宇都宮パルコが閉店してから4年以上が経過してしまいました😭
2019年の5月末に閉店したので、来年早々に5年間も街のシンボルとなる一等地がまるまる空きテナントになっている状態です。
「県都の顔」とも言うべき宇都宮二荒山神社の目の前で、再起を目指す大型施設は正念場を迎えています。
一方、LRT開通が予想以上の盛況を迎えたJR宇都宮駅周辺では、人の往来も増えて、商業店舗も順調に稼働しているように見えますが、、
新しくできた東口駅前の商業施設『宇都宮テラス』でさえ、思ったほどの賑わいが創出できていません。
空きテナントを催事やガチャコーナーで埋めているよう状況が続いています。
駅ビルのパセオは無印良品やソニープラザが出店し、賑わいを取り戻していますが、それとは対象的です。
ヨドバシカメラの入っている『トナリエ宇都宮』も地下に人気スーパーを誘致するなどしていはいますが、、全体的にパッとしない状況なのはいなめません。
キーテナントのヨドバシ様々な状況でしょうね。
中心市街地だけでなく、地価の上昇を続けているJR宇都宮駅周辺ですらこのように、商業施設の運営は苦戦を強いられています。
駅前ビルの苦戦は全国的な傾向か!?
実は、都市型商業施設の苦戦は宇都宮市だけの現象ではありません!
地方の県庁所在地をはじめ、政令指定都市、更に首都圏郊外の駅前でも商業施設の苦戦が続いています。
例えば、JR川口駅前のロータリーにあった旧そごう跡地。
一つとなりの駅が赤羽で東京23区である、この一等地ですら、2年以上も空きテナントのまま再開発が進まなかったのです。
首都圏の不動産高騰が続いている状況の中で2年も放置されていたのです!
最近ようやく大手デベロッパーが再開発に手を上げたようです。
→川口市民、歓喜!「旧そごう跡地」未活用問題解決へ…百貨店の消えた街の行く末(ゴールドオンライン)
埼玉県内でもトップクラスの乗降客数の川口駅前ですら、駅前ビルの再開発に苦戦していたのです。(ちなみにJR宇都宮駅の一日の乗降客数は83,170 人です。)
首都圏エリアでさえ厳しい状況が続いているので、地方都市では宇都宮市と同じような課題を抱えています。
地方都市の駅前には何が必要なのか?
宇都宮市と似たような状況は、群馬県の顔であるJR高崎駅前でも起こっています。
あるユーザーのSNSの投稿を引用させてもらいます。
↓以下引用↓
オープン当時は高感度なテナントも多く、高崎にしては凄いなー(高崎の方ごめんなさい)という印象だったけど、空いた場所を何とか埋めた感じのフロア構成になっていて、ガランとした店内に高校生だけはたくさんいる(買い物はしてない)といった状態で、宇都宮パルコの末期を見ているようでした…
結局、新しいハコモノを作って、高感度なテナントを誘致しても、人流やにぎわいが創出できない課題に直面している地方都市の駅前。
このような状況が先行している再開発エリアで起こっているので、既存の空きビルでの再開発は延々と進みませんし、新規でできたハコモノへ高感度なテナントを誘致するのも苦戦するのです。
時代が移り変わり、都市駅前の商業不動産は大きな変革の時を迎えているのは間違いありません。
自治体がビルを買い取るケースも!
商業施設や緑豊かな公園が多く「住みやすい街」として人気の首都圏郊外にある千葉県柏市。
JR常磐線の快速を利用すれば、上野駅まで34分。またJR上野東京ラインの接続により、東京駅まで36分でアクセスが可能になった。JR常磐線は東京メトロ千代田線に乗り入れしており、大手町や日比谷、霞が関へも乗り換えなしで行くことができるロケーション。
首都圏のベッドタウンの駅前一等地である柏駅前のそごう跡地は、7年間も廃墟のまま放置されていました。
駅前に廃墟ビルが長い間放置されているのは、街としても非常に印象が悪いですよね😅
なんとこの廃墟ビルを柏市が取得するとのこと!
→千葉・7年廃虚の「そごう柏店」跡地、柏市取得へ(日本経済新聞)
このビルは2021年に三井不動産が土地建物の全所有権を取得し、唯一の地権者となっていました。
現状では解体後の跡地にタワーマンションが建設される可能性が高いとの認識を示し、市としては「一部の住民の住まいではなく、多くの市民が共有し集う場にしたい」と強調し、取得に至ったもようです。
タワーマンションしか活路はないのか?
都市一等地の百貨店跡地は、なかなか新たな商業ビルでの再開発が決まらず、『商から住へ』の転向が進んでいます。
例えば、小田急線相模大野駅から徒歩4分、旧伊勢丹相模原店の跡地では、超高層タワーマンションの建設が進められている。
→「相模大野駅」北口、「旧伊勢丹」跡地に41階タワマン誕生で賑わい取り戻せるか(楽待)
また、千葉県の県都であるJR千葉駅周辺でも長年放置されていた、三越跡地がタワーマンションへ、千葉パルコ跡地もタワーマンション主とした複合ビルへ再開発されています。
→三越千葉店跡「ブリリアタワー千葉」、26年4月竣工予定(日本経済新聞)
→千葉パルコ跡にタワマン 23年3月完成目指す 中心市街地活性化へ(千葉日報)
デパート跡地はすでに新たな商業施設に再整備するような需要がないのが全国的な流れを見てもよくわかります。
今、都市一等地に最も求められているのは住まいです。
都市一等地のタワーマンション再開発の課題とは?
そごう跡地を取得した柏市のコメントからもわかるように、
都市一等地が一部の富裕層向けのマンションになってしまうことへの懸念の意見もあるのは事実です。
今までは人でにぎわう場所だったのに、タワーマンションに再開発されると、1〜2階部分くらいだけは商業店舗になるとしても大部分は住まいとなり、小型のスーパーやコンビニなど、生活に密着した店舗が入っていくことになります。
さきほど紹介したJR千葉駅周辺もマンションばかりでにぎわいが失われてしまうことを懸念し、オフィス整備に補助金を出すなど対策をしているようです。
→駅前はマンションばかり…千葉市、オフィス整備に最大20億円補助(朝日新聞)
タワーマンションばかりで再開発されてしまうと、都市中心部が無機質でにぎわいのない印象になってしまい、かつての活気ある様子が失われてしまいます。
しかし、無理やりハコモノを作ったところで、高崎駅前のOPAの様子や宇都宮テラスを見ても、運営に苦戦するのがよくわかります。
宇都宮パルコ跡地の行方とは?
全国的な流れから見ても、宇都宮パルコ跡地がうまく再開発されるとしても、再び商業施設として生まれ変わるのは難しいと思わざるを得ません。
近くにある31階建てのタワーマンション(宇都宮PEAKS)と同じように、1F、2Fくらいが店舗で上層階はすべて住居となるような再開発が現実的でしょう。
民間の投資だけで、中心市街地のにぎわいを取り戻すのはかなり困難を極めると思います。
柏市のようにビルそのものを行政が買い取って、再開発でもしないと、一部の富裕層向けのタワーマンションばかりになってしまうでしょう。
街のにぎわいを維持したいのなら、行政も積極的に介入し、図書館や美術館などの公共施設を街に移動させるなどの対策が不可欠でしょう。
(時代の流れに逆行する残念な栃木県の再開発計画)
→【コンパクトシティ化に逆行する県立図書館&美術館の移転!?】ちぐはぐな宇都宮市と栃木県の相違とは!?
全国的に中心市街地の空洞化問題は課題となっていて、行政が直接介入する例も増えてきています。
行政の対策が後手後手になると、街は無機質な高層建物ばかりで、魅力の感じない場所になってしまいます。
また、タワマンは人口増加をもたしますが、さまざまなひずみも生み出します。
タワマンの問題のひとつに住民が「特定の世代に固まりやすい」ことです。
将来的に、ゴーストタウン化する懸念もあるので、タワーマンションを建設する際には、間取りは1LDK~5LDKまでを用意し、なるべく多様な世代が入居できるような規制をかけることも必要になるでしょう。
現状では、パルコ跡地がタワーマンションに再開発されるような報道は全くありませんし、LRTの西側延伸の着工が始まるような状況でもなければ、民間投資も動きにくいでしょう。
いずれにしても、行政が積極的ににぎわい回復に介入しないと、中心市街地はどんどん衰退していく一方となりそうです。
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