【宇都宮市で「空き家予備軍」が急増中!?】団塊世代の高齢化で2030年までに何が起こるのか?

2025年11月12日水曜日

宇都宮市でマイホームを 宇都宮市の不動産と街の動向 不動産売却

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 2025年、日本は歴史的な転換点を迎えています。

いわゆる「団塊の世代」が全員75歳以上の後期高齢者となり、国民の約5人に1人が75歳以上という超高齢社会が到来したのです。

この「2025年問題」は、医療や介護の現場だけの問題ではありません。

過去ログ→【国立大病院の赤字が年間400億円超えで、破綻状態に!?】医療へのアクセス困難が宇都宮市の不動産にもたらす影響とは!?

実は、宇都宮市の不動産市場にも極めて深刻な影響を及ぼし始めているのです。

今回は、多くの方がまだ気づいていない「空き家予備軍」の急増という、目前に迫った現実についてお伝えします。

団塊世代の高齢化が宇都宮市にもたらす深刻な現実

団塊の世代とは、1947年から1949年の第二次世界大戦後のベビーブームで生まれた世代を指します。

この世代は全国で約600万人、宇都宮市内でも相当数の方々が該当します。

2025年、この方々が全員75歳以上となりました。

75歳という年齢が重要なのは、統計的に医療や介護のニーズが急激に高まる「後期高齢者」の区切りだからです。

実際に、平均寿命と健康寿命の間には男性で約9年、女性で約12年もの開きがあり、この期間は介護が必要になる可能性が高いとされています。

つまり、これから団塊の世代の多くの方が、徐々に自宅での生活が困難になり、介護施設への入居や子供との同居を余儀なくされる時代が到来するのです。

その結果、何が起きるでしょうか。

宇都宮市内に大量の「実家」が空き家になるという現実です。

宇都宮市で既に進行している空き家問題の深刻化

実は、この問題は既に始まっています。

宇都宮市が公表している住生活マスタープランのデータによると、市内の空き家数(賃貸アパート・マンション含む)は平成20年から平成30年の10年間で31,940戸から44,410戸へと大幅に増加しています。

さらに、令和3年3月に実施された戸建て空き家実態調査では、5,587戸の空き家が確認されており、そのうち管理不全状態の空き家が848戸、崩落のおそれがある危険な空き家が79戸も存在しています。

注目すべきは、これらのデータは数年前のものであり、現在の状況はさらに悪化しているという点です。

そして最も深刻なのは、市の調査で明らかになった単身高齢者世帯の急増です。

宇都宮市内の単身高齢者世帯は平成2年から令和2年まで継続的に増加し、22,505世帯に達しています。

この数字が何を意味するか。

それは、今後5年から10年の間に、2万世帯を超える空き家が新たに生まれる可能性があるということです。

2030年までに起きる「空き家予備軍」の顕在化

2025年に団塊の世代が75歳に到達したということは、2030年には80歳、2035年には85歳になります。

介護施設への入居や子供との同居が本格化するのは、まさにこれからの5年から10年です。

全国的なデータを見ても、この傾向は明確です。

野村総研は、全国の空き家が2023年の約900万戸から、2043年には約1,887万戸へと倍増すると予測しています。

宇都宮市も例外ではありません。

現在の22,505世帯の単身高齢者のうち、仮に半数が今後10年間で施設入居や子供との同居を選択した場合、約11,000戸の実家が新たに空き家になる計算になります。

これは、現在の空き家数(5,587戸)の約2倍に相当します。

さらに深刻なのは、これらの「空き家予備軍」の多くが、売却も活用もされずに放置される可能性が高いという点です。

なぜ「空き家予備軍」は放置されるのか?

実家が空き家になっても、すぐに売却や活用に動けない理由がいくつかあります。

まず、相続の問題です。

親が健在なうちは名義変更も売却もできず、相続後も複数の相続人がいる場合、意見がまとまらずに放置されるケースが非常に多いのです。

日経新聞の記事でも指摘されていますが、相続から時間が経過するほど空き家所有者が高齢化し、売却の話し合いがどんどん難しくなります。

次に、感情的な理由です。

「いつか使うかもしれない」「思い出の家を手放したくない」という気持ちから、売却を先延ばしにするケースは非常に多く見られます。

しかし、20年以上この業界で仕事をしてきて断言できるのは、「後で使うかも」という実家のほとんどは結局使われないというのが現実です。

数年も経てば、子供世代のライフスタイルは劇的に変化します。

仕事の都合、子供の学区、住環境への価値観、すべてが変わる中で、数十年前に両親が建てた実家に戻って住むというケースは極めて稀なのです。

そして最も深刻なのは、経済的な理由です。

解体もリフォームもできない「壊せない時代」の到来

空き家を放置せずに対応しようとしても、現在は極めて困難な状況になっています。

最新データによると、解体工事業の倒産は過去20年間で最多ペースとなっています。

つまり、解体業者そのものが減少しているのです。

さらに深刻なのは、解体費用の異常な高騰です。

人手不足などの影響で解体費が年5%前後ずつ上昇しています。

特に産業廃棄物の処分費用は、この5年間で2倍近くに跳ね上がった地域も存在します。

宇都宮市内でも、数年前なら100万円程度で解体できた一般的な木造住宅が、今では150万円から200万円も必要になるケースは珍しくありません。

つまり、「いずれ解体する」と先送りすればするほど、費用は確実に膨らんでいくのです。

リフォームについても状況は同様です。

この30年間で約3割もの職人が減ってしまったのです。

さらに問題なのは、残っている職人の高齢化です。

現在、55歳以上のベテラン職人が約4割を占める一方で、29歳以下の若手職人はわずか1割程度しかいません。

職人不足で奪い合いになっている現在、宇都宮市内でも「小規模なリフォーム案件を依頼したら断られた」という話を聞くようになりました。

つまり、解体もリフォームもできない、「壊せない時代」「直せない時代」が既に到来しつつあるのです。

宇都宮市特有「売れる空き家」と「売れない空き家」

空き家問題がさらに複雑なのは、宇都宮市内でも地域によって状況が全く異なるという点です。

JR宇都宮駅徒歩圏内や駅東のLRT沿線の好立地であれば、空き家になっても比較的早く買い手がつきます。

実際に、LRT開業効果により東側エリアでは地価上昇が続いており、中古物件への需要も堅調です。

しかし、郊外の駅から遠い住宅地や、LRT沿線から離れたエリアでは、状況は全く異なります。

バスの運転手不足が深刻になるなか、今後バス路線の減便や廃線は避けて通れない課題です。

つまり、宇都宮市民の多くが公共交通へのアクセスが悪い場所に居住しており、LRT開業によりこの交通利便性の格差はさらに拡大しています。

少子高齢化が進む中で、今後ますます地域内での資産価値の格差が広がることは間違いありません。

過去のブログでもお伝えしたとおり、LRT西側延伸が2036年に延期となり、駅西側エリアの将来性には不透明感が漂っています。

過去ログ→【宇都宮市のLRT西側延伸、2036年に開業延期で事実上の計画凍結か!?】知事も弱気の発言で先行きの見通しはどうなる!?

東武宇都宮百貨店の先行きも不安視される中、駅西側エリア全体の不動産価値は慎重に見極める必要があります。

つまり、同じ「空き家予備軍」でも、立地によって「今なら売れる」物件と「売却困難」な物件に二極化し始めているのが現実です。

「先延ばし」がもたらす深刻なリスク

多くの方が「いずれ考える」「そのうち何とかする」と空き家問題を先延ばしにしています。

しかし、先延ばしすればするほど、選択肢は確実に減っていきます。

まず、建物の劣化です。

人が住まなくなった家は驚くほど早く傷みます。

換気がされない、水を使わない、定期的なメンテナンスがされない。

こうした状況が続けば、わずか数年で雨漏りやシロアリ被害、設備の故障などが発生します。

建物が傷めば、売却価格も大幅に下がります。

次に、周辺への悪影響です。

横浜大学の研究によると、長期間(4年以上)継続した空き家が50メートル以内で1軒増えるごとに、周辺の住宅の取引価格が約3%低下したとのことです。

つまり、空き家を放置することで、自分の家だけでなく周辺の不動産価値まで下げてしまい、結果的に自分の空き家もさらに売りにくくなるという悪循環に陥るのです。

そして最も深刻なのは、相続問題の複雑化です。

親が亡くなり、兄弟姉妹で相続した場合、時間が経つほど意見はまとまりにくくなります。

それぞれの生活環境、経済状況、価値観が異なる中で、全員の同意を得ることは想像以上に困難です。

実際に、宇都宮市内でも「実家をめぐって兄弟で10年以上話し合いが続いている」「結局誰も住まず、誰も売却に同意せず放置されている」というケースは決して珍しくありません。

今、行動すべき理由と具体的な選択肢

では、どうすべきなのでしょうか。

結論から言えば、親が元気なうちに、家族で実家の将来について話し合うことが最も重要です。

そして、空き家が急増していくのがわかっている以上、多くの場合、早期の売却が最も現実的な選択となります。

宇都宮市内の不動産売却では、マイホームの3000万円特別控除が使える可能性があります。

これは売却時の譲渡益から最大3000万円まで控除できる強力な税制優遇措置です。

親御さんが実際に住んでいた家であれば、一定の条件を満たせば適用対象となります。

現金化のメリットは何と言っても、管理の負担から完全に解放されることです。

固定資産税、光熱費、修繕費、草刈りなどの維持管理費用がすべてなくなります。

得られた資金は親御さんの介護費用に充当できますし、現金という分割しやすい形に変わるため、将来の相続時にも兄弟間でのトラブルを避けやすくなります。

ただし、売却にも「タイミング」があります。

好立地の物件なら今はまだ適正価格で売却できる状況ですが、団塊世代の「空き家予備軍」が本格的に市場に出てくる2027年から2030年頃になると、供給過多で価格が下落する可能性が高くなります。

つまり、「今なら売れる」が「数年後は売れない」になるリスクが高まっています。

まとめ: 宇都宮市の未来を左右する空き家問題

2025年問題は始まったばかりです。

団塊の世代が80歳、85歳と年齢を重ねる今後10年間が、最も空き家が増加する時期になります。

宇都宮市内では、LRTの開業以降、地域格差は歴然としきてており、交通利便性の高いエリアと郊外エリアでは、不動産需要に大きな開きが生まれ始めています。

人口密度の低下とで住居の拡散が進む中、将来性の乏しいエリアの空き家は確実に価値下落のリスクを抱えています。

そのため宇都宮市の実家が空き家予備軍となっている場合、多くのケースで「早期売却」が最も現実的な選択だと考えられます。

早期売却は、税制上のメリットだけでなく、管理負担の軽減、現金化による介護費用への充当、将来の相続トラブル回避など、総合的なメリットが大きいからです。

ただし、立地や築年数、家族の状況によって最適解は異なります。

JR宇都宮駅徒歩圏内やLRT沿線の好立地の物件であれば、保有を続ける選択肢も十分に検討価値があります。

大切なのは、宇都宮市内の地域の将来性を冷静に分析し、感情論ではなく客観的な判断を下すことです。

何も決めずに放置すれば、空き家の管理コストは確実に発生し続けますし、建物の老朽化も待ってくれません。

親御さんが元気なうちに、家族でしっかりと話し合って方向性を決めることが、最も大切なのではないでしょうか。


今回の内容が、皆さまのお役に立てば幸いです🙌


本記事は2025年11月12日時点の情報に基づいています

 

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★荻原功太朗の業務について★

株式会社サンプラン所属。資産家の皆様を対象とした、「増やすよりも、守る」を目的とした、宇都宮市内での不動産の売買・運営・管理・資産保全をサポート。他にも2つの法人の役員を兼務。不動産売買のご相談についても、ご指名頂ければ、できるかぎり対応させて頂きます。

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