8月の実質賃金が8カ月連続マイナスとなり、前年同月比で1.4%減少したというニュースが報じられました!
→8月の実質賃金1.4%減、8カ月連続マイナス 賃上げ波及も物価強く(日本経済新聞)
名目賃金は1.5%増えたものの、物価上昇率3.1%には全く追いつけていません!
つまり、給料は上がっているように見えても、物価はそれ以上に上がっていて、実際の購買力は確実に目減りしているという厳しい現実です。
この実質賃金の低下が、全国の住宅市場に大きな変化をもたらしています。
そして、その変化の波は確実に宇都宮市にも押し寄せています。
首都圏で起きている住宅市場の構造変化
首都圏の住宅市場では、すでに明確な変化が起きています。
ニッセイ基礎研究所の最新レポートによると、この10年で首都圏の新築マンション価格は約6割、中古マンション価格は約7割も値上がりしました。
つまり、中古マンションの方が値上がり幅が大きくなっています。
しかし、取引戸数は大幅に減少しており、2025年7月時点での新築・中古を合わせた住宅供給数は2015年同月比で14%も減少しています。
特に深刻なのが新築住宅の供給減です。
以前からこのブログでは、建築の供給制約の問題を取り上げてきましたが、2025年時点で問題が表面化してきています。
過去ログ→【インフレと人手不足で、東京都心部でも再開発が困難に!?】LRT西側延伸と宇都宮駅西口の再開発にも暗い見通しが💦
新築マンションの発売戸数は2015年同月比で50%減、新築戸建ての着工戸数は同20%減という驚異的な減少率となっています。
その一方で、中古住宅市場は堅調で、成約戸数は中古マンションが同25%増、中古戸建てが同56%増と大幅に伸びています。
その結果、取引の市場規模で、中古マンションが新築マンションを追い抜きました。
住宅供給全体に占める中古住宅の割合も、2019年の23%から2025年上半期には35%へと大きく拡大しています。
つまり、首都圏では実需層が「新築をあきらめて中古へ」という選択を明確にシフトしています。
地方都市でも同様の変化が鮮明に
この変化は首都圏だけではありません。
→「付いていけない」上がりすぎたマンション価格 4000万~7000万円で8割空室…住宅市場の減速鮮明(Yahooニュース)
政令指定都市を抱える、福岡県でも住宅市場の減速が鮮明になってきました。
2024年の分譲マンション販売戸数は前年より18%減少し、2025年上期はさらに落ち込んで前年同期比23%減となりました。
引き金となったのは「高くなり過ぎた価格」です。
4千万円台で推移していた福岡市内の分譲マンション平均価格は2024年に6千万円台へ急騰しました。
郊外でも3千万~4千万円が主流だった一戸建てが5千万円台に上昇し、「郊外の割安感は薄れてきた」という状況になっています。
その結果、完成から1年以上も買い手が付かず、1千万円規模の値引きに踏み切るケースも出ているのです。
興味深いのは、福岡銀行では最長50年の超長期住宅ローンを選ぶ利用者が今年に入って約3割に増えているという事実です。
50年も住宅ローンが続くのですよ・・(払い終わるまで健康でいられるのでしょうか?)
これは、価格高騰により通常の35年ローンでは月々の返済が厳しくなっている世帯が確実に増えていることを示しています。
前回のブログでもお伝えしましたが、このような無理なローンは極めて危険です。
過去ログ→【ペアローンで住宅購入、ちょっとまって!】宇都宮市内でもペアローンが急増中!17年ぶり金利上昇でリスクは最大級に!?
宇都宮市内でも中古物件の需要が急増中
全国的なこの流れは、ワンテンポ遅れて宇都宮市内にも確実に押し寄せています。
実際に、私が現場で肌で感じているのは、中古物件への問い合わせが明らかに増えているということです。
特に顕著なのが、築浅の中古物件への関心の高まりです。
「新築は予算オーバーだけど、築5年以内なら検討したい」という声を頻繁に聞くようになりました。
一方で、新築マンション・新築戸建ての販売は宇都宮市でも絶不調です。
複数のデベロッパーから聞いた話では、完成後も売れ残る物件が増えており、値下げに踏み切らざるを得ないケースが目立ち始めています。
実際に、宇都宮市内でも今、売れ残りの大セールをやっている物件が複数存在しており、これから購入を検討している人にとっては逆にチャンスと言えるかもしれません。
新築供給の激減は避けられない
業界関係者の間では、「将来的に宇都宮市内でも新築の供給が激減するのは間違いない」というのが共通認識となっています。
過去ログでも繰り返しお伝えしてきましたが、建設コストの高騰により、もはや採算の取れる新築開発は極めて限定的になっています。
過去ログ→【全国で公共工事のストップが続出!都心マンションバブルでも供給減!】つくれない時代が宇都宮市の不動産に与える影響とは?
世界的なインフレと人手不足は今後も続くと予想され、建築価格の高騰は止まる気配がありません。
実際に、複数のマンションデベロッパーは「JR宇都宮駅から徒歩5分圏内でなければ開発しない」という極めて厳しい立地基準を設けており、それ以外のエリアでは事実上、新築供給がストップしつつあります。
この状況は、中古物件の価値を相対的に大きく押し上げることになります。
特に注目すべきは、建築費高騰前に建てられた築浅物件です。
今が最もコスパの良い築浅物件を狙える時期
首都圏の流れを見ると、今後、宇都宮市内でも築浅の中古物件価格が上昇していくのは間違いないでしょう。
なぜなら、新築供給が激減する中で、質の良い中古物件への需要が確実に集中するからです。
特に、建築費高騰前の2020年~2022年頃に建てられた築浅物件は、今の新築と比べて建築コストが大幅に安い時期の物件です。
つまり、品質は新築とほとんど変わらないのに、価格は相対的に割安という「黄金期」の物件なのです。
首都圏では既にこの認識が広がり、築浅中古物件の価格が上昇し始めていますが、宇都宮市内ではまだ新築にこだわるユーザーが多く、賢く選択すればお買い得な物件が探しやすい状況です。
実質賃金が8カ月連続マイナスという厳しい経済環境下で、無理な新築購入に走るのではなく、コストパフォーマンスの良い中古物件を冷静に検討することが、賢明な選択ではないでしょうか。
中古物件選びのポイント
中古物件を検討する際、特に重視すべきポイントがいくつかあります。
まず、立地です。
重要なのは、インフレに乗って地価の上昇が期待できるエリアを選ぶことです。
うまく行けば、マイホームで大きな資産形成が狙えます。
しかし、宇都宮市内ではこのような場所は非常に限れており、JR宇都宮駅徒歩圏内と、LRT沿線の電停徒歩5分圏内のような、交通利便性の極めて高いエリアに集中しています。
次に、築年数と管理状態です。
築5年以内の築浅物件で、適切に管理されている物件は、新築と遜色ない快適性を保ちながら、価格面で大きなメリットがあります。
そして、建築時期です。
建築費高騰前の2020年~2022年頃に建てられた物件は、今の新築より圧倒的にコストパフォーマンスが良い「お宝物件」と言えます。
さらに、リフォーム済みやリノベーション済みの物件も注目すべきです。設備や内装が新しくなっていれば、新築同様の快適性を得られます。
まとめ:時代の変化を受け入れた賢い住宅選択を
実質賃金マイナスが続く中、無理な新築購入は家計を圧迫するリスクが極めて高くなっています。
前回のブログでもお伝えしたペアローンの危険性に加え、金利上昇リスクも現実のものとなっています。
全国的に中古市場が活況を呈する中、宇都宮市内でもその変化は確実に進行しています。
新築神話から脱却し、コストパフォーマンスの良い中古物件を冷静に検討することが、これからの時代に適した賢い住宅選択となるでしょう。
特に、建築費高騰前に建てられた築浅物件は、今後も供給が限られる中で価値が上昇していく可能性が高く、今がまさに狙い目のタイミングと言えます。
新築にこだわらず、質の良い中古物件を選ぶ勇気が、将来の資産価値保全と家計の安定につながるのではないでしょうか。
今回の内容が、皆さまのお役に立てば幸いです🙌
本記事は2025年10月8日時点の情報に基づいています
★荻原功太朗の業務について★
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