前回もお伝えしましたが、ここへ来て全国各地で、建築コストの上昇に耐えきれず、再開発案件の頓挫が目立ち始めています。
東京都心部ですら、再開発が着工直前でストップしているくらいですから、事の深刻さを不動産の現場では痛感しています💦
過去ログ→【インフレと人手不足で、東京都心部でも再開発が困難に!?】LRT西側延伸と宇都宮駅西口の再開発にも暗い見通しが💦
何が深刻かというと、再開発が困難になるということは、すべからく新築で新たな建物を建築することそのものが難しくなるということです!
都市が成長するには、街の新陳代謝として、再開発の継続は不可欠です。
都市のキラキラした明るい未来の展望を抱くことそのものが、難しくなりつつあります😓
宇都宮市でも新築マンションは高嶺の花に!?
宇都宮市内でこれから分譲が予定されている新築マンションの販売価格を見ていると、そろそろ新規の不動産開発も限界に近いと感じています💦
↓ 例えば、こちらの物件 ↓
宇都宮市内ではおなじみの穴吹工務店が開発を手掛ける、分譲マンション「サーパス」ブランドの、「サーパス元今泉スクエアガーデン」。
(マンション名が長いと住所を書くときに大変ですよねww😅)
白楊高校の西側、旧デニーズの跡地に建築されている分譲マンションです。
南側は2車線歩道付きの道路に面し、陽当り良好、目の前にスーパーオータニ、近隣にヤマダ電機や駅東公園もあり、JR宇都宮駅までも徒歩圏と、人気抜群のロケーションです!
この物件の販売価格の情報が伝わってきまして、5000万円台〜7000万円台とのこと😮!
人気のロケーションとはいえ、これからマイホーム購入を検討するニューファミリー層には、高値の花となりそうな価格帯です💦
平均年収の中央値から導かれるマイホームの限界値
栃木県の正社員の年収中央値は、2024年10月時点で398万円とされています。
約400万円と試算し、この年収で購入できるマイホームの限界価格は、最大4000万円が上限と言われています。
とはいえ、年収倍率の10倍近い金額のローンを組むのは危険すぎます。
年収400万円位で住宅ローンを組む場合、返済負担率は20~25%程度が理想とされており、無理のない返済計画を立てるにはこのあたりが現実的です。
しかし、、それだと2250万円ほどしか借りられません💦
この場合、月々の返済額は69000円ほどになります。
年収が400万円の場合、手取り額は約314万円、月収では約26万円ほどです。
ボーナスが支給されることを考慮し、ボーナス支給月以外の月の手取り額は25万円よりも少なくなりますから、例えば、年間80万円のボーナスが支給される場合、月々の手取りは約22万程度となります。
手取り22万円程度で、7万円弱の住宅ローンの支払いとなり、残りの生活費は15万円となり、これくらいなら無理のない返済と言えそうです。
しかし、昨今は建築コストの上昇を加味し、負担率の目安は、年収の30%〜40%を推奨する記事が増えています💦
しかし、現実的に毎月の支払額を計算してみるとかなり厳しい生活を迫られることが明らかになります。
負担率30%では、毎月の支払いは10万円ほどで、22万円の手取りでは、12万円が生活費に💦
負担率40%では、毎月の支払いは13.5万円ほどとなり、22万円の手取りでは、生活費は10万円を切り8.5万円に😅💦
単純に計算しても、年収に対しての住宅ローンの負担率は30%くらいが限界だと思われます。
仮に、奥さんも子育てしながらパートとして働き、年収200万円ほどを稼ぐとすると、奥さんの手取り月収は約13万円です。
夫婦でペアローンを組むとして、合算年収600万円の負担率30%で計算すると、5000万円の借り入れができます。
夫婦合算の毎月の手取りが35万円ほどで、毎月のローン支払いは、15万円ほどになります。
残りの生活費は毎月20万円ほどとなり、このあたりが現実的なローン支払いの上限だと思います。
つまり、栃木県内のサラリーマン層の年収中央値から割り出されるマイホームの購入価格の上限は、夫婦ペアローンでも5000万円位が限界だと見られます!
今回の試算は、インフレが止まらない現状で、変動金利の利率もいずれ物価の上昇程度に上がることを考え、固定1.5%の金利で計算しましたが、通常、金利は物価上昇率以上でないとおかしいはずです。
日本のインフレ率は、2023年で平均3.21%と、ここ10年近くで最も高い上昇率となっています。
実際の物価上昇率より低い借り入れ金利がいつまでも維持できるはずもなく、いずれ借り入れ金利も上がってくることを想定すると、手取りの収入が増えないことには、購入できる物件の価格は更に下がることが予想されます。
実質賃金が上がらないと不動産開発の限界が見えてくる
いくら年収が増えたところで、社会保険料等の負担が増え、手取りの収入が増えなければ、なんの意味もありません。
まして、インフレ率以上に手取りの収入が増えなければ、生活は苦しくなるばかりです。
日本国内では2022年頃からインフレ傾向が鮮明となり、その頃を境に、実質賃金は下がる一方となっています。
いまのインフレは景気が良すぎてインフレになったわけではなく、円安や各種資源の高騰からくるコスト・プッシュ・インフレですから、企業サイドでは、利益を出すために、人件費を上げるどころか、むしろ削減する方向に舵が向きます。
つまり、今後も賃金が物価上昇に追いつくのは全く期待できないでしょう💦
そうなると、宇都宮市内では、新規の不動産開発が可能かどうかの臨界点をすでに迎えていると感じています。
宇都宮市内ではこれから、分譲マンションの開発可能エリアはかなり限られた、一部の一等地のみ限られ、開発のペースも落ちていくと予想します。
身の丈にあったマイホーム選びをしないとローン破綻に!?
そうはいっても、ニューファミリー層にとって、マイホームは一生に一度の特別な買い物であり、新築にこだわる方々もまだまだ多いのが実情です。
最初から中古物件を選択するような方は、かなり稀です。
そのため、夫婦ペアローン、40年返済、返済率30%以上のかなり無理した住宅ローンを借りる方も増えています😅💦
しかも多くの方は金利の安い、変動金利の住宅ローンを選択していますから、40年間のうちに突然金利が急騰するようなことでもあったら、即ローン破綻するリスクを内在しています。
住宅ローンで博打をするような選択をするのはまったくオススメできません。
夫婦合算、年収600万円として、負担率20%での借入額は3300万円です。
そうなると、宇都宮市内で新築の分譲マンションを購入するのはかなり難しいです。
土地を買って注文住宅を建てるのも同様に困難です。
なんとか新築で購入できるのは、飯田産業のようなパワービルダーが提供する、新築戸建の建売物件だけというような状況でしょうか。
しかも、、建築コストの上昇は、今後さらに続くことが予想されているため、新規で分譲販売されるよう不動産を開発すること自体が難しくなっていきます。
今の流れを見ていると、宇都宮市内のマイホーム市場は、近い将来、中古物件がメインになる可能性が高いと見ています。
都市の再開発は臨界点に!?
全国から若者を集め、まだ人口減少が始まっていない、東京都心部でさえ、大型の再開発が頓挫している状況となりました。
建築コストの上昇はさらに続くことから、これから日本国内すべての都市において、再開発は、非常に限られた一部のエリアのみ、採算基準も厳しく精査しないと行えない状況が続きそうです。
経済面では、「中野サンプラザ」のような都心部駅前の巨大な建物が再開発できないということは、都市の成長がストップしたことを意味します。
建物を取り壊して、建て直すことができなければ、既存建物を改築するしかありません。
日本国内で、これから街の変化は小さくなり、現状維持が精一杯といった状況に入りつつあります💦
経済の発展という観点では、不動産開発は投資ですから、再開発がどんどん進むというのは社会・経済の活力のバロメーターです。
人件費や物価高騰で建築に要するコストが当初の見込みより大きく膨らむというのは最近よくある話で、それでもなお竣工後に投資を回収できる利益が見込めれば、事業計画も継続します。
しかし、その目処がつかなければ、東京都心部といえども計画は見直しになり、再開発は頓挫するのが現実です。
皆が幼い頃から当たり前に植え付けられた経済の成長至上主義が終焉を迎え、「明るい未来が見通せない」と不安に思う方が増えているように感じます。
全国各地でコストが合わず、再開発計画が見直される現象は、社会が衰退途上にあるという現実をあらためて突き付けられたように感じてしまうのは、私だけでしょうか…😅💦
★荻原功太朗の業務について★
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