今年11月に行われる、宇都宮市長選挙。
立候補を表明している現職の佐藤市長の公約が明らかになり、これまで2030年代前半の開業を目標としていたLRTの西側延伸を、「2030年の運行開始を目標とする」とし、時期を前倒した新たな計画をを示しました!
さらに、県都の玄関口にふさわしいJR宇都宮駅西口周辺の再整備を挙げ、佐藤市長は「駅から桜通り十文字まで一気に開発していく」と述べました!
→LRT西側、30年延伸を公約へ 宇都宮市長選・佐藤氏(下野新聞)
これは、スピード感ある素晴らしい政策発言です!
今までの長期政権の実績を活かし、リーダーシップを発揮し、元気のない駅西エリアも駅東エリア同様に、早期に再開発を推進していく姿勢は、街全体の発展に大きく貢献することになるでしょう。
先日の過去ログでもお話しましたが、宇都宮市はLRT整備により、街の再開発の軸は駅東エリアに偏っており、地価にもその影響が如実に現れています。
過去ログ→【2024年、基準地価!地価動向から見える、宇都宮市の不動産相場の行方とは?】不動産は立地選定を誤ると命とりの時代へ!?
街の顔である、二荒山神社前の宇都宮パルコ跡地は、閉店後、まったく再開発の目処もたたず、すでに5年以上の歳月が過ぎています💦
オリオン通りでは空き店舗が減り、飲食街へと変貌をとげ、なんとか人流は時間帯によっては回復していますが、かつての活気と比べるとまだまだ完全復活とは程遠い状況です。
宇都宮市内では、東西格差は歴然となっており、東側の再開発の勢いを駅西側にも波及させるためにも、早急なLRT西側延伸は必要不可欠な状況です。
LRT西側延伸に反対する旗振り役も市長選に立候補へ
次期市長選では、高齢者の方を中心にLRT整備に根強く反対する方々の旗振り役でもある、元栃木県職員の上田憲一氏(87)も立候補を表明しました。
市長選では、他にも元茨城県つくば市副市長の毛塚幹人氏(33)も立候補を表明しており、3氏での争いになりそうです。
過去ログ→【どうなる宇都宮市長&栃木県知事選挙!?】政治にほんろうされ続けた、LRT開通までの30年を振りかえると!?
これで、選挙の争点はわかりやすくなりました。
現職の佐藤市長と新人の毛塚氏はできるだけ早く、LRT西側延伸を実行し、宇都宮市が提唱するネットワーク型コンパクトシティ構想を支持する立場です。
一方、上田氏は、LRT東西すべての開発に反対していた旗振り役で、西側延伸計画にも当然反対で、そこを選挙の争点として戦うことになるでしょう。
選挙結果で上田氏の得票数を見れば、どれくらいの方が、西側延伸に反対しているかがよくわかるはずですし、大差を付けて敗れれば、その時点でLRT西側延伸は民意を得たことになります。
選挙結果次第ですが、来年以降、LRT西側延伸は民意を得て、一気に推進することになる可能性が高いでしょう。
LRT西側延伸、2030年開業、実現性は!?
宇都宮市はLRTの西側延伸について、JR宇都宮駅東口からJR線の線路を横断し、県教育会館まで約5キロの整備を計画しています。
来年、2025年度に延伸に必要な事業特許を国に申請する方針で、開業目標は「30年代前半」とされていました。
しかし、佐藤市長は「LRTは昨年8月に駅東側で開業し、これからは西側を早く通さなければいけない。計画を早め、30年の運行開始を目標にする!」と強調し、予定より早期の完成を目指すことを明言しました。
しかし、現状は楽観できない状況にあります。
すでに開業しているLRT東側区間ですら、事業費が当初見込みを約5割上回る684億円に増え、開業予定も約1年半ほど遅れ、2023年8月となりました。
予算超過と工事遅れの原因は、各種資材のインフレと、建設人材の人手不足による影響が大きいです。
世界的な各種資材のインフレ傾向は、とどまる様子をみせていませんから、さらに資材価格が値上がりすることも想定され、西側延伸も事業費が計画より増加する可能性が高いです。
また、建設人材の人手不足は更に深刻で、リクルートワークスがシミュレーションしている結果では、2030年には100人必要な建設現場に78人しか人がいないという、衝撃の状況が予想されています。
グラフを見てもわかるように、建設人材の人手不足はこれから加速度を増して深刻になっていきます。
ブルーカラー全体の労働者が不足するなか、機械化や移民受け入れだけでは簡単に解決できない問題であり、LRT延伸に限らず、すべからく建築工事の遅延が常態化する可能性が高まっています😓
2035年には、なんと供給不足は40%以上になる(100人必要な現場に60人しか人が集まらない)ことが予想されており、時間が経過すればするほど、コストも納期も伸びることは容易に想像できます。
先の情勢を考えると、今回、現職の佐藤市長が、具体的な運行開始の目標を前倒しし、2030年に時期を明言したことは非常に評価できます。
ただし、公約通り、2030年にLRT西側延伸が運行開始できるかは、かなり難しいと言わざる得ないでしょう。
駅西側の再開発にも「供給制約」の壁が!?
宇都宮市のLRT西側延伸の着工は2027年頃と、今から3年後を予定しています。
着工が正式に決まれば、東側で再開発ラッシュが起こったように、西側沿線エリアでも、再開発の流れが活発化することは間違いないでしょう。
長年放置され続けている、宇都宮パルコ跡地もようやく民間の投資を呼び込めるチャンスを得て、再開発の話が出てくるかもしれません。
しかし、ここでも先程ご紹介した、資材高騰と人手不足による供給制約の影響で、状況が一変し、再開発が制限されることを考慮する必要があります。
佐藤市長は「駅から桜通り十文字まで一気に開発していく」と述べましたが、すでにLRTが東側で着工が決まった際と、状況がガラッと変わっています。
LRT沿線で新規で分譲販売される新築マンション価格も年々上昇し、「高値の花」となりつつあります。
年々建築コストが上がるために、民間の不動産開発では、販売価格にインフレ分が乗せられなければ、開発そのものが行えなくなります。
コスト増が顕著でも、マンション等が順調に販売されているなら、不動産開発は続くでしょうが、どこかで価格の臨界点を迎えて、売れ行きが落ち込むようなことがあれば、再開発すべてが頓挫していくことになります💦
コスト削減のためにも求められるスピード感!
好むと好まざるに関わらず、すでに時代は今までの常識が通用しない、ニューノーマルな時代に突入しています。
今までだったら、当たり前にできたことが、時間が経過すればするほど、様々な供給制約を受けることになり、実現困難になります。
LRT西側延伸に反対している方々が主張するバス路線の現状維持すら、すでに困難な状況となっています💦
→過去ログ 【移動の自由は失われつつある!?全国でバス路線の廃止が続々と!】宇都宮市でも迫られる厳しい選択とは!?
深刻な運転手不足でバス路線維持が困難な状況をみても、LRTの西側延伸は必要不可欠です。
年々、様々な供給制約にさらされる状況となるなか、これからの市長に求められる手腕は、政策の実行力だけにとどまらず、強いリーダーシップに基づくスピード感です!
そう考えると、すでに立候補を表明している3者のなかでは、圧倒的に現職の佐藤市長に軍配が上がります。
長期政権への批判は当然にあるでしょうが、大きな組織や民意を導く、強いリーダーシップとスピード感は容易に構築できるものではありません。
今回の選挙公約として、佐藤市長が具体的な運行開始の時期をスピードアップし、2030年と明言したことは、非常に評価できます!
もはや、のろのろ議論を重ねて時間を浪費する余裕はありません。
時間が経過すればするほど、LRTの西側延伸計画そのものが頓挫し、公共交通が維持できなくなることも、十分に考えられるのです。
それほど、建設現場での供給制約は深刻な状況なのです!
人口減少が続く中、魅力ある都市として人々に選ばれなければ、いずれ自治体そのものが消滅危機に直面します。
持続可能な都市として宇都宮市が生き残るためにも、次の市長にはスピード感ある政策実行を期待したいです。
★荻原功太朗の業務について★
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