不動産購入は約80%以上の方が1度限り、2回以上の方は必要に迫られるなど何らかの理由により買い替えをしています。
不動産は少なからず高額なうえに登記費用や仲介手数料、住宅ローンに必要な保証料に不動産取得税など物件価格以外の諸費用が必要ですから気に食わないからといって買い換えられるものではありません。
賃貸住宅の場合においても「引っ越し貧乏」なんて言葉があるように、持ち家の住み替え程ではないにせよ、引っ越し代金やその他の費用が必要です。
そのようなことは説明をするめでもないはずですが、多くの方が住宅購入後に「失敗した!」と言っています。
なぜなんでしょう?
一世一代の買い物であり充分に吟味して購入したはずなのに後悔している。
私たち不動産業者は、お客様に満足していただく不動産を紹介することが「業務」ですから、プロとしてアドバイスをさせて戴いております。
もちろん事情が出来て住み替えを検討されるのであれば喜んでお世話させていただきますが「失敗したから住み替えたい」なんて言葉は、できるなら聞きたくありません。
今回はインターネットなどで散見される「不動産購入の失敗理由」をもとに、事例を反面教師として失敗しない不動産購入について考えて見たいと思います。
ネット検索で「不動産購入の失敗理由」と入力すると14,900,000件もヒットしました。
1490万件です!
検索上位に表示されるのは、不動産サイトなどへの誘導を目的とした記事ですがそれにしても多い。
これらの記事は皆さんが直接ご確認いただくのが、本来は良いのですがさすがにこれだけの件数を見ていれば時間がかかり過ぎます。
そこで不動産のプロとしての目線で集約しランキングにしました。
1.ローンの返済額
2.間取り
3.建物性能や老朽化
4.周辺環境・立地
5.家族構成の変化に適用できない
6.相隣トラブル
7.不動産会社
8.資産価値を考えていなかった
9.教育環境・通学
10.メンテナンス費用を考えていなかった
(順不同)
ランキングにはしていますが、これがすなわち順位とまではいえません。
あくまでも私の主観も入っていますので順不同とさせて戴いてます。
さてそれではそれぞれに対策を検討していきましょう。
【ローンの返済額】
よくお客様に説明するのですが「借りられる=支払える」ではありません。
金融機関が融資を承認してくれたのだから、コレくらい払えるだろうというのは思い込みです。
例え年収が数千万円あっても、日頃から散財していれば手元にお金は残りません。
年収500万円の世帯の方が計画的にお金を使い、貯蓄額が多いなんて話はよくあることです。
銀行が融資額を検討する場合、個人信用情報に記録されるようなローンなどを複数組んでいない限り、個人のお金の使い方は把握できません。
銀行融資窓口の担当者は「収入の割に貯蓄額が少ないですねぇ」なんて、さりげなく聞いてくることはありますが……
融資の審査は機械的です。
つまり年収に応じ、家族構成などにより想定される日常の生活資金も勘案し、月々の返済負担率が何%になるかです。
ですから他に借り入れがない限り年収により、借入できる金額も大きくなります。
でも「借りられる=支払える」ではありません。
返済負担率は年収の20%(500万円であれば100万円/年)を目安にするのが良いでしょう。
もちろん自己資金があるのなら、借入額を減らしましょう。
よくあるのが「住宅ローン特別控除」を受けられるので、自己資金をださずに借り入れ額を増やし、控除が終了するタイミングで自己資金分を繰り上げ返済するという考え方。
令和4年税制改正で住宅ローン控除率が1%から0.7%への引き下げ、一般住宅の借入限度額も4,000万円から3,000万円への引き下げられています。
そもそもが収めた税金の金額が還付の上限ですから、0.7%の満額が還付される方はそれほど多くありません。
10年間の利息と還付額をシミュレーションしてから判断するようにしましょう。
【間取り】
これは『5.家族構成の変化に適用できない』と合わせて考えるべき課題です。
家族構成は、長い年月で変化します。
子どもが生まれ、やがて巣立つ。
ご両親を引き取るなど、状況により「狭い」もしくは「広すぎる」なんてことになります。
一戸建てであれば「建て増し」や「建て替え」なども考えられますが、建築基準法や建築費の問題があります。
分譲マンションの場合には建て増しなどできません。
オススメとしては「可変性」のある住宅を選ぶこと。
理想は「スケルトンインフィル」です。
簡単に言えば躯体に影響されず、フレキシブルに間取りを変えることができる住宅です。
建物には柱や梁・耐力壁など、構造上で欠かせない部分があります。
可変性のある住宅とは、12帖の洋室を「6帖×2」もしくは「4帖×3」など、家族構成の変化により柱や梁などの影響を最小限にして変更できる家です。
このような可変性についての見立ては、予め不動産のプロに確認する必要があります。
【周辺環境・立地】
こちらも「6.相隣トラブル」「9.教育環境・通学」と併せて考えましょう。
住宅は間取りや外観デザイン、価格も重要ですが立地・相隣関係・学校区なども重要です。
長く住み続けるのですから当然です。
これらで失敗しないためにはどうするか?
購入前に何度も足を運ぶことです。
それも出来れば早朝・午前・午後・夜間など時間帯を変えゴミの出し方や隣近所からの騒音、駐車されている車種、通学路の安全管理状況や近隣スーパーの特売日などあらゆる情報を確認します。
「いま決断しないと他で売れちゃいますよ!」なんてのは不動産営業の常套句ですが、現実に人気のある希少物件はすぐに売れてしまうのも事実です。
物件が本当に良いもので、営業マンが信頼できるのであれば「買付証明書」を記載しましょう。
不動産は「買います」と言ったから、すぐに契約できるものではありません。
重要事項説明書の作成や融資承認等など、様々な手順が必要です。
であるのにすぐ契約をさせようとする場合には残念ですが「断る」勇気を持つ必要があります。
契約は口頭で「買う」といえば民法上では成立します(諾成契約といいます)
ただし不動産業者には契約前の重要事項説明が義務付けされていますから、諾成契約が直ちに有効とはされません。
買付証明書は、あくまでも真剣に購入する意思を売主に伝えるための書類です。
万が一断った場合にも法的なペナルティーはありません(但し双方の信頼関係に基づく書類ですから、簡単に考えてはいけません)
買付証明書を差し入れた後に、現地確認を速やかにおこないましょう。
【不動産会社】
自画自賛のようになって恐縮ですが、お読みいただいているような内容を説明してくれる業者が信頼できる業者です。
反対に良いことは言うけれども、不利益情報は一切言わないような業者には注意しましょう。
【資産価値を考えていなかった】
不動産は快適に住み続けることこそが重要です。
ですからあまり資産性について重視するのはいかがと思います。
だって数十年後の不動産価格なんて、だれ一人読めないのですから。
新駅ができたり大型スーパーが誘致されるなど、外的要因により不動産の実勢価格は変動します。
とはいえ、何かあったときに資産として活用できるのが不動産の持つ「顔」でもありますから、現時点で入手できる情報をもとに推測するしかありません。
【メンテナンス費用を考えていなかった】
分譲マンションの場合には長期修繕計画に基づいて月々徴収されていますから、室内の設備交換などだけを意識すれば良いのですが戸建ての場合は外装も含めて長期的視野を持つ必要があります。
特に外壁は、長期間風雨にさらされますからどのように高品質な部材でも少なからず経年反化します。
そして適時、必要なメンテナンスを施さなければ著しく住宅寿命を短くします。
最近では大手ハウスメーカーなどが「100年住宅」をキャッチフレーズにしていますが、そのようなメーカーではなくても適切なメンテナンスを施せば木造もRCも長期間維持することができます。
た・だ・し
適切な時期にメンテナンスをおこなうことが前提です。
必要な時期がきて慌てないよう、日頃からの備えが必要だということです。
★荻原功太朗の業務について★
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