パンデミック以降のライフスタイルにはついては「在宅推奨」や「外出抑制」など、私たちに新しい「働き方」や「住まい」を考える機会となりました。
企業においても同様で特にサービス業や飲食業は、時代に即していかなければ存続が危ぶまれるという現象が相次ぎ、実際に「新型コロナウイルス関連倒産」(法人および個人事業主)として帝国データバンクがまとめた10月19日16時現在の件数では全国で619件が判明しています。
詳細については法的整理537件(破産508件、民事再生法28件、特別清算1件)・事業停止82件
業種別上位としては「飲食店」(89件)、「ホテル・旅館」(59件)、「アパレル・雑貨小売店」(44件)、「建設・工事業」(37件)、「食品卸」(36件)、「アパレル卸」(25件)
このパンデミックの影響は私たち不動産業界にも、影響を与えています。
土地の価格動向については先日のブログで「2020年の路線価」を基に宇都宮市内における価格動向の変化について解説を行いましたが、それ以降の全国的な土地価格変動につきましては全宅連モニター会員によるDI調査の結果を最新動向として見ることが出来ます。
2020年7月1日時点の土地価格動向実感値は全国で△12.4pで4回連続マイナスでした。
地域別にみると
北海道・東北・甲信越地区△3.2p
関東地区△16.2p
中部地区△16.0p
近畿地区△17.3p
中国・四国地区△8.8p
九州・沖縄地区△5.3p
となりすべての地区でマイナスでした。
DI調査とは宅地建物取引業者が加盟する都道府県宅地建物取引業協会より推薦された全宅連モニターを対象に、不動産価格や取引動向の3か月前と現状の比較、3か月後の見通しを調査し年4回公表しているものです。
このDI調査を前回比(2020年4月)でみると中部地区、中国・四国地区で下落、それ以外の地区では上昇でした。
3ヶ月後の予測値はすべての地区で下落の予測になっています。
土地以外での物件種別の2020年7月時点の実感値は、全国で以下の通りでした。※( )内は前年の数字。
・中古戸建:価格△16.7p(△6.5p)、取引件数:△17.2p(△13.6p)
・新築戸建:価格△16.1p(△4.2p)、取引件数:△23.0p(△17.1p)
・中古M/S:価格△17.1p(△4.9p)、取引件数:△21.6p(△10.8p)
・新築M/S:価格△12.8p(+0.6p)、取引件数:△23.3p(△14.4p)
・居住用賃貸:賃料△13.7p(△12.2p)、成約件数:△25.3p(△18.5p)、空室率:△18.4p(△17.8p)
・事業用賃貸:賃料△32.2p(△7.7p)、成約件数:△39.7p(△11.2p)、空室率:△35.1p(△9.7p)
新築住宅市場のうち注文住宅においては、打ち合わせ頻度による三密回避の影響からか受注前の打ち合わせ期間が増加し、成約件数下落もさることながら受注から竣工(引き渡しまで)の期間が増加しています。
現在では多少、落ち着きを見せてはいますが住設機器など海外工場に依存している部材は輸入制限がかかるなど、ヨーロッパのコロナ発症状況を見ると今後も予断を許せない状況にあります。
それでは視点を変えて消費者物価指数(家賃)と中古物件の公表データを基に「買い時」について考えて見たいと思います。
まず現在の消費者物価指数(家賃)について下記をご覧ください。
まず全国的な家賃消費者物価総合指数は2006年以降下落傾向にあります。
消費者物価総合指数を見ると2013年を下限のピークとして上昇に転じており2019年においては2005年からの14年間で最高の数字を示しています。
ちなみに消費者物価指数とは、総務省が毎月発表する小売物価統計調査を基に作成される指標で全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するものです。
結果は日本銀行が金融政策における判断材料として使用しているほか、賃金や家賃・公共料金改定の参考にもされています。
このグラフからは家賃は下限のピークを迎えており、今後は横ばいもしくは上昇トレンドに転じる可能性が見て取れます。今後も継続して消費者物価指数についてパンデミック以降の毎月動向の変化を注視する必要があります。
「出展_全国宅地建物取引業協会連合会不動産総合研究所」
それでは不動産市況(中古市場)はどうなのか見てみましょう。
グラフ等の詳細データにつきましては「全国宅地建物取引業協会連合会不動産総合研究所」で行っている2020年5月時点での公表データが最新となりますので、そちらを用いて関東地方の売買物件登録件数と登録平均価格についての検証を行います。
あくまでも平均値ではありますが、2018年以降の中古戸建登録件数は6,000件前後で安定的に推移しています。
価格については、2019年4月から2020年4月にかけて急激な下落となりました。
この下落時期とコロナ騒動の時期を、日本におけるコロナ報道の状況から見ると、WHOに関する記事は2019年1月8日から目立ち始め、1月23日からより活発化。
1月30日まで武漢の話題が多く、以降は中国の他の地域の話題に広がっています。
クルーズ船関連としては1月21日より記事が出現しています。マスクについては、1月15日から中国国内のマスク不足が報じられました。
ここまでは「対岸の火事」と言ったイメージではありましたが、日本での初感染は2019年1月16日。その後はご存じのように広がりを見せ、日本の都市部においてロックダウンの可能性が示唆され、株価暴落が起こったのは2020年4月の市場でした。
このように考えますと、中古住宅の価格下落とコロナ騒動の関係性が連動しているのがお分かりいただけると思います。
一般的に、住宅購入の場合には現地に行って内見(現場案内)を行ったり、担当者と打ち合わせをするなど、いわゆる「不要不急の外出回避や三密防止」の観点から自粛傾向となりました。
それでも様々な理由があり早期売却を求めたユーザーが価格を下げたのと併せて、取り扱い不動産業者が市場動向性を考慮して査定額を引き下げた結果、平均価格に影響を与えたのではないかと推測出来ます。
もちろん私たち不動産業者も、この状況をただ見守っていた訳ではありません。
国交省で実証実験のために許容されたIT重説によるリモート契約の実践や、オンライン内見など、先見性のある不動産仲介業者は時代に即した対応を行いました。
結果として、まだまだ予断を許さないコロナ騒動の渦中ではありますが、先読みの不動産市場は宇都宮市でも上昇傾向に転じています。
投資相場ではないですが、住宅購入を考えた場合には「少しでも安い」のに越したことがないのが人情でしょう。
「今、この時期だからこその不動産購入」と言う選択肢を、考える時期が到来しているのではないのでしょうか?
★荻原功太朗の業務について★
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