インフラ更新の必要性を国民全体に知らしめることになった、埼玉県八潮市で起きた県道陥没事故
交差点に開いた穴の拡大が執筆時点でまだ続いています💦
これだけの大事故ですから、普及に相当な時間がかかることを知事自ら発言しています。
大野知事は「被害を最小限に食い止めることが私たちの職務です。影響が長期化する懸念があり、ご迷惑をかけるが、ご協力をいただけるようお願いしたい」と呼びかけました。
事故現場周辺ではすでにインフラの障害が起こっています。
このように、全国各地で生活インフラが崩壊し、普及までに長期を要する自体が頻発することが懸念されています💦
すでにインフラ崩壊は始まっている!?
このブログでは技術革新でも解決不可能な、インフレと人手不足による物理的な建築需要の供給制約の壁について日々言及しています。
過去ログ→【インフレと人手不足で、東京都心部でも再開発が困難に!?】LRT西側延伸と宇都宮駅西口の再開発にも暗い見通しが💦
過去ログ→【宇都宮市のLRT延伸は中心市街地を救えるのか!?】物理的に再開発が困難になり、多くの課題が山積か!?
再開発の延期や見直しだけで、いっぱいいっぱいの状態なのに、ここにさらに上乗せして、インフラ更新の需要が急増しています!
さらに、今回の事故で衝撃的だったのは、事故原因とされる下水道管の劣化状態が最悪レベルではなかったことです!
最も状態の悪いAランクではなく、ただちに工事が必要な状況にないBランクでした。
今回事故原因となった下水管よりさらに状態の悪い管が全国各地にたくさんあり、同様の事故を相次いで起こすかもしれないのです。
しかも、この問題は下水管だけに限りません!
道路や橋など他のインフラも同様の経年劣化による更新問題を抱えています。
日本各地どこであっても、インフラが崩壊したときに、今まで通りに完全に普及させることが物理的に困難になりつつあるのは、震災のあった能登の復興状況を見れば明らかです。
今まで長期間かけて構築された広域のインフラネットワークの維持は限界を迎え、どこに優先的に配分していくか、日本全体のスケールダウンが迫られています。
意図せず加速する!?宇都宮市のコンパクトシティ構想
日本各地で起こるインフラ老朽化、世界的なインフレと深刻な人手不足による供給制約。
これらの要因が、宇都宮市の都市構造を大きく変えようとしています。
宇都宮市は「ネットワーク型コンパクトシティ」を掲げ、LRTを基軸とした計画的な都市集約を目指しています。
しかし、実際には供給制約による影響で、市のもくろむソフトランディングな都市の集約がうまくいかず、ハードランディング「強制的な集約」を迫られる可能性が高まっています。
今回話題になっている事故同様、都市郊外における水道管の老朽化は深刻です。
建設後40年以上経過した管路が増加する一方、補修・更新の技術者は不足の一途です。
さらに、資材価格の高騰や調達の困難化も、インフラ維持を妨げる要因となっています。
これから起こりうるシナリオを考えてみると
都市部での再開発が優先され、必要なインフラ更新が順番待ちで行えず、郊外部での水道管破裂が頻発化します。
修理待ちが長期化し、一部地域では安定した水供給が困難になり生活に支障をきたします。
また道路や橋梁の維持管理も滞り、通行止め箇所がところどころ増えていき、交通の利便性が低下していきます。
インフラの崩壊箇所を普及するのにリソースが取られることで、必要なインフラ更新ができない箇所が増えてしまい、崩壊の悪循環が加速することが予想されます。
結果として、住民は半ば強制的に、利便性の高い地域へ移動を迫られることになります。
資本主義社会は人よりお金優先
普段は耳障りのいい人権最優先の立派な理念を掲げていても、資本主義の本質は良くも悪くも「お金」優先です💦
都会の再開発や万博建設を中断し、日本全国のリソースを全集中させて、震災のあった能登地方を復興できないのもそのためです。
今の社会システムでは「お金」最優先で進むしかなく、大都市圏への建設資源の集中が避けられず、地方インフラ維持に回せるリソースは、ますます縮小していきます。
首都圏では、渋谷、新宿、品川など巨額の大規模再開発が矢継ぎ早に進行しています。
結果的に、投資資金は収益性の高い都市部に集中し、限られた建設リソースも大都市の再開発現場に優先的に配置されます。
皮肉なことに、大都市に建設リソースが奪われることで、宇都宮市のような地方都市ではインフラ崩壊が早まり、コンパクトシティ化の流れが加速しそうです。
ただし、その過程は計画的な誘導ではなく、インフラ機能の低下による「消極的な集約」となります。
さらに、建設資源の大都市集中により、この変化は予想以上のスピードで進む可能性があります。
問題は、その変化があまりにも急激で無秩序なものになる可能性が高いことです。
そして、市場原理に任せた資源配分が、この問題をさらに深刻化させることは間違いありません。
迫られるインフラの選択と集中だが・・
私たちに残された時間はそれほど多くありません。
そのため、インフラの選択と集中を、より計画的に進めていく必要がありますが、ここには大きな問題があります。
第一に、政治的な制約があります。
特定の地域のインフラ維持を放棄するという判断は、その地域の住民の反発を招き、首長や議員の政治生命に関わります。
宇都宮市でも、どの地域のインフラを優先的に維持し、どの地域を「切り捨てる」のかという判断は、事実上不可能でしょう。
第二に、行政組織としての限界があります。
これまでインフラを「作る・維持する」ことを前提としてきた組織が、「撤退・縮小」という逆の発想で政策を立案・実行することは極めて困難です。
必要な知見も経験も不足しています。
第三に、住民との合意形成の難しさがあります。
「インフラ維持が困難になる」という将来予測を、具体的な数字とともに住民に示し、理解を得ることは容易ではありません。
特に、高齢化が進む地域では、将来の居住継続への不安から、強い反発が予想されます。
本質的な問題は、インフラ機能の低下が「じわじわと」進行することです。
突発的な大災害とは異なり、日々の劣化は目に見えにくく、危機感の共有が困難です。
結果として、計画的な対応の機会を逃し、今回の道路陥没事故のように、広域で長期間インフラに障害が発生する可能性が高くなっています。
まとめ
建設リソースが急減してく状況で、インフラの維持・更新範囲を縮小することは「避けられない現実」として認識し、備えていく必要があります。
しかし、現実的に、計画的な都市の縮小を行うのは困難です。
結果として、インフラの必要な更新ができず、劣化が徐々に進行し、今回のような事故が全国各地で相次ぐことが懸念されます。
インフラ維持の縮小エリアを計画的に決められないことから、事故が相次いだ際、補修・更新の優先順位は、それぞれの思惑で場当たり的に決定される可能性高くなります。
つまり、「計画的な選択と集中」ではなく、「なりゆきによる縮小」が現実的な展開となりそうです。
この過程で、インフラ維持が困難な地域から、より利便性の高い地域への人口移動が、自然発生的に進むことになるでしょう。
行政組織としては「撤退」という選択肢を明示的に示すことができず、結果として後手の対応を強いられ、混乱を助長してしまう可能性が高いです。
この状況を変えるためには、国レベルでの制度設計や、より広域的な視点からの調整が必要かもしれません。
しかし、その議論も、目先の再開発や経済活性化に注目が集まる中では、既存のインフラ更新への優先順位が下がってしまうのが現状です。
私たちは、このジレンマにどう向き合うべきなのでしょうか。
今後も定期的にこの件について、深堀りしたいと思います🙌
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