宇都宮市はLRTのJR宇都宮駅西側への延伸計画をめぐり、延伸にあたっては駅西側の大通りの一部の区間を、現在の最大片側3車線から1車線に減少させる方針を示しました。
車線が1車線になるのは、JR宇都宮駅西口駅前広場から、宇都宮地方裁判所前までの区間で、すべての交差点に右折レーンを設置することや、車線とは別に停車帯を設けることで、車の通行を妨げることなく、バスの乗り降りや荷さばきが行えるようにする見込みです。
中心市街地への移動手段を公共交通優先にし、自動車の流入を抑制し、「ウォーカブルな中心市街地」を目指す計画です。
宇都宮市はLRT西側延伸を契機に、本格的なモータリゼーション脱却への一手を打ち出しました!
2026年3月には、駅西側の都心環状線が全線開通し、主要な自動車を都心中心部から排除し、その後のLRT延伸計画に合わせて、現在は「市内交通の大動脈」である大通りを片側3車線から1車線へと大胆に縮小する予定です。
この「ウォーカブルな中心市街地」という理想は、果たして現実となるのでしょうか?
都心環状線がついに完成、市内交通の流れが変わります!
宇都宮市の中心市街地を囲む「都心環状線」が来年3月についに全線開通します。
宇都宮地裁東側の227メートルと県庁前通りの93メートルという小さな未開通区間が、長年の課題でした。
現在迂回路として使われている「本郷町通り」は片側1車線の狭い道路で、電柱が道路側にせり出し、バス路線でありながら安全性にも問題がありました。
新道路は歩道と自転車通行帯を完備した片側2車線の4車線道路となります。
さらに、県庁前通りと清住町通りが交差する「亀の甲坂」も拡幅されます。
これで宇都宮市の東西移動が大通りを経由せずとも、スムーズに移動可能になることが期待されます。
LRTの西側延伸がもたらす街の東西軸強化
注目すべきは、LRTの西側延伸により、JR宇都宮駅を中心とした東西を結ぶ新たな「街の背骨」が形成されることです。
これまで市内の東西移動は、迂回路を通る不便なバスやマイカー移動に頼らざるを得ませんでしたが、LRTという定時性の高い交通手段が加わることで、市民の移動の選択肢が大きく広がることになります。
特にLRTが先行して開業している東側エリアには大学や工業団地、ショッピングセンターなど重要な施設が多数存在し、LRT沿線の住民も増加しています。
JR宇都宮駅を中心に東西がLRTでつながることで、街に明確な「背骨」が形成されることで、分断されていた市街地が一体化し、人々の流れが活性化するのは間違いありません。
特に長年の課題だった、東武宇都宮駅とJR宇都宮駅を結ぶ、わかりやすくスムーズな動線が確保される経済効果は絶大です!
過去ログ→【宇都宮市のLRT西側延伸、その先にある未来とは!?】東武宇都宮線への乗り入れと、デパート再開発の行方とは・・!?
都市として、マイカーに依存しなくとも、LRT沿線に住むことで、快適なシティライフを楽しめる住環境が整備される効果は街の魅力を大いに高めることになるでしょう。
観光客も宇都宮市東西の幅広いエリアを散策しやすくなり、観光収入増も期待できます。
LRTの西側延伸は単なる「公共交通再編」にとどまらず、街の「東西分断」を融和し、地域をつなぎ、大きな経済効果を発揮することが期待されます。
特に、渋滞もなく、わかりやすく利用しやすい公共交通の整備は、年少者、高齢者、障がい者の皆さんにとっては大きなメリットとなるでしょう。
衝撃の大通り1車線化!宇都宮市の本気度
特筆すべきは、宇都宮市がLRT西側延伸に合わせて、大通りを片側3車線から1車線へと激減させる方針を打ち出したことです。
これはただの交通政策ではなく、都市のあり方を根本から変える挑戦です。
宇都宮市は「ウォーカブル」という言葉を用い、中心市街地を公共交通と徒歩で移動できる空間にしたいとしています。
車ではなく人間中心の街づくりへと明確に舵を切ったと言えるでしょう。
ウォーカブルシティへ、理想と現実
しかし、理想と現実の間には深い溝があります。
都心環状線には一部片側1車線区間も残っており、大通りからの交通量を吸収しきれるのか疑問が残ります。
市の調査では渋滞対策は万全で、問題ないとされていますが、朝夕のラッシュ時には新たな渋滞ポイントが生まれる可能性も高いです。
さらに根本的な問題として、便利なマイカーからの脱却は容易ではありません。
公共交通への移行には明らかに多くの労力が伴います。
バス停や駅まで歩き、時刻表に縛られ、混雑した車内で移動する不便さを、マイカーに慣れた市民は受け入れてくれるでしょうか?
自転車通勤も、雨の日や猛暑の夏、厳寒の冬には「苦行」となります😅
こうした現実を無視した政策は、机上の空論に終わる危険性をはらんでおり、反発も予想されます。
変革の負担、誰が引っ張り、誰が我慢するのか
変革には必ず不便さが伴います。
便利な車の使用制限は、多くの市民の生活を変えることになります。
しかし、「みんなが進んで不便を受け入れる」ことはほぼあり得ません。
では、この変革を誰が引っ張り、その不便さは誰が我慢するのでしょうか?
理想を語るのは簡単ですが、実際の変革は難しいものです。
LRTが西側に整備された後、中心市街地へのマイカー移動は確実に不便になります。
生活スタイルの変化が定着するまで、当面は市民から不満の声が上がることを覚悟する必要があります。
また、この変革を進めるのは、行政だけではありません。
「先見性と行動力を持った少数の市民」の役割も大切です。
若い世代を中心に新たなライフスタイルの「先駆者」たちが新しい交通手段を積極的に使い、その魅力を周りに示すことで、少しずつ理解が広がっていくはずです。
宇都宮市の今回の計画は、交通政策というより、市民の行動パターンを変える社会実験とも言えます。
大通りを1車線にするという強制的な変更によって、市民は嫌でも新しい移動方法を考えざる得なくなります。
大切なのは、なぜこの変革が必要なのか、どんな街を目指しているのかを市民に分かりやすく説明し、意見に耳を傾けることでしょう。
車の「完全排除」という選択肢
実は、車での移動をあえて不便にすることが、街の魅力を高めるためには、重要なのかもしれません。
世界の魅力的な都市の多くが、一般車を完全に制限することで人間中心の空間を創出しています。
歩行者優先の街では、人々はゆっくりと歩き、周囲を見渡し、立ち止まり、店に入り、他者と交流します。
中心市街地にあった商業機能のほとんどは、郊外のショッピングモールに移転しており、中心市街地の再生には新たな魅力づくりが不可欠です!
片側1車線化という宇都宮市の決断は大胆ですが、むしろ世界の魅力的な都市の政策から見れば、「中途半端」と言えるかもしれません。
世界のの先進都市では、中心市街地から車を完全に排除する「カーフリーゾーン」の設置が進んでいます。
大通りから完全に車を排除し、LRTと歩行者、自転車だけの空間にするくらいの覚悟があってもいいのではないでしょうか?
むしろそのくらいの大胆な変革があってこそ、真の「ウォーカブルシティ」が実現するのではないでしょうか。
半端な対策は半端な結果しか生まないことが多いのです。
1車線化で渋滞が発生し「やっぱり車の方が良かった」という世論に押し戻されるリスクを考えると、思い切った決断の方が長期的には成功する可能性が高いとも言えます。
宇都宮市の大通り1車線化は、単なる「車の制限」ではなく、「人間の復権」と捉えることができます。
これまで車のために使われていた空間を人々に取り戻すことで、中心市街地に新たな魅力を与え、人々が進んで集まりたくなるよう場所にすることで、時代に合った新たな都心を創造できるはずです。
しかし、この「意図的な不便さ」は、市民の理解と協力がなければ反発を招く危険性もあります。
「痛みを伴う変革」のプロセスをいかに市民と共有していくかが、成功の鍵となるでしょう。
宇都宮市の大胆な挑戦が始まろうとしています。
これは単なる交通政策の変更ではなく、都市のあり方、そして私たち市民の生活様式そのものを問い直す試みです。
その成否は、私たち一人ひとりの意識変革にかかっているではないでしょうか。
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