日本に限らず、世界中でインフレが加速し、それに伴い、不動産価格も上昇しています。
もともとバブル気味だった中国などの一部の国では価格下落も起こっていますが、」それほど値上がりをみせていなかった日本では、コロナ禍が終わって以降、首都圏を中心に急速に不動産価格が高騰し始めています。
前回お伝えしたように、もはや東京23区内の新築マンションは一般サラリーマンが購入できる価格の限界を超えています。
そんな状況のなか、話題になってきたのが、、
住宅ローンの50年払い!
時世への対応が早いネットバンクが大体的に低金利50年ローンの取り扱いをPRし始めています。
→住信SBI、住宅ローン最長50年に 住宅価格高騰に対応(日本経済新聞)
高騰する住宅価格に対応するための苦肉の策となりますが、果たしてどうなのでしょうか?
今回は50年払い住宅ローンを考察します。
このローン商品が出てきた事自体は『住宅高騰対策』としての側面が大きいです。
『住宅高騰対策』として支払期間を伸ばすことは妥当な方法なのでしょうか?
今までは多くの金融機関が、住宅ローンの返済期間を最長35年、完済時の年齢を最大80歳としていました。
そのため60歳や65歳で定年退職を迎えたあとも、住宅ローンの返済を継続する人は少なくありません。
国土交通省の調査によると、住宅を購入した世帯主の年齢と、住宅ローンの返済期間の平均値は以下の通りです。
住宅ローンの王道は「退職金で返す」から「死亡保険で返す」に移っていきそうです。
バブル期に親子ローンの利用が進まなかった背景を考えると、話題の50年住宅ローンが広く普及するとは考えにくいです。
また、昨今の住宅ローンは変動金利が主流となってますが、どう考えても50年低金利が続くことにかけるのはリスクが大き過ぎます!
せっかく長期間まじめに返済していても、金利上昇で家計が破綻してしまっては結局、銀行だけを儲けさせることになりかねません。
また、家の耐用年数が50年未満なのに、対応年数超えのローンはいかがなものかと思います。
長期優良住宅でも、定期的なメンテナンスは必須です。
そのため、住宅ローン以外のマイホームの維持費も相当必要になります。
と、デメリットばかりで私個人としてはまったくおすすめできないのですが、唯一、50年ローンでの勝ちパターンもないわけではありません。
50年住宅ローンのハッピーエンドはあるのか?
このままインフレが止まらない状況になると確信があるのなら、50年住宅ローンも悪くない選択となります。
インフレが更に続くなら、今の価格よりどんどん住宅価格が高くなり、途中で売却しても利ざやが残るか、ローンを完済できるからです。
またインフレが続くだけでなく、日本全体の賃金が大幅に上昇していく必要があります。
ただ単に国民全体の賃金が上がるだけではダメで、物価上昇に負けない程度の実質賃金の上昇が必要です。
実質賃金が上昇しないと、そもそも生活が困窮してしまい、ローン破産リスクも激増します。
だから、バランスよく賃金と物価の上昇が続くことがハッピーエンドの前提になるでしょう。
そう考えると、長期にローンリスクを負うことのメリットはどうしても見いだせないです。
そもそもいくら長期優良住宅が普及したところでい、日本の住宅は使い捨て感覚が一般的で、50年持たせるなら相当メンテナンスコストが必要でしょう。
マイホーム購入に長期ローンや変動金利を利用することは、博打要素が大きくなりますから、余裕を持った計画を立てることが重要でしょう。
私個人としては、見栄をはらずに身の丈にあったマイホームで、固定金利、できるだけ繰り上げ返済して、心理的負担を減らしていくほうが、身体的にも健康効果があると思うので、そちらをオススメしています。
★荻原功太朗の業務について★
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