各都道府県が主体となって調査し、今年7月1日時点での、土地の標準価格、「基準地価」の最新動向が公表されました!
住宅地・商業地をあわせた「全用途」の全国平均は、去年より1.4%上昇しました。
項目別では、住宅地が0.9%上昇、商業地が2.4%上昇となりました。
いずれも上昇は3年連続で、バブル崩壊前、1991年以来の伸び率です。
特例のコロナ禍の期間は除外するとして、アベノミクスで金融緩和が始まった2010年代初頭から一貫して、地価は上昇し続けているのがわかります。
上記グラフの以前の、2000年より前の時代を振り替え得ると、1991年移行のバブル崩壊後、アベノミクスで金融緩和が行われるまで、地価は20年あまりも停滞していました💦
金融緩和を行ったことで、株と不動産市場にマネーがどっと流れ出し、相場が大きく上昇したのは明白です。
しかし、ここへ来て、日銀が緩和方針を修正し、見直しを始めているため、今後の不動産相場は、日銀の政策次第でが大きな価格調整を迫られるかもしれませんので、注視しています。
地価の2極化傾向は加速するばかり!
地価の報道では、全国や各都道府県ごと、地方都市ごとの、平均地価の報道がメインですが、もはや地価の平均を眺めても、ほとんど意味をなさないです。
なぜなら、全国各地で、ミクロなエリアごとに、地価の値上がり傾向が継続するエリアと、値下がり傾向が止まらないエリアとの2極化傾向は加速するばかりで、個別の不動産相場を語る上で、全体の平均価格を見ても、参考になることは少ないからです。
山林なんかの利用価値の低い場所も含め、土地全体が値上がりした、バブル期の上昇と、今の地価上昇はまったくの別モノです。
大都市圏では投機資金が流れ込み、バブルを形成してるところも一部あるでしょうが、地方では、人口減少が顕著になり始めたことで、実需のある特定の場所に富が集約する流れが加速することで、地価の域内2極化が進んでいます。
地方では、都市の集約化に伴う、再開発が進む場所の実需は伸び、地価は上昇を続けますが、再開発の目処が立たない場所は、衰退する一方です。
栃木県内の最新の地価動向は!?
公表された基準地価、県内の価格トップ5と、前年比の上昇率トップ5のデータです。
右側の上昇率トップ5を見ればわかるように、宇都宮市のLRT沿線は、再開発効果が鮮明で、地価を上昇させています!
注目すべきは、住宅地、上昇率5位の清原台1丁目です。
LRT沿線のゆいの杜エリアの不動産が高騰し過ぎた影響で、割安感のあった沿線周辺エリアにも人が流れ、清原台の地価が上昇しています。
↓ 過去ログにていくつか書いてますので、ご興味あればこちらも ↓
過去ログ→ 【宇都宮市でLRT開通とインフレにより人気の住宅地が移動!?】清原台エリアの注目度が上がっている理由を考えてみたら!?
過去ログ→ 【Vol.2-1 LRT開業2年目!宇都宮市の沿線地価はどうなる!?】LRT開業までの不動産相場を振り返ってみたら・・!?
過去ログ→【Vol.2-2 LRT開業2年目!宇都宮市の沿線地価はどうなる!?】沿線地価のさらなる上昇のカギは首都圏からの移住者!?
宇都宮市の東側、LRT沿線では、今後も再開発計画が目白押しなので、「人」と「お金」が流れ込みやすく、地価は上昇傾向を続けると予想されます。
一方、商業地では、2位の池上町が横ばい、4位の江野町がマイナスと、中心市街地の元気の無さが、如実に結果として現れております😓
住宅地の地価上位5地点は、すべて宇都宮市の駅東エリアとなっていて、住宅地は東高西低が鮮明です。
商業地も、かつては街の顔として栄えた二荒山神社周辺から、JR宇都宮駅周辺に、軸がずれ、地価に反映されています。
地価の東高西低の流れは、LRTの西側延伸が着工にいたり、中心市街地の再開発が促されるまで続くと予想しています。
また、人口減少社会に対応するため、地方都市内ではコンパクトシティ構想を進めることは避けられず、再開発の流れに乗りにくいエリアの地価低迷は続きそうです。
宇都宮市内では、西北エリアの停滞が顕著であり、今後もこの傾向は続くと予想されます。
不動産投資もマイホームも立地選定を誤ると命とりに!?
不動産投資をするにもマイホームを購入するにしても、物件の収益性を確認するだけでなく「出口戦略」を考えることが重要です。
不動産投資の主な出口戦略は、物件の売却です。
投資した不動産を高値で売却できれば多額の資産を残せますが、誰も欲しい人がおらず、売却すらできない物件を購入してしまったら、資産どころか負債を買ったのと同じになります。
人口動態と経済情勢の長期的な流れを見ても、今現在、再開発の恩恵を受けることなく、地価が下落しているようなエリアの物件を購入し、長期保有することは、大きなリスクがあります!
同じ宇都宮市内でも、タダ同然でも買い手がなかなか見つからない場所と、年々地価が上昇し、安定した資産価値を残せる場所が出てくるのは、街がコンパクトに集約していくなかでは当然の帰結といえます。
宇都宮市内ならどの物件でも、不動産の価値が残ると考えるのは早計で、立地選定を誤ってしまえば、人口減少が進むなか、売ることも貸すこともできない負動産を購入することになるリスクが大きいので注意が必要です。
終わることない2極化が進む先を考えたら、目先のお買い得感に左右されず、長期的に価値を残せる立地選定がなによりも重要になります。
これから有望とされる立地条件とは!?
今、地方の地価上昇で目立っているのは、熊本県です。
台湾の半導体メーカー「TSMC」の工場が開業したことで、地価は大幅に上昇中です。
また、大都市圏は地方から若者を吸い上げていることと、インバウンド需要をほぼ総取りしていることもあって、圧倒的に有利な立地条件をもっています。
そのため、大都市圏は増え続けるインバウンド需要を受けて、まだまだ地価上昇の余地があるように思われます。
地方で地価上昇が著しいのは、熊本県のように、半導体などの新産業の工場を誘致できたような場所と、北海道ニセコのようなインバウンド需要を取り込めている場所に限られています。
そんななか、宇都宮市は、インバウンドや半導体工場の外部要因ではなくLRTのインフラ整備という内部要因で地価が上昇するという実例を示したことで注目を集めています。
→北関東で「頭一つ抜けた」街? 栃木・宇都宮市 基準地価公表で4年連続上昇「LRT」「待機児童ゼロ」「子どもの医療費無料化」市民も誇らしげ(TBSニュース)
インバウンドや半導体工場を誘致できなくても、人口減少に適したコンパクトシティ構想をもとに、公共交通の整備や再開発を行えれば、移住者は増え、街は成長し、地価も上昇することを、宇都宮市は実証しました。
まとめ
・インバウンド需要を取り込める立地か?(観光客)
・新産業や大型店舗(コストコ等)誘致が期待できる立地か?(産業)
・コンパクトシティ構想をもとに、公共交通の整備や再開発が期待できる立地か?(移住者)
この3点、いずれかに引っかからない場所は、衰退する一方だと予想されます。
逆に、3つの条件どれかに引っかかるような場所なら、今後も不動産価値を維持し続ける可能性が高いです。
宇都宮市の地価上昇を紹介したニュースでも、LRTを整備したことで、宇都宮市全体の地価が上昇したように見えてしまいます。
しかし、実際は、宇都宮市内でも2極化が鮮明で、地価上昇が顕著なのはJR宇都宮駅周辺とLRT沿線エリアに限られます。
沿線以外のエリアの地価は、概ね横ばいで、郊外の下落が続いている場所は下げ止まる兆候が見えません💦
インバウンド、新産業&大型店舗誘致、公共交通の整備&再開発、すべて、「人」「モノ」「お金」が流れ込む場所です。
人口減少が進む日本では、観光客・産業・移住者、どの誘致も期待できない場所は、売ることも貸すこともできない、負動産になるリスクが年々増していきます。
不動産購入でババを掴まないためには、目先の価格だけに左右されることなく、多少価格が高くとも、将来性のあるミクロな立地選定が重要であると肝に銘じるべきでしょう。
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