 新築マンションの価格が、ついに一般的な会社員家庭では手が届かない水準に達しました。

記事リンク→新築マンション、24都道府県で年収の10倍超に 「1馬力」では買えず(日本経済新聞)

栃木県では、年収倍率が前年の8.88倍から12.03倍へと急騰し、全国でも最大級の上昇率を記録しています!

中古市場への需要シフトが進む一方で、その恩恵を受けられるエリアは極めて限定的という現実があります。

今回は、中古物件の需要予測と、売り時について深堀りしてみます。

目次

  • 新築マンションが「1馬力」では買えない時代に
  • 政府も認めた「中古住宅シフト」の流れ
  • 後期高齢者の都市部移住が加速、宇都宮市にも影響が
  • 中古需要増加の恩恵を受けるのは一部エリアだけ
  • 総需要は確実に減少している現実
  • まとめ

新築マンションが「1馬力」では買えない時代に

2025年12月8日の日経の冒頭記事では、興味深いデータを報じられています。

不動産調査会社の東京カンテイによると、2024年に新規分譲された新築マンションの平均価格(70平方メートル換算)を都道府県ごとの平均年収で割った「年収倍率」が、全国の過半にあたる24都道府県で10倍を超えたのです。

特に注目すべきは栃木県のデータです。

前年の8.88倍から12.03倍へと急騰し、これは全国でも最大級の上昇率となりました。

この数字が意味することは何でしょうか。

住宅ローンは従来、年収の5倍以下が、無理のない現実的な物件価格の上限目安でした。

しかし昨今は、物件価格の高騰を受け、ちょっとの変動でも生活に深刻な影響が出る、8倍超えも珍しくなくなりつつあります。

しかし驚くことに新築マンションは、8倍さえ軽く凌ぐ、年収倍率12倍という価格です。

つまり、夫婦どちらか一人の収入では新築マンションを購入することが困難になっただけでなく、ペアローンでさえ、新築マンションの購入そのものが困難になりつつあることを示しています。

私が宇都宮市で20年以上この業界で仕事をしてきて、ここまで新築と一般世帯の購買力が乖離した状況は初めてです。

以前のブログでもお伝えしたペアローンのリスクを考えると、無理をしてでも新築を購入しようとする動きには注意が必要です。

過去ログ→【ペアローンで住宅購入、ちょっとまって!?】宇都宮市内でもペアローンが急増中!17年ぶり金利上昇でリスクは最大級に!?

では、新築が買えなくなった実需層はどこへ向かうのでしょうか。

答えは明白です。中古市場です。


政府も認めた「中古住宅シフト」の流れ

興味深いことに、この市場の変化を政府も明確に認識し、政策で後押しする方針を打ち出しました。

記事リンク→住宅ローン減税5年延長 政府調整、中古住宅向け支援も手厚く(日本経済新聞)

政府は住宅ローン減税を5年間延長し、中古住宅への支援を大幅に拡充する方針であることが報じられています。

具体的には、中古住宅の減税対象となるローン限度額の引き上げ、減税適用期間の10年からの延長、そして子育て世帯や若年層への上乗せ措置を新築だけでなく中古にも適用する案が検討されています。

なぜ政府はここまで中古住宅を手厚くするのでしょうか。

国交省の統計では、年間の戸建てと分譲マンションの流通戸数に占める中古の比率は、2014年の33.9%から2024年には43.6%まで急上昇しています。

つまり、新築価格の高騰により、すでに市場では中古住宅へのシフトが進行しており、政府はこの流れを追認し、さらに加速させようとしているのです。

以前のブログでもお伝えしましたが、宇都宮市内でも中古物件への問い合わせが明らかに増えています。

過去ログ→【宇都宮市で中古物件の需要が急増中!】実質賃金マイナス&新築高騰で全国で中古マーケットが活況に!

「新築は予算オーバーだけど、築5年以内なら検討したい」という声を頻繁に聞くようになりました。


後期高齢者の都市部移住が加速、宇都宮市にも影響が

中古需要を押し上げそうな、もう一つ、見逃せない変化があります。

通院などの利便性を求め、75歳以上の後期高齢者の「老後移住」が活発化していることを報じられています。

記事リンク→終の棲家を求め都市へ 75歳以上の移住3割増、医療充実し子も近く(日本経済新聞)

他の市区町村に住民票を移した後期高齢者は、2014〜2024年の10年でなんと3割も増加しています。

特に都市部への移住が顕著で、札幌市、さいたま市、福岡市、横浜市などが後期高齢者を吸い寄せる構図となっています。

なぜ高齢者は都会へ向かうのでしょうか。

記事によると、「親族との同居」に次いで「入院・入所」が多い理由として挙げられています。

地方では医療や介護資源が限られるなか、充実したサービスを求めて都会へ出る高齢者が増えているのです。

以前のブログでもお伝えしましたが、全国の国立大学病院が深刻な赤字に陥り、地方の医療体制が揺らいでいます。

過去ログ→【国立大病院の赤字が年間400億円超えで、破綻状態に!?】医療へのアクセス困難が宇都宮市の不動産にもたらす影響とは!?

この流れは、宇都宮市の不動産市場にも影響を与えています。

宇都宮市は栃木県内では医療・介護資源が相対的に充実しており、県内の周辺市町村から移住してくる高齢者がいる一方で、子供世帯が首都圏や大都市に住んでいる場合は、高齢の親を呼び寄せるケースも増えています。

過去ログ→【宇都宮市の実家が空き家になったら売却すべき?】相続まで持つのは正解か?地方都市の厳しい現実とは!

実際に、私のところにも、相続を見据え「実家をどうすべきか」というご相談や、高齢者世帯の移住に関するお問い合わせが増えています。

高齢者の移住希望者は、公共交通と医療施設の充実した、宇都宮市の都心部エリアのマンション需要が強く、価格も手頃な中古マンションは人気です。


中古需要増加の恩恵を受けるのは一部エリアだけ

ここまでの話を聞くと、「中古需要が増えるなら、焦って売らなくてもいいのでは?」と思われるかもしれません。

しかし、ここで冷静に考えるべき重要なポイントがあります。

中古需要の増加は、すべてのエリアに均等に恩恵をもたらすわけではありません。

以前のブログでもお伝えしましたが、宇都宮市内で今後も資産価値の維持・上昇が期待できるエリアは極めて限定的です。

過去ログ→【東京の家賃が所得3割超えの危険水域へ!宇都宮市への影響は?】首都圏マネー流入で地元民には新築が高嶺の花に!?

具体的には、JR宇都宮駅徒歩圏内と、LRT沿線の電停徒歩5分圏内のような、交通利便性の極めて高いエリアに集中しています。

マンションデベロッパーも「JR宇都宮駅から徒歩5分圏内でなければ開発しない」という極めて厳しい立地基準を設けており、それ以外のエリアでは事実上、新築供給がストップしつつあります。

つまり、中古需要の増加という追い風を受けられるのは、こうした限られた人気エリアの物件だけなのです。

それ以外の大多数のエリアでは、中古需要が増えたとしても、そもそもの購入希望者の絶対数が少ないため、恩恵は限定的と言わざるを得ません。


総需要は確実に減少している現実

さらに見落としてはならないのが、不動産市場全体の総需要は確実に減少しているという構造的な問題です。

日本は人口減少だけでなく、不動産の絶対必要数を左右する、世帯数も減少に向かう局面に入っているのです。

以前のブログでもお伝えしましたが、宇都宮市内でも「空き家予備軍」が急増しており、団塊世代の高齢化により2030年までに大きな変化が起こると予想されます。

過去ログ→【宇都宮市で「空き家予備軍」が急増中!?】団塊世代の高齢化で2030年までに何が起こるのか?

「新築から中古へのシフト」は、縮小するパイの中での奪い合いに過ぎません。

パイ自体が大きくなっているわけではないのです。

この状況を踏まえると、宇都宮市の不動産市場は明確に三極化が進行しています。

勝ち組エリア(約10〜15%):JR宇都宮駅徒歩圏、LRT沿線電停徒歩5分圏内など。首都圏マネーの流入もあり、価格維持・上昇が期待できる。

現状維持エリア(約70%):主に宇都宮市が策定した居住誘導エリア内。地元需要で成り立つエリア。なだらかに価値下降が続くと予想される。

負け組エリア(約15〜20%):居住誘導エリア外や市街化調整区域。交通利便性や将来性に課題があるエリア。無価値化が進行する可能性が高い。

自分の物件がどの層に位置するかを正確に把握することが、これからの不動産判断において極めて重要です。


まとめ

新築マンションの年収倍率が12倍を超え、一般のサラリーマンには「高嶺の花」となり、手が出ない異常事態が起こっています。

その結果、政府が中古住宅への支援を拡充するにいたっていますが、消費者が求める中古物件は限られた人気物件に偏る傾向が鮮明です。

その一方で、病院経営の行き詰まりで、高齢者の都市部移住が加速してきており、新たな需要も生まれ出しています。

これらの変化は確かに中古市場への需要シフトを示していますが、その恩恵を受けられるのはJR宇都宮駅徒歩圏やLRT沿線など、公共交通の利便性の高い、限られた人気エリアの物件だけです。

人口減少・世帯数減少により不動産市場の総需要は確実に縮小しており、「中古需要が増えるから大丈夫」という楽観は危険です。

以前のブログでもお伝えしましたが、過去10年間、日経平均株価や金価格が大幅に上昇する中で、不動産(J-REIT)のパフォーマンスは相対的に大きく低迷しており、値上がり益を期待できるのは都心の一部物件のみという厳しい現実があります。

過去ログ→【インフレで株価最高値更新!でも不動産は売れない!?】過去10年のリターン比較で見えた、宇都宮市で「今すぐ売るべき」不動産とは?

人気エリア以外の物件を所有されている方にとっては、中古需要が比較的旺盛な今の市場環境は、むしろ貴重な売却機会と言えるかもしれません。

金利上昇が本格化し、購買力がさらに低下すれば、「売りたい時に売れない」「希望価格では売れない」という事態が常態化し、不動産が資産から負債へ、負動産化する危険性が高まっています。

将来的な売却を考えている投資物件、転勤などで賃貸に出している元マイホーム、相続した実家で活用予定のない不動産など、特に人気エリア以外の物件については、こうした市場環境の変化を踏まえた早急な判断が必要な局面であると見ています。

今回延長される予定の住宅ローン減税から、国の誘導したいエリアや住宅の仕様に限った減税措置を行う傾向が鮮明となり、今後はより一層、「アメとムチ」を使い分け、マーケットを誘導していくと考えられます。

そういった意味でも、国が厳しい制約をかけず、中古不動産マーケット全体を後押ししようとしている今、空き家は最後の売り抜けのチャンスとなるかもしれません。


今回の内容が、皆さまのお役に立てば幸いです🙌

本記事は2025年12月13日時点の情報に基づいています


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★荻原功太朗の業務について★

株式会社サンプラン所属。資産家の皆様を対象とした、「増やすよりも、守る」を目的とした、宇都宮市内での不動産の売買・運営・管理・資産保全をサポート。他にも2つの法人の役員を兼務。不動産売買のご相談についても、ご指名頂ければ、できるかぎり対応させて頂きます。

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