ついに、、東京の都心部でもインフレと人手不足の影響で、再開発がストップする事態が現実となり始めました!
東京、中野区のシンボルだった「中野サンプラザ」。
その跡地の再開発計画が着工を目前にし、突然工事がストップしたことを受け、波紋が広がっています。
→「中野サンプラザ」建設費用が当初の“倍”「3539億円」に…再開発計画を見直しか? 2029年度完成予定も着工できず(FNNプライムオンライン)
中央線だと新宿から一駅、中野駅の駅前という都心の好立地での再開発案件が突然の着工停止です😓💦
計画では、中野サンプラザの跡地や周辺に、地上61階、高さ262mの高層ビルに商業施設、最大7000人規模の大ホール、ホテルやマンション、オフィスなどが入る複合施設で、2029年度に完成予定となっていました。
当初の予定では、9月中に着工が始まる予定でしたが、周囲に工事用のフェンスは設置されているが、重機は見当たらず、建物の解体作業も始まっていません💦
再開発計画が頓挫した原因は、インフレによる資材高騰と人件費の高騰などによる、度重なる建設費用の引き上げです!
事業計画が提案された当初、NAKANOサンプラザシティの事業費は約1810億円でしたが、見直しが繰り返される度に増額していきました。
そして、2024年9月には、施工主から中野区に「さらに900億円以上増える」と伝達があり、当初の試算の約2倍となる、3539億円にのぼる巨額の建設費増となる可能性が出てきたため、再開発計画が着工を目の前にしてストップされたようです。
まさか、東京都心部の駅前にしばらく廃墟ビルが放置される事態が起こることになるとは誰が想像できたでしょうか💦
中野サンプラザの再開発だけでなく、ここに来て、全国的に、インフレと人手不足の影響で、再開発計画が続々と頓挫し始めています!
インフラ整備と再開発計画の見直しが相次ぐ
→福島駅東口再開発ビル、事業費微減550~580億円 福島市負担は当初比60~80億円増見込み(福島民報)
福島市のJR福島駅東口駅前の再開発計画では、資材高騰などのあおりを受け、当初想定していた492億円から589億円に膨らみ、費用の削減を検討していました。
しかし、高騰の影響は収まらず、市の財政負担は当初の想定から60億~80億円多くなる見込みで、市民の理解を得られるのかが微妙な情勢となっています。
すでに着工されている再開発が計画変更を繰り返し、開業時期は当初、2026年度の予定でしたが、開業の見通しが伸び伸びになっています😅
新潟市でも、旧新潟三越跡地の再開発事業を巡り、物価高による資材費や人件費の高騰で、事業計画の大幅な見直しを迫られているようです💦
→[旧新潟三越跡地再開発]事業主体の本組合移行、当初予定9月より遅れる見通し 物価高騰に伴う事業見直し影響か(新潟日報)
一方、国策で開発を進めているリニア新幹線ですら、計画が見直されています。
→リニア中央新幹線 一部工事で完成が2031年の見通しを公表(NHK)
ここへ来て、日本全国で、インフラ整備や再開発の計画見直しが相次いでいます。
まさかの都心部までもが、再開発計画が頓挫して始めているのは、事の深刻さを表しています。
東京都心部ですら、インフレと人件費の高騰で、再開発投資で採算が取れない状況となってきているのです。
大都市圏ですらこのありさまですから、地方の再開発が相次いで見直しだけでなく、中止に追い込まれるのも時間の問題だと推測されます。
宇都宮市でもすでに影響が出ている
先日ここでもお伝えしたように、宇都宮ブレックスの新アリーナも建設も、建築コスト影響を受け、完成予定が間に合わず、無期限の延期となってしまいました😓
過去ログ→【宇都宮ブレックスの新アリーナ、建設間に合わず延期へ!😭】建築コスト高騰でJR宇都宮駅西口の再開発にも暗雲が!?
→川崎の新アリーナ 開業は28年10月から2年遅れ 建設業界の人手不足で(神奈川新聞)
全国から若い世代が集まっている首都圏でもこのありさまです。
宇都宮西口駅前で現在建設中の複合タワーマンション「アトラスタワー宇都宮」(地上20階・地下1階)でも、総事業費が2022年の約58億円から近年の資材高騰のあおりを受けて10億円近く増加しました。
今のところ販売が好調のようなので、価格に建設費の高騰分を上乗せできそうなため、それほど問題なく再開発は進んでいます。
→宇都宮駅西口に「億ション」誕生へ 建設中の複合ビル 問い合わせなど1000件超(下野新聞)
これから予定されている、LRTの西側延伸やJR宇都宮駅西口の再開発については、かなり黄色信号が灯って来たのは間違いありません。
特に、民間主導のJR宇都宮駅西口駅前や大通りの再開発については、建築コストの上昇分をビジネスとして価格に反映できない公算となった時点で、計画は見直しとなり、最悪は再開発計画が白紙になる可能性が高いでしょう。
労働者が受け取った給与から、インフレ率の影響を除いた実質賃金は、2年以上のマイナスからようやく抜けたのもつかの間、すぐにマイナスに戻ってしまいました💦
→8月の実質賃金 3か月ぶりマイナス 物価上昇に賃金追いつかず(NHK)
皆様も、賃金の上昇が物価の上昇に全然追いついてないと、日々感じていませんか?
可処分所得は減り続けており、さらに住宅ローン金利は変動でも上昇を始めました。
つまり、消費者サイドでは値上げを受け入れられる余地はほとんどありません😓💦
そのため、全国各地でこれから更に再開発計画の見直しが相次ぐことが予想されます。
残念ながら、世界的にインフレ傾向は全くおさまる気配がなく、さらに国内ではこれから更に深刻な建築人材の不足が起こることは確実なので、状況は悪化すれど改善を期待できません😭
LRTの西側延伸は公共交通の整備ですから、宇都宮市と栃木県、国の事業となり全額税金を使った公共投資になりますから、例え建築コストが今計画されている金額から、2倍、3倍と値上がりしても、住民の同意があれば推進できます。
しかし、民間が参加する再開発案件は、採算が合わないと見込まれれば、すぐに撤退します。
今回取り上げた、再開発案件も計画を見直すということは、計画の縮小を意味し、大型案件になればなるほど、縮小することで使用できる床面積が減ることから、採算を取るのが難しくなるでしょう。
そのため、「見直し=計画の白紙」になる可能性が高いと見ています。
LRT西側延伸も民間投資が期待できなければ困難に!?
先日、次回の市長選挙立候補を表明している現職の佐藤市長は、公約としてLRT西側延伸の時期を「2030年に運行開始」を目指すと発表しました。
→【2024年宇都宮市長選、現職の佐藤市長、LRT西側延伸2030年運行開始を公約に!】駅西側の再開発は一気に進むのか!?
当初、2030年代前半とされた運行開始の計画を大幅に前倒し、スピードアップするとのことで、今の時代を良く理解した賢い判断だと思います。
スピードアップにより、建築コストを大幅に節約できるとはいえ、中野サンプラザの再開発同様に巨額の事業ですから、想定より、2倍、3倍の予算増が容易に想像できます。
以前ご紹介した、浜松市が作成したLRT東側コスト資料を見ればわかるように、LRTの事業費の半分は国から援助してもらえます。
しかし、コスト増が2倍くらいまでならなんとかなるかもしれませんが、3倍ともなると、住民の理解を得るのは難しいと思います😅
また、このまま皆の実質賃金が停滞を続けたら、せっかく公共交通の整備を行っても、沿線に民間から再開発投資を呼び込めないため、西側延伸計画は大幅に延期せざる得ない可能性が高いでしょう。
そうこうしているうちに、街の人口減少はスピードアップしていくので、LRT西側延伸の開発そのものが凍結ともなりかねません。
いずれにしても現状では、宇都宮市内のすべての再開発事業に、建築コスト上昇による供給制約の影響で、黄色信号が灯っているような状況です。
投資家視点では冷静な判断が不可欠
こういった将来の希望に水を差すような内容は、誰にとっても耳が痛いので、ここに書くことをためらう気持ちもあるのですが、、😅
投資家視点では、常に現状の冷静な経済情勢の分析が不可欠です。
心理学では、人間の防衛機能ひとつとして、受け入れがたい現実や不快な出来事から目をそらし、現実を認識しないようにする「否認」と言う作用に陥りがちです。
あまりにも期待が先行してしまうと、知覚しているにもかかわらず、その現実や出来事を頑なに認めず、視界に入っているのに「見えてない」、知っているはずなのに「知らない」という状態になります。
多くの方がこの状態に陥っているなか、冷静な現状分析ができれば、不動産投資でも大きなチャンスが必然的に良く見えてくることになるでしょう。
個人的にもLRTの西側延伸を実現し、街の東西の背骨を是非とも構築し、街全体の持続ある成長を期待していますが、安易な期待だけを抱くのは禁物です。
現状を見れば、LRT西側延伸がうまくいく可能性はよくて五分五分くらいの確率だと見ています。
もし開発延期のような発表があれば、実質、計画凍結を意味することになると思いますので、本当に、本当に、ここ数年でいかに早期に着工にこぎつけるかが勝負でしょう。
LRT西側延伸で盛り上がっている期待に反し、中心市街地は衰退し、宇都宮市における不動産相場は、東高西低の流れが加速するかもしれません。
皆様の不動産運用の参考になれば幸いです。
★荻原功太朗の業務について★
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