今年は、宇都宮市の将来を大きく左右する、選挙の年です!
栃木県知事と宇都宮市長の選挙が今年の年末に予定されています。
すでに、立候補を表明している候補もおり、話題となっています!
→宇都宮市長選、つくば市前副市長の毛塚氏が立候補表明(読売新聞)
立候補を表明したのは、茨城県つくば市の前副市長、毛塚幹人氏でなんと33歳という若者です!
私が利用しているSNS(X ツイッター)でもフォローしていた方だったので、びっくりしました😮
LRT推進派で、西側延伸はもちろん、宇都宮市の進めるコンパクトシティ構想と矛盾する、県美術館と図書館を旧県体育館跡地に移転する再開発計画の見直しも提言されており、頼もしいかぎりです👍
県美術館の移転問題の詳細はこちら 過去ログ→ 【コンパクトシティ化に逆行する県立図書館&美術館の移転!?】ちぐはぐな宇都宮市と栃木県の相違とは!?
現職の佐藤市長はいまのところ、進退については言及してないようですが、報道を見ていると、
→宇都宮市長選、11月任期満了の佐藤市長の動向注目…6選なら市政史上最多(読売新聞)
市政関係者からは「LRTは追い風だ。LRTの西側延伸を実現するためにも、続投が望ましい」と期待する声がある一方、佐藤氏を支える自民党会派内でも「6期目は長すぎるという声は無視できない」(ベテラン市議)という慎重な見方もあるようです。
一方、現職の福田知事も当選すれば、次で6期目となり、進退について今のところ明らかにされていないこともあり、様々な憶測を呼んでいます。
→福田知事 6期目目指すか最終決断 21日に後援会報告で調整(NHK ニュース)
今の福田知事も宇都宮市長出身ということもあり、福田知事が引退し、現職の佐藤市長が知事選挙に鞍替えし、新人の毛塚候補を応援するなんてこともあるのでしょうか😳
いずれにしても、今年の選挙結果次第で、街の今後の発展を大きく左右することは間違いありません!
それは過去にLRT開通までに、政局に翻弄され続けた宇都宮市の都市開発の歴史をみれば、よくわかります。
長い長〜いLRT開通までの歴史を簡単に振り返ることで、今後の流れを考えてみます。
LRT計画までの始まりとは?
当時、内陸型工業団地として国内最大規模の清原工業団地をはじめ、芳賀工業団地、芳賀・高根沢工業団地という3つの工業団地が集積し、重要な産業拠点となりました。
一方で、工業団地の従業者は大半が宇都宮市内から自家用車で通勤しているため,JR 宇都宮駅とこのエリアを結ぶ幹線道路は朝夕ともに通勤車両で大混雑しており、長年問題となっていました。
慢性的な工業団地への交通渋滞に対応するために、渡辺文雄知事(当時)が 1993 年 に宇都宮都市圏への新交通システム導入に向けて、「新交通システム研究会」が設立され、新交通システムについての検討が始まりました。
導入ルートは、JR 宇都宮駅東側~清原工業団地までの約 10 ㎞が想定されていました。
当初は小型モノレールが候補に挙がりましたが、採算性が問題視されたため、もっと安価で、輸送力や定時性を求めた結果、2001年4月に次世代型路面電車「LRT」が適していると判断し、検討が進み始めました。
政治の行方にほんろうされ続けたLRT開通までの道のり
栃木県知事と宇都宮市長の選挙は,2000 年から 2020 年まで 6 回行われましたが、その6回とも LRT が大きな争点の一つにになりました。
そして2000年にLRTの建設費に難色を示す人物が突然現れます!
4期16年務めた渡辺文雄知事が当時今市市長であった福田昭夫氏(現 立憲民主党栃木県連代表)に、わずか875票の差で敗退しました。
ここから開通まで、迷走が始まります😓
福田昭夫知事はLRTに反対の意向を表明し、県と宇都宮市が一緒にやっていたはずの計画を5年間凍結しました!
今まで県と宇都宮市が協力してきてきた構想を、市がやりたければ勝手におやりなさいという姿勢に転換し、結果的には当時の知事の方針で、県はLRT事業からある意味では撤退した形になりました。
それは当時、福田昭夫知事が所属していた民主党の政策とも大きく関連しています。
その後、福田昭夫知事は次の知事選挙でLRT賛成派に敗れ落選しましたが、投票数が賛成・反対で大きな開きがなく、拮抗していたこともあり、LRTは政争の具として使われ、着工までの迷走が続きました💦
県が当時計画の凍結したことで、現在に至るまで宇都宮市が中心にLRTを進めている状況となりました。
2004年に栃木県知事に、宇都宮市長出身の福田富一氏が知事になられましたが、県と市の関係がなかなかすぐには元に戻れていないというのが実態のようです。
国政の影響も大きかったLRT開通までの道
2009 年に政権交代で衆議院で自民党が下野して、当時の民主党が政権を取ったということがありました。
この国の動きも、宇都宮のLRTに大きな影響を与えました。
当時、宇都宮市長は選挙での勝利を踏まえ、市民に対するLRT説明会を予定していましたが、国の政権が変わったことで、説明会を先送りしました。
実は民主党のマニフェストには、LRTを推進すると書いてあったのです。
しかし栃木県においては、一種のねじれ現象でLRT反対という、民主党県連としての方針を出していたので、全体として計画が遅れ始めたのです!
転機は国政での民主党の惨敗、自民党の与党復帰!
2012年は一つの大きな転機になりました!
国民の期待が失望に変わり、、民主党は選挙で惨敗し、再び野党に戻りました。
自民党が与党に復帰し、ようやく国からのバックアップも得られるようになり、都市開発が動き出し始めました。
2012 年の市長選挙で現職の佐藤市長に対して、幸福実現党の河内氏が対抗馬に立ち、LRT反対を表明したものの、10 万票対4万票という大差で佐藤氏が圧勝しました。
これで佐藤市長もようやく意を強くし、6年でLRTを仕上げると表明しました!
その後、LRT建設の動きは一気に加速し始めるのでした🙌
そして、2013年に国交省から荒川辰雄氏が宇都宮の副市長として赴任されました。
その後ずっと副市長の 1 人は国から来るようになっています。
最大の難関だった2016年の宇都宮市長選挙!
2016年11月に栃木県知事と宇都宮市長の同日選挙が行われました。
すでにLRT着工までのスケジュールも着々と進み、事実上のLRT賛否を問う、選挙となりました。
知事選は大差で現職の福田富一知事が再選されましたが,市長選は野党が連合して LRT 反対という 1 点に絞って選挙運動が行われた結果,空前の大接戦となりました。
選挙結果は、接戦のすえ、かろうじて現職の佐藤市長が再選されました。
そのおかげで LRT 事業は継続できたのです!
この選挙の白熱ぶりは、よく覚えています。
当時の調査を見ると、マイカーに乗れなくなり、公共交通の充実で恩恵を受ける人の多い高齢者ほど LRT に反対している、奇妙な調査結果でした。
それは何を物語っているかというと、選挙運動中に野党連合が主張していた「LRTにお金を使うよりも、福祉、医療、介護に使いましょう!」という、不安を煽った結果でした。
都市の持続ある発展のための都市開発に代案を示さず、目先の利益優先を煽った反対派の言い分に、しっかりとした情報を得られず、同調してしまった高齢者の方が多かったのだと思います。
LRT建設費用の半分は国から援助されるもので、これはLRTを造るための予算であって、他の目的には一切使えないのです!
しかし反対派はそれを言っていませんから、高齢者はだまされたというか、正しくない情報に乗せられてしまったというわけです。
当時、選挙結果を見て心底ほっとしたのをよく覚えています。
民主党政権時に、LRTだけでなく、JR宇都宮駅東口駅前や、街の再開発もことごとくストップし、株価も不動産相場も低迷し、希望が失望に変わり、街は喪失感に溢れていました😓
2016年の市長選挙後にLRTはようやく着工へ進む!
2016 年の市長選挙の結果を踏まえ、市は2017年8月に国に工事施工認可の申請を行い、2018 年に着工、2022年の3月に開業するという計画が進みました。
構想が始まって30年、具体的な導入基本計画が策定されて15年、日本で最初に新設される宇都宮のLRTは2023年にようやく開業されました🙌
宇都宮に長く暮らす者として、誰もが実現を疑いながら、期待したり、落胆したりを繰り返し、ようやく30年越しでLRTの開通を実現できたことは、感慨深いものがあります😭
日本はモータリゼーションの進行で価値観が大きく変化し、ひときわマイカーに依存している宇都宮市の市民にとって、名前も聞いたことがないLRTという新しい公共交通を導入しようとするのは無謀であったかもしれません。
深刻な少子高齢化と人口減少が進むのがわかっているなか、持続可能なまちづくりは、避けて通れない課題でした。
LRTの整備は、耳障りの良い目先の利益にとらわれるばかりの政策から、持続可能な次世代の生活スタイルへの変化、マイカー依存から脱却した街へ、大きな一歩を踏み出す大英断であったことは間違いありません!
ここまで、LRT開通までの歴史を簡単に振り返りましたが、若者がこぞって流入する大都市と違い、シルバー民主主義が席巻している地方では、未来への投資やライフスタイルの変化を伴う投資には極めて消極的にならざる得ませんでした。
LRTがなんとか開通までたどり着けたのも、奇跡としか思えない偶然の連続だったのがわかりますね😅
LRT西側延伸も政治にほんろうされるのか?
LRTに反対していた、野党の心配はことごとく外れ、LRTは、宇都宮市の新たな観光コンテンツとしても、定着しつつあります。
→宇都宮LRT、運行会社は24年3月期に経常黒字確保(日本経済新聞)
→宇都宮、23年観光客1271万人に LRT効果で18%増、順調に回復(下野新聞)
街のブランド力も大きく向上し、宇都宮市の街は全国ニュースに取り上げられる機会も急増しています。
このまま順調に、LRT西側延伸は、進むのでしょうか?
LRT東側の開通までの歴史を振り返ると、まだまだ安心はできないでしょう。
昨今は、自民党の支持率急落を受け、地方選挙での惨敗が目立ち始めました。
4月に行われた衆議院3つの補欠選挙で自民党が“全敗”し、立憲民主党が3議席を獲得しました。
栃木県内でも、先日行われた、鹿沼市長選挙では、自民党と公明党が推薦した候補が敗れ、元立憲民主党の栃木県連幹事長の候補が当選しました!
→鹿沼市長選で与党系敗北 自民・茂木幹事長の地元栃木(日本経済新聞)
全国であきらかに、与党への逆風が吹き始めています💦
LRT開通後の予想以上の盛況ぶりを見ていると、栃木県知事選挙と宇都宮市長選挙でLRT西側延伸に反対する候補が当選するとは考えにくいですが、、選挙は水物、何が起きるかは誰にもわかりません。
昨今は、円安、インフレが止まらいない状況で庶民の生活は苦しさを増す一方です。
世界情勢の影響も大きく、この流れは簡単には止まらないでしょう。
与党にとっては大きな逆風となり、再び国政がひっくり返るようなことがあれば、都市開発への影響が大きくなるのは明らかです。
国のバックアップを失えば、LRT西側延伸も着工の大幅延期、凍結の可能性も否めません。
今回、LRT東側開通までの、長い歴史をひもとき、振り返ってみると、開発に尽力された関係者の皆様には頭が下がります。
国政の流れがどうなろうとも、知事と市長には、LRT西側延伸に前向きな候補が当選し、街の活気を消すことなく、未来の世代のためにも、ネットワーク型コンパクトシティ構想を是非とも推進してほしいと切に願います🙏
★荻原功太朗の業務について★
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