【世界的な物価高に向かうなか、日経がLRT西側延伸の課題を特集!】宇都宮市の都市開発に見えてきた課題とは!?

2025年4月11日金曜日

宇都宮市のLRTについて 宇都宮市の不動産と街の動向 不動産投資・大家さんネタ

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先週からの大荒れな金融相場でしたが、発動したばかりの相互関税は、わずか13時間で部分凍結され、一旦落ち着きをみせました。

過去ログ→【突然の世界経済ブロック化で相場急変!】株価下落、金利低下は宇都宮市の不動産マーケットにどう影響する?

しかし、市場の不確実性が非常に高まっており、恐慌指数(VIX)は急上昇しています💦

一旦凍結とされたとはいえ、今までなかった、アメリカへの輸出に10%関税が行われます。

日本の場合、24%が、10%だとすごく安く感じてしまいますが、国内産業に相当大きな影響があるのは間違いありません。

しかも、米中対立は更に加熱しており、今後、世界的に経済のブロック化が進むことになり、サプライチェーンに影響が出て、インフレがさらに加速しそうな情勢です。

→中国、忍び寄るスタグフレーション 引けぬ関税競争(日本経済新聞)

そんななか、日本経済新聞に、LRT西側延伸についての特集記事が組まれています。

今回は、これからの世界的な物価上昇の流れをふまえ、日経の記事を考察したいと思います。

↓日経記事の特集記事リンク↓

→宇都宮LRT、大通り1車線は自動車乗り入れ禁止への布石 ライトライン、30年延伸開業へ加速①

→宇都宮LRT 駅西口停留場、朝夕混雑時への備え必至 ライトライン、30年延伸開業へ加速②

→宇都宮LRT、終点付近の電車留置線は費用抑制の「隠し玉」 ライトライン、30年延伸開業へ加速③

→宇都宮LRT、駅横断見合わせなら国産車導入の好機 ライトライン、30年延伸開業へ加速④

→東武宇都宮再開発、新百貨店と日光ロープウエーは表裏 ライトライン、30年延伸開業へ加速⑤


宇都宮LRT西側延伸計画の全体像

宇都宮市のLRT(ライトライン)は、2030年の開業を目標に、JR宇都宮駅西側に延伸される計画が進行中です。

この計画遂行にあたり、駅西エリアでは大きな3つの変革が予定されています。

  1. 大通りの車線削減:中心部の大通りを現状の片側3車線から1車線に減らす
  2. 路線バスの削減:1日2000本近く走行する路線バスを関東自動車と調整して3割程度削減
  3. 地域内交通の充実:ライトラインの停留場と郊外を結ぶバス路線を増やす

現状、運転手の人手不足が深刻で、全国で路線バスの崩壊が始まっています。

LRTを軸とし、公共交通ネットワークの再編は待ったなしの状況です。

それだけでなく、佐藤市長が長年構想を温めてきた「歩行者優先のまちづくり」「トランジットモール化」を実現するため、中心市街地に大変革をもたす布石でもあります。

大通りの1車線化と停留場の形態に、その布石が隠されていますね。


物価高騰時代の建設費問題

しかし、世界的な物価上昇傾向は、この計画に大きな影響を及ぼしかねません。最も懸念されるのが建設費(整備費)の増加です。

宇都宮市は約3年前に約400億円と見積もっていましたが、日経記事によれば「資材費などの上昇を考慮すれば、想定の約1.5倍(約600億円)以上に膨らむ可能性もある」と指摘されています。

特に、JR宇都宮駅横断部分については「3年前に見積もった全体の整備費約400億円のうち、駅横断部分は約100億円」と佐藤市長は説明していますが、「資材価格の上昇、工期、難易度を考えれば横断部分だけで150億〜300億円に膨らむ可能性はある」との懸念も示されています。

このような建設費の高騰は、グローバルサプライチェーンの混乱による資材価格上昇が主な要因であり、世界的なインフレ傾向が続く限り、さらなるコスト増加は避けられないでしょう。

そろそろ、想定よりもはるかに巨額の建設費が必要になった場合のことも踏まえ、プランBについても考える時期にきているのかもしれません。


費用抑制策としての段階的アプローチ

こうした状況を踏まえ、日経記事では費用抑制策として「駅横断の見合わせ・先送り」が示唆されています。

佐藤市長は選挙公約で「終点、教育会館前付近に『留置線』を検討する」と盛り込んでおり、以下のような段階的アプローチも検討されているしています。

  1. 工期を2期に分け、まずは宇都宮駅西口—教育会館前を30年に先行開業
  2. 盛況ぶりを見た市民の間に東西直結への機運が高まってから
  3. 駅横断部分の工事に着工

この段階的アプローチは、物価上昇が続く不確実性の高い時代において、財政リスクを分散させる賢明な戦略と言えます。

まずは、駅で乗り換えさせてでも、なんとかLRT西側開業を目指し、崩壊しかねないバス路線の再編をし、公共交通のネットワーク維持を優先させるべきでしょう。


車両導入費の高騰と国産車両への期待

車両の導入コストも大きな懸念材料です。現在使用中のHU300形(新潟トランシス製)は、当初17編成で総額80億円(税込み)、1編成4.7億円でしたが、追加発注時には1編成7.5億円にまで高騰しています。

資材価格の上昇、円安で技術指導料が膨らんだことが影響しており、物価上昇傾向の中でさらなるコスト増加が予想されます。

日経記事では、車両の値上がりに対する一つの解決策として、今使っている車両はあきらめ、価格の割安な国産車両の導入可能性が示唆されています。

「狭軌用のLRT開発を急ぐよう社内に発破をかけている」という近畿車両幹部の発言も紹介されており、為替リスクを避け、メンテナンスも容易な国産車両への期待が高まっています。

2つの車両を見比べると、現在のライトラインの車両の方が、デザインがスタイリッシュでかっこいいので、街のブランディングを考えるうえでも、今と同じ車両で東西の運行を統一してほしいところです。

しかし、予算制約を考えると、追加で購入する車両は、価格重視で国産のグリーンムーバーになる可能性が高いかもしれませんね😅


駅西口停留場の設備課題

駅西口停留場の設備不足も大きな課題です。

日経記事でも指摘されていますが、宇都宮市の案では、宇都宮駅西口停留場は上下線2つのホームが向かい合う『対向式2面2線』と呼ばれるタイプを想定していましたが、運行会社の宇都宮ライトレールからまさかの「ダメ出し!」にあいました。

現計画では、朝夕のラッシュ時には工業団地に通う会社員と、JRに乗り換えて首都圏に向かう乗降客であふれかえり、大混乱になると予想されます。

乗降客の少ない『通過駅』で採用される形式で、宇都宮市の『表玄関』となる停留場にしては脆弱との指摘もされています。

駅西口停留場は多くの中高生や会社員が利用する「一大ターミナル」となる見込みで、安全確保のためには上下線ともに幅10メートル以上のホームが必要との見方もあります。

つまり、開業後、混乱なくスムーズな利用ができるために、計画より設備拡充が必要であり、コストが大きく膨らむ恐れがあります。

さきほどお伝えしたように、JR宇都宮駅横断部分だけの建設費は当初100億円が、150億〜300億円に膨らむ可能性であり、計画変更で西口駅前のロータリー改修も膨大なコスト増が予想されます。

冒頭にお伝えしたように、世界的な物価上昇の影響次第では、こうした設備拡充のコストがさらに膨らむ恐れがあり、計画段階での十分な検討が求められます。


東武鉄道との地域連携による相乗効果の創出

直面する壁は高さを増すばかりですが、わずかばかりの希望の光も見えてきました。

それは、東武鉄道グループとの連携です。

東武側から、LRTの東武宇都宮線への乗り入れを目指すことについては異論は出されず、将来的な乗り入れ実現に向けて協議を進めていくことで3者(県、宇都宮市、東武鉄道)で確認したということです。

→LRT西側延伸計画“東武宇都宮線乗り入れ実現へ向け”初協議(NHK)

栃木県と東武鉄道は、県が構想する日光いろは坂のロープウエー計画と、百貨店の再開発を含むLRT乗り入れを密接に関連させ、協議にのぞんでいるようです。

しかし、これらのプロジェクトの実現には、当然ながら採算性が確保できるかどうかが大前提となります。

一民間企業として、東武鉄道側が、採算度外視のプロジェクトに参画することができないのは当たり前です。

自治体が描く理想的な地域連携の絵図と、民間企業が求める現実的な投資判断基準との間には、少なからぬギャップがあり、計画実現には今後の経済情勢や補助金等の金額次第な部分が大きいでしょう。


まとめ:2030年開業は五分五分か?物価高と人材不足の二重苦

冒頭でもお伝えしたように、世界的な貿易戦争で、さらなる物価上昇の波が襲いかかろうとしています。

それだけでなく、日本国内では深刻な建設人材不足という二重の逆風が、宇都宮市のLRT西側延伸計画に暗い影を落としつつあります。

私の見立てでは、2030年ごろ開業目標を達成できる可能性は、現時点で五分五分以下だと言わざるを得ません。

建設資材の高騰は400億円の予算を600億円以上に押し上げる可能性があるだけでなく、建設業界の深刻な人材不足は工期の長期化を招くリスクが高いと考えています。

東側区間でも人材確保に苦労したという話を聞いていますが、西側区間はJR宇都宮駅の横断という技術的難易度の高い工事を含み、より高度な技術を持つ人材が必要となります。

特に懸念されるのは、街の東西を結ぶ駅横断部分の工事です。

資材高騰と人材不足が重なれば、工期は大幅に遅延する可能性が高く、結果的に段階的なアプローチ(まずは駅西口—教育会館前間の先行開業)を取らざるを得なくなる苦渋の決断にいたる可能性が高まります。

車両基地の問題もあり、苦渋の決断を受け入れた場合でも、困難は続くでしょう。

また、物価上昇がこのまま続けば、開業後の運賃設定にも大きな影響が出ることは避けられません。

運賃が高すぎれば利用者減少につながり、低すぎれば運営の財政負担が増すという難しい舵取りを迫られることになります。

日経の特集記事は宇都宮市の都市開発計画の課題を鋭く突いていますが、世界的に悪化しつづける物価高と人材不足の影響は記事が示唆する以上に深刻であると私は懸念しています。

全国でバス路線の崩壊が目前に迫るなか、宇都宮市内の公共交通ネットワークを維持できるよう、どんな形であれ、駅西側のLRT予定区間の開業を急ぐ必要があります。

2030年開業という目標を達成するためには、従来の発想にとらわれない大胆な計画見直しと、官民が一体となった人材確保策が必要不可欠でしょう。

宇都宮市の不動産マーケットは、LRTが西側延伸するかしないかで、非常に大きな影響を受けます。

今後もLRTの最新ニュースを注視し、独自の視点で、皆さまにシェアしていきたいと思います。

今回の内容が、皆さまのお役に立てば幸いです🙌

 

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