「金利が1%上がれば、物件価格は2〜3割下がる」。この計算式が、いよいよ現実になろうとしています。
フルローンで物件を買い、借金の力で資産を増やしてきた投資家たち。超低金利という追い風が止まった今、彼らを待っているのは「逆回転」という名の嵐です。
返済負担は増え、物件価格は下がり、含み損が膨らみ、売るに売れない。
私が業界に入った2002年、東京都心ですら買い手がつかず、地方の業者にまで物件情報が流れてきた時代がありました。あの悪夢が、再び始まるのでしょうか。
目次
- 「ゼロ金利時代」の終焉とは何か
- フルローン・高レバレッジ投資はなぜ成り立っていたのか
- 好循環から悪循環へ「逆回転」が始まった
- 宇都宮市には「クッション」がない厳しい現実
- 不動産が「資産」から「負債」に変わる瞬間
- まとめ:2002年の記憶と、今私たちが直面している現実
「ゼロ金利時代」の終焉とは何か
私が宇都宮市で不動産業に携わり始めた2002年、日本はすでに超低金利時代に突入していました。
20年以上この業界で仕事をしてきて、ずっと「金利はほぼゼロ」という世界が当たり前でした。
この「0%台の金利で借りて不動産に投資する」というのは、冷静に考えれば世界的に見ても異常な状態だったのです。
世界を見渡しても、こんな好条件で不動産投資ができる国はほとんどありません。
では、その超低金利時代が終わるとどうなるのでしょうか。
これを分かりやすく例えるなら、「1億円を借りても年間の利息が100万円程度で済んでいた」のが、「同じ1億円を借りると年間230万円の利息がかかる」という状況に変わったようなものです。
たった130万円の差? いいえ、この差は投資の成否を分ける決定的な違いになります。
特に、借入金に頼った不動産投資をしてきた方々にとって、この変化は致命的なダメージとなりつつあります。
フルローン・高レバレッジ投資はなぜ成り立っていたのか
ここ10年ほど、不動産投資の世界では「フルローンで物件を買う」「自己資金をほとんど入れずに高いレバレッジをかける」という手法が流行していました。
書店に行けば「サラリーマンでも年収○億円の大家に!」といった本が並び、セミナーでは「頭金ゼロでも始められる不動産投資」が盛んに宣伝されていました。
なぜ、こんな投資手法が成り立っていたのでしょうか。
それは、いくつかの「異常な好条件」が重なっていたからです。
まず、借入金利が1%未満という超低金利でした。
物件の利回りが4〜5%程度あれば、その差(イールドスプレッドと呼ばれます)だけで収益が出せたのです。
つまり、自己資金がなくても、借りたお金だけで利益が生まれる構造でした。
次に、「金利は上がらない」という暗黙の前提がありました。
30年以上も低金利が続いてきたので、多くの人が「これからも金利は上がらない」と信じていました。
変動金利で借りても、金利上昇のリスクを真剣に考える人は少数派だったのです。
さらに、銀行も積極的に融資をしていました。
低金利で貸し出し先に困っていた銀行は、不動産投資への融資を拡大していたのです。
そして、物件価格が緩やかに上昇していたため、数年後に売却すれば含み益が出て、「出口」が確保できていました。
この4つの条件が揃っていたからこそ、フルローン・高レバレッジ投資は成り立っていたのです。
しかし、2025年から2026年にかけて、これらの前提条件がすべて崩れ始めています。
好循環から悪循環へ「逆回転」が始まった
ゼロ金利時代の不動産投資は、まさに「好循環」の中にありました。
低金利だから物件価格が上昇する。物件価格が上がれば含み益が増える。
含み益が増えれば担保価値も上がる。担保価値が上がれば、さらに融資を受けられる。
融資を受けて物件を買い増しする。
そしてまた価格が上がる...。
この好循環に乗って資産を増やした大家さんは少なくありません。
しかし今、この歯車が「逆回転」を始めています。
金利が上昇すると、まずローンの返済負担が増えます。
毎月の返済額が増えれば、手元に残るお金(キャッシュフロー)が減ります。
キャッシュフローが悪化すれば、物件の価値も下がります。
なぜなら、不動産投資の世界では「どれだけ稼げるか」で価格が決まるからです。
物件価格が下がれば、含み損が発生します。
含み損が出れば担保価値も下がります。
担保価値が下がれば、銀行は追加融資に慎重になります。
資金繰りが苦しくなった大家さんは、物件を売らざるを得なくなります。
売却物件が増えれば、さらに価格が下がる...。
これが「逆回転」の構造です。
以前のブログでもお伝えしましたが、J-REIT(不動産投資信託)市場では57銘柄中55銘柄がNAV倍率1倍割れという異常事態が続いています。
過去ログ→【J-REITが警告する宇都宮市での不動産投資の限界!?】円安・インフレで修繕費が爆発!築古アパートオーナーが今すぐ考えるべき出口戦略とは?
プロの機関投資家でさえ「不動産投資では成長できない」と判断しているということです。
個人のアパートオーナーが、プロ投資家以上の成果を出すことは現実的に難しいでしょう。
特に厳しい状況に置かれているのは、自己資金をほとんど入れずにフルローンで購入した物件、金利上昇分を家賃に転嫁できない地方の物件、そして売却先(出口)が限られる郊外や築古の物件です。
宇都宮市には「クッション」がない厳しい現実
ここで、宇都宮市特有の厳しい現実についてお伝えしなければなりません。
「東京の不動産価格がまだ上がっているから、宇都宮も大丈夫でしょ?」
そう思われる方もいるかもしれません。しかし、現実は逆です。
東京23区には「クッション」があります。富裕層や外国人投資家による現金購入が一定の割合を占めているため、金利が上がってもローンに依存しない買い手が存在するのです。
いわば、金利上昇の衝撃を吸収できる「余力」があるわけです。
円の価値が下がるほど、港区の元麻布や渋谷区の松濤といった「代わりのない土地」に富裕層の資金が凝縮していきます。
では、宇都宮市はどうでしょうか。
正直に申し上げると、宇都宮市にはその「クッション」がほとんどありません。
宇都宮市で取引される不動産のほとんどは、住宅ローンを利用した実需購入です。
現金で不動産を購入できる富裕層や、投資目的の外国人投資家は極めて限られています。
つまり、金利が上がれば、ダイレクトに購買力が低下するのです。
過去ログ→【国債利回り急上昇で、宇都宮市の不動産マーケットに深刻な影響が!?】LRT延伸・新規の再開発は、金利上昇がとどめの一撃に?
JR宇都宮駅周辺や東武宇都宮駅周辺、あるいはLRT沿線の一部エリアには相応の価値があります。
しかし、郊外の住宅地や、市街化調整区域に近いエリア、築年数の古い物件については、厳しい言い方をすれば「他にいくらでも代わりがある」のです。
首都圏から資金が流入する一部の優良エリアを除けば、宇都宮市の多くの物件は「金利上昇+人口減少+実質賃金の低下+維持管理コストの急上昇」という四重苦に直面しています。
特に維持管理コストの上昇は深刻です。
火災保険料はここ数年で大幅に値上がりし、修繕費も資材高騰と人手不足で30%以上上昇しています。
持っているだけでかかるコストが、かつてないペースで膨らんでいるのです。
そして、この逆回転の影響を、東京よりも早く、より強く受けることになるのです。
不動産が「資産」から「負債」に変わる瞬間
「不動産はインフレに強い」
多くの方がそう信じてきました。確かに、インフレが進めば物価も上がり、不動産価格も上がるはずだ、と。
しかし、現実はそう単純ではありません。
以前のブログでもお伝えしましたが、過去10年間で日経平均株価は+200%、金価格は+270%のリターンを記録しました。
一方、不動産投資全体(J-REIT)のリターンは+40〜50%にとどまっています。
過去ログ→【インフレで株価最高値更新!でも不動産は売れない!?】過去10年のリターン比較で見えた、宇都宮市で「今すぐ売るべき」不動産とは?
インフレなのに不動産が上がらない。この一見矛盾した現象の裏には、先ほど触れた「四重苦」の構造があります。
収入面では、入居者の実質賃金が上がっていません。
エンゲル係数(食費の支出割合)は30%近くまで上昇しており、入居者が「家賃に回せるお金」は限界に近づいています。
宇都宮市のような地方都市では、家賃を上げれば退去されるリスクがあり、結局は周辺相場に合わせざるを得ません。
一方、支出面では、修繕費がここ5年で30%以上上昇しています。管理費、火災保険料、固定資産税...あらゆるコストが上がっています。
そして、金利上昇でローンの返済負担も増える。
維持コストは上がり続けるのに、収入は増えない。
この状況が続けば、不動産は「持っているだけで資産が増える」ものから、「持っているだけでお金が出ていく」ものに変わります。
2026年、私たちは不動産が「資産」から「負債」に変わる瞬間を目撃しているのかもしれません。
まとめ:2002年の記憶と、今私たちが直面している現実
私が不動産業に入った2002年頃のことを、ふと思い出します。
当時は、バブル崩壊後の不動産価格がまさに底値を記録した年でした。
東京都心の地価はピーク時から70%以上も下落し、1億円だった土地が3,000万円以下になるような状況だったのです。
完全失業率は5.5%に達し、日本経済は4四半期連続のマイナス成長を記録していました。
そんな時代、宇都宮市の不動産業者である私のところにも、東京の都市銀行から都心の優良投資物件の情報がたくさん流れてきていました。
今では考えられないことですが、東京都心の物件ですら買い手がつかず、不良債権処理に追われた銀行が、地方の業者にまで情報を流さざるを得なかったのです。
それがアベノミクスが始まった2013年頃からの異次元金融緩和によって一変しました。
超低金利で融資が出やすくなり、投資マネーが不動産市場に流入。東京の物件は奪い合いになり、地方には情報すら来なくなりました。
しかし今、その金融緩和の時代が終わりを迎えつつあります。
もしかすると、私が業界に入った頃のような状況に、再び戻っていくのかもしれません。
東京でさえ買い手がつかない物件が出てくれば、地方の不動産市場はどうなるか。想像に難くないでしょう。
ただし、2002年と今では決定的に違う点があります。当時は「これから上がるかもしれない」という期待があったのに対し、今は「もう上がる理由がない」という現実があることです。
フルローン・高レバレッジ投資が成り立っていた「異常な好条件」は、もう戻ってきません。
好循環は逆回転に転じ、これからは本当の実力が問われる時代です。
「逆回転」が本格化する前の今こそ、ご自身の不動産を冷静に見つめ直す時ではないでしょうか。
今回の内容が、皆さまのお役に立てば幸いです🙌
本記事は2026年1月25日時点の情報に基づいています
★荻原功太朗の業務について★




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