【宇都宮市のコンパクトシティ構想の成否を決めるのは〇〇だけ!?】他都市の失敗例から見えることとは・・!?

2024年5月6日月曜日

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宇都宮市に限らず、全国の地方都市で街のコンパクトシティ化が課題になっています!

しかし、理想とはうらはらに、一向に効果が見えないコンパクトシティ構想が話題になっています。

→「コンパクトシティ」推進10年、見えぬ効果…郊外住民「中心部に住むメリット感じない」(読売新聞)

そもそもなぜ地方都市でコンパクトシティ化が必要なのか?

理由は、少子高齢化と人口減少が進む中、都市機能を集約して行政機能を効率化する必要に迫られているからです。

端的に言うと、予算や人手が足りず、今までのように人口密度の低い場所まで広域でのインフラ維持が困難になってきた現実への対応です!

コンパクトシティとして地方都市が目指しているのは、街のスポンジ化を防ぎ、できるだけ居住地域を集約化させ、人口密度を上げることで、インフラ維持のコストを抑制し、街の活気を維持することになります。

実は、コンパクトシティ構想は国策であり、今から10年前の2014年に「立地適正化計画制度」が導入されたことに端を発します。

宇都宮市を含む、500以上の自治体が計画を策定していますが、残念ながら構想推進から10年経った今も、コンパクトシティ化は思ったように進んでいません💦

コンパクトシティ構想の失敗例を見てみると・・

コンパクトシティの掛け声は立派だけど、実際にめざましい成果を上げている地方は限られます。

コンパクトシティの失敗としてメディア等によく取り上げられている青森県の県庁所在地である、青森市の例を見てみると、、

アウガは2001年にオープンし、青果・鮮魚市場や市立図書館などが入った官民複合の再開発ビルで、「コンパクトシティ」構想の目玉と期待されていました。

当時の新聞記事によると、オープン時は開店前から多数の市民が並び、午前9時の開店と同時にプレゼントしたオリジナルバッグ3000個が約20分でなくなる盛況ぶりだったようです。

市民図書館も来館者でにぎわっていて、当時の職員は来館者が途切れないことに驚いていました。

しかし、年間400万人の来館者目標を掲げていましたが、当初から入場者数が目標の半分にとどまり、前途に暗雲が漂っていました。

オープン時の熱狂はすぐに冷めていき、若者向けのアパレル店や美容室は徐々に撤退し、空き区画には、カプセル自動販売機や休憩椅子、絵画展示場が設置された、寒々しい商業ビルと化していきました。

2016年には運営していた三セクが24億円の債務超過に陥り、市が追加融資した2億円の回収が困難となったことで、当時の市長が引責辞任する事態となりました。

結局、200億円以上の公金が投じられたが、アウガは2016年に経営破綻💦

青森市は18億円あまりを債権放棄しました😅

結果的に、役所とは似ても似つかないデザインの駅前の巨大再開発ビルは市役所となりました💦

当時の青森市は、中心に商業施設などを集め、その周辺を居住エリアに、その郊外は開発を制限して豊かな自然を保護するという3層に分けた都市計画をつくり、「コンパクトシティ構想のはしり」として注目されていました。

だが、コンパクトシティの意味合いは次第に変わってしまいました。

郊外に広がった居住地を中心部に集めるという概念は薄れ、商業主義を前面に打ち出した「中心地のにぎわい」のための再開発へ偏っていきました。

商業主義にとらわれていたのは国も同じで、国は中心市街地活性化法に基づき青森市のコンパクトシティ計画を認定しました。

青森市は、国の支援を受けてアウガを含め、青森駅前に公共投資によってシニア向け分譲マンションやホテルなどが次々とハコモノ整備を進めました。

更に、郊外での宅地開発や大型店の出店規制も行いました。

だが、コンパクトシティ計画は思惑通りには進みませんでした。

人口減少が進む中、集客は進まず、街中心部のにぎわいは年々失われ、コンパクトシティ構想を実行した市長は落選し、次期市長の下で再開発計画は白紙撤回されました。

結果的に、駅前に負のハコモノが積み上がっただけで、青森市のコンパクトシティ構想は暗礁に乗り上げてしまいました。

この失敗例から、コンパクトシティ構想を進行するための、大きな教訓が得られました!

コンパクトシティ政策を進めるための鍵とは!?

コンパクトシティ政策が郊外の不動産開発を制限し、中心市街地へ人や施設の集約を行うことだと誤解している方も多いと思います。

実際に宇都宮市を始め、国が目指しているのは「多極ネットワーク型コンパクトシティ」と呼ばれるものであり、むしろ街の郊外に各拠点を残そうとするものです。

やりたいことは「ぽつんと一軒家」のような住居はできるだけ無くし、近隣のまとまった集落に居住を誘導することがメインです。

青森市が行ったように中心市街地に、多額の予算を使って、ハコモノを次々に作ることだけでは、街のコンパクトシティ化が進まないのは明らかです。

コンパクトシティ化を進める鍵となるのは、「公共交通ネットワーク」です!

単純に、誘導したいエリアにハコモノ開発をしても、人はやってきません。

無秩序にに広がってしまった市街地の中で拠点地域の高度利用を図り、それらを公共交通で結びつけることで、利便性を向上させながら、自主的に居住の誘導を行います。

都市の各拠点間を公共交通ネットワークで結びつけることで市街地を有機的に結びつけるというもので、単なる都市の縮小を目指すものではありません。

各拠点に複合的な都市機能を集約して備えさせることで、生活利便性の向上や行政サービスの維持を目指すことが主眼です。

山間部の集落を廃止して市街地に移住させることは、そもそもコンパクトシティという考え方とは異なります。

過疎地を潰すことではなく、市町村域内の拠点を複数指定して、それらを公共交通で結びつけ集約化するための施策です。

宇都宮市のLRT整備に反対するのはナンセンス

そもそもなぜ、地方都市の街がスポンジ化してしまったのでしょうか?

それはモータリゼーションが進み、マイカーが普及したことに尽きます!

掛け声は立派だけど、全国でコンパクトシティ構想が進まない原因は、移動手段がマイカーに依存しているからです。

街の郊外はインフラ価格が維持費の割に安価に抑えられています。

それでいて土地価格や固定資産税も割安です。

マイカーに依存している都市では、郊外に住居を所有する方が、目先の利益が大きいので、人が郊外に流れるのもしかたのないことです。

全国の各都市がコンパクトシティ構想を掲げながら、一向に効果が出ないのは、マイカーを代替する移動手段を提供できていないからです。

その点、宇都宮市は都市の基幹公共交通となるLRTを新たに整備したことから、住民のマイカー依存からのマインドチェンジに大きなきっかけを作ることに成功しました。

LRT整備をしなかったら、無秩序な街のスポンジ化に歯止めをかけるきっかけもなく、将来のインフラ更新に大きな課題を残したままになっていたでしょう。

つまり、人口が減少していく地方都市ではインフラを維持するために、嫌でもコンパクトシティ構想を進めざる得ないのが現状なのです😅

LRTに反対し、「現状のバス路線で十分。余裕があるなら福祉に使え!」はあまりにも無責任な議論です。

すでに、バスの運転手不足で、バス路線の維持もできなくなっています。

過去ログ→【全国でバス運転手不足が深刻な状況へ!】宇都宮市でもバス路線維持が困難に!?

バスの本数が減り、公共交通が不便になればなるほど、マイカーの依存度は高まってしまいます。

宇都宮市の公共交通を担うバス会社の社長自らが言っているように、LRTへの移行なくして公共交通の維持は困難なのです。

宇都宮市の街全体として、マイカー依存を減らし、運転ができなくなった高齢者の方々が自主的に、最寄りの公共交通の便がいい地域拠点に引っ越してもらえるのが理想でしょう。

宇都宮市のこれからの課題とは?

宇都宮市に限らず、人口減少が進む日本では、スポンジ化して人口密度の低くなってしまった膨大な土地のインフラ更新が困難になるのは時間の問題です。

現実的に、人口密度の低い場所で、インフラ更新を行えない自治体が出てきたとき、そこに住む住民はどうするのでしょうか?

道路、エネルギー、上下水道を自給自足しなければならなくなったら、莫大な設備投資が必要になります。

個人で生活レベルを維持できる人はまずいないでしょう。

民間サービスでも、人口密度の低い場所は、宅配便などの割増料金請求や、利用制限がかかることも十分に考えられます。

街のスポンジ化が止まらないことによる、将来の膨大なインフラ維持コストに比べれば、LRTへの投資など安いものです。

しかし、現実問題として、マイカーに乗れる若い世代には、高価な人口密度の高い誘導地域に引っ越すメリットを感じにくいのも事実です。

宇都宮市で抜本的なマイカー依存の流れを変えるには、「公共交通の無料化」などの大胆な施策が必要になるでしょう。

ヨーロッパを中心に世界中で、公共交通の無料化の試みが始まっています!

→世界で進む公共交通「運賃ゼロ革命」 環境配慮と移動喚起を両立(日経クロストレンド)

公共交通の無料化の効果は予想以上で、人口が増え、税収も増えている都市が話題になっています。

欧州では公共交通は税金や補助金で支えることが常識になっていて、公共福祉の拡大による無料化という考えが自然に出てくるようです。

今までLRTに反対していた野党の方々には、すでに開通しているLRTの利用無料化などを是非政策にあげて頂きたいものです。

日本でも、熊本市で公共交通の無料化を実験し、驚異的な結果が出たことを過去ログで取り上げましたのでご興味あれば是非↓

過去ログ→【宇都宮市の目指すコンパクトシティ化に必要な良策!?】公共交通の無料化は強力な武器になる!?

上がり続ける物価高に庶民は苦しみ、マイカー維持費もうなぎのぼりです。

無料で乗り放題の公共交通があれば、現役世代もマイカー依存から脱し、公共交通の便利な場所への引っ越しが加速されるはずです。

とにもかくにも、宇都宮市のコンパクトシティ構想の成否を決めるのは、「マイカー依存からの脱却」に尽きます!

国も地方都市におけるコンパクトシティ化を進めるためには、「脱マイカー」への誘導が最重要だと位置づけ、公共交通整備への補助と利用の無料化への支援を積極的に行ってほしいです🙌

 

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