男女が末永く添い遂げることが理想の「結婚」ですが、2020年(2019年実績)の厚生労働省による「人口動態調査」によれば、離婚件数は20万9,000組でした。
これを人口1000人あたりで表す離婚率に換算すれば、平均で1.57になります。
離婚率がもっとも高いのは沖縄県の2.52、低いのが新潟県で1.28でした。
離婚率だと多少、分かりにくいかも知れませんので件数に直せば、婚姻件数が59万9,000件ですから全国で「約3組に1組が離婚している」という考え方もできます。
厳密な統計上の計算ではありませんが、これに近い夫婦が離婚しているのが現状なのでしょう。
ちなみに栃木県の離婚率はといえば……17位の1.67でした。
もっとも順位が高くても喜ばしくはない離婚率ですが、地域性により「差」が生じているのはライフスタイルや県民性などの違いが影響しているということでしょうか?
そのあたりの話は学術的な研究をおこなう専門家におまかせし、話を進めます。
相思相愛で皆に祝福されて結婚したからには、できるなら離婚しないのが最善ですが。
ですが私見としては、様々な理由により毎日いがみ合うだけならまだしも、DVが常態化しているなど、状況により早く離婚したほうが良いケースもあります。
夫婦二人だけであればそれほど複雑にはならない離婚も、子供の親権問題や財産分与が絡むと複雑になります。
民法では離婚等にかんしての財産分与は第768条以降で定められていますが、基本的な考え方としては夫婦が婚姻期間中に協力して形成した財産は「2分1」であるとされています。
ですが厳密には財産分与の性質から言えば精算的財産分与・扶養的財産分与・慰謝料的財産分与の3つに分けられ、このうち「2分1」の請求権を求めて争いになるのが精算的財産分与です。
扶養や慰謝料は一般的にもよく知られている言葉ですので説明は割愛しますが、たとえば持ち家である不動産にたいして精算的財産分与を求めた場合ですが、ご存じのように不動産は売却して現金にしなければ分けることができません。
ですから離婚時には、持ち家にどちらかが住み続けるといった場合を除き(その場合にも所有権や住宅ローンの問題はクリアしなければなりませんが)売却をするのが一番の方法です。
実際に売却理由も
ローン残高が売却金額を下回る場合には売却してその差額を按分することもできるのですが、そうではない場合、例えば売却額を上回るローン残高の場合、売却もできません。
苦肉の策で配偶者の一方が家を出て、住宅ローンの支払いを続けるなんてことが行われるのですが、居住を続けている一方が知らぬ間に住宅ローンの支払いが滞るといきなり督促状が届き「一体、どうなってるの‼」と慌てることになります。
まるでドラマの世界のようですが不動産コンサルティングをしていると、少なからずこのような相談が多いのです。
さらに厄介なのが「夫婦連帯債務」で融資利用している場合です。
離婚前提で住宅を購入する家庭などありませんから、返済負担率など配偶者の一方の所得で融資を借り入れることが出来ない場合に利用される収入合算方式による融資の利用ですが、連帯債務(連帯保証)の場合に金融機関は、支払いが遅延して「分割の期限の喪失」つまり、ローンで月々支払う権利が喪失して一括弁済を求める場合には連帯債務各人の一方に、一方的に請求しても良いのです。
この場合「配偶者を探してそちらに請求してください!」というような、いわゆる催告の抗弁権は主張できません。
請求されたら支払うしかないのが法律の定めだからです。
結論から言えば連帯債務で融資を利用している夫婦が離婚する場合、「必ず支払います」などの念書や、家裁による判決文が存在していても上記のようなリスクが存在している以上、売却してしまうことをお勧めします。
連帯債務を組んでいる場合には、不動産の所有権もそれぞれが持っていますから売却時には双方の実印・売却意思がなければできません。
離婚が成立して時が経てば、いざ売却しようとしても所有者の一方がすんなりと了解してくれるとは限りませんし、場合によっては居所不明なんて事態もありえます。
そのようなケースでは所在調査から始めねばならず、さらにどちらか一方が「お亡くなり」になって相続が発生すれば、さらに所有権が複雑になり売却どころの話ではなくなります。
また連帯債務(連帯保証)状態を放置していれば、新たに生活を初めて新規の住宅融資を組もうと思っても、融資が否決される可能性が高くなります。
なぜかといえばすでに住宅の融資を組んでいる訳ですから、重ねて居住用の融資を申し込んでも「すでに住宅を所有していますよね」と金融機関は判断するからです。
変化球として連帯保証を単独保証に切り替える、もしくは保証人の変更という方法もあるのですが、そのハードルは高く経験として一度しか成功したことがありません。
上記に比べれば「借換え」の方が可能性は高いのですが、単独で融資を組み直すということですから、返済負担率や勤務属性、担保評価などが再審査されるのでこれまたスンナリとはいきません。
「保証人の切り替え」と比較すれば、多少は難易度が下がるといった程度です。
弊社では住宅ローンをご紹介する場合、このような連帯債務の場合についてのリスクを説明していますが、離婚前提で住宅を購入する方などいませんからその説明もヤンワリといった内容になります。
同業である不動産業者の中には、そのような説明も一切せず「住宅を取得するためには収入合算するしかありません!」と、リスクに関しての説明など何もせず勧めるところもあります。
平均32年にもなる長い支払いの住宅ローンです。
想定される様々なリスクも勘案して申込みをする必要があるでしょう。
弊社は「秘密厳守」で売却相談に応じてていますから、「離婚」が原因であってもご近所に知られず速やかに売却活動を行うことができます。
どのような原因による不動産売却相談にも随時、応じていますのでまずはお気軽にご相談下さい。
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