【宇都宮市のLRT西側延伸は物価高騰で事業費1.7倍に!】代替案も真剣に議論するべきタイミングか!?

2025年5月10日土曜日

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LRT西側延伸、事業費が1.7倍に膨れ上がる現実!

日本経済新聞やNHKが報じたように、宇都宮市の次世代型路面電車「LRT(ライトライン)」のJR宇都宮駅西側延伸計画について、当初見込みの約400億円から約700億円へと事業費が1.7倍に膨らむことが明らかになりました。

→宇都宮LRT、概算事業費700億円に 物価高騰で300億円上積み(日本経済新聞)

→LRT西側延伸計画 事業費700億円ほどに膨らむ見通し(NHK)

これは大きな変化です。

しかし、急激な社会経済情勢の変化を考えれば、ある意味で避けられない現実だったとも言えるでしょう。

振り返れば、開業済みの東側路線でも総事業費が当初予定から1.5倍となり、最終的に684億円となりました。

今回の西側延伸計画では、車両価格が当初想定の約2倍、労務・資材費が約1.25倍になったことが主な要因とされています。

また、運行サービス充実のため車両編成数を当初の5編成から11編成程度に増やす検討も行われています。

物価高騰の本質を考える

ここで重要なのは、この物価高騰の本質を理解することです。

これは単なる一時的な現象ではなく、資源減耗による世界的なエネルギーコストの上昇と、それに伴う経済全体のコスト増加が根本的な原因です。

かつては比較的低コストで大規模なインフラ整備が行えた時代もありましたが、現在は資源獲得のコスト増加や国際的なサプライチェーンの問題などにより、同じ事業でもはるかに高いコストがかかるようになっています。

これは世界中で起きている避けられない現実です。

また、以前このブログでも取り上げましたが、日本国内では建築人材の深刻な不足はこれからが本番です!

過去ログ→【インフレと人手不足で、東京都心部でも再開発が困難に!?】LRT西側延伸と宇都宮駅西口の再開発にも暗い見通しが💦

人件費はここからさらに上昇し、建築コストはダブルパンチで上昇に圧力にさらされ、工期も大幅に延長せざる得なくなるのは、容易に想像できます。

これからさらに増額する可能性が高い

私の懸念は、今回発表されたこの700億円という数字でさえ、最終的にはさらに増額する可能性が高いということです。

LRT東側路線の整備経験からも、工事が進むにつれて予想外の追加費用が発生する可能性は極めて高いでしょう。

仮に東側路線と同じ1.5倍に膨らむとして概算すると、最終的な事業費はなんと、1000億円を超える可能性もあります。

これは当初計画の2.5倍以上です。

事業費の増大は、もはや特殊な事例ではなく、現代のインフラ整備における構造的な課題となっています。

複雑化する事業費負担の調整

事業費の増大は、宇都宮市だけの問題ではありません。

LRT事業は市、栃木県、そして国の三者による負担で成り立っています。

東側路線では、総事業費684億円のうち国が半分の342億円を補助し、残りを市と町が負担、さらに県が83億円を上限に支援するという複雑な財政スキームでした。

西側延伸でも同様の負担割合が想定されているとすれば、事業費が700億円に増加した場合、国の負担は350億円、県の負担も相応に増加することになります。

しかし、国の財政状況が厳しさを増す中、追加的な大幅な予算負担増に対する合意形成は容易ではないでしょう。

特に栃木県は、過去にLRT事業費の大幅増額の際に「当初見込みや事前調査に甘さがあった」と指摘しており、追加支援には慎重な姿勢を示しています。

三者間の負担調整が難航すれば、事業の進捗にも大きな影響を与えかねません。

国の財政状況と優先順位の変化

現在の日本の財政状況を考えると、このような大幅な事業費増額に対して、国が追加で支援を行える余地は極めて限られています。

現政権は財政健全化を掲げていますが、2025年度のプライマリーバランス黒字化目標達成は難しい状況です。

また、皆さまも日々感じている「令和の米騒動」をはじめとする物価高騰対策や、国民生活を支援するための施策が優先される中、地方の公共交通整備事業への国庫補助金の大幅な増額には厳しい審査が予想されます。

国の優先順位が変化する中、追加の国庫補助を期待することは現実的ではないかもしれません。

現実を見据えた代替案の検討を

事業費がさらに増額する可能性が高い中で、当初計画通りの進め方にこだわるよりも、状況に応じた柔軟な対応を今から考えておくべきではないでしょうか。

街を持続可能な状態に維持するためには、以下のような現実的なアイデアを真剣に検討すべき時期に来ています。

  1. 段階的整備: 全線一括ではなく、優先度の高い区間から順次整備を進める(整備の実績を早期に作ることで、予算の継続獲得を目指す)
  2. 計画の最適化: 車両編成数やルート設定を現実的な形に再設計する
  3. 代替システムの検討: 一部区間でのBRT(バス高速輸送システム)などの組み合わせも視野に入れる
  4. 柔軟な時間軸の設定: 物価動向を見極めながら、最適な整備タイミングを柔軟に調整する
  5. 官民連携の強化: 沿線開発と一体となった民間資金の活用など、財源の多様化を図る

特に市・県・国の三者間で予算調整が難航する場合には、事業規模の見直しは避けられないでしょう。

そうした状況を前提に、LRTの機能を最大限に生かしながらも、現実的な選択肢を用意しておくことが重要です。

現実的には、すでにライドシェア解禁の圧力も高まっており、都市計画そのものがどのように変化するのかさえ、不確実性が高まっています。

過去ログ→【LRT西側延伸が無期限延期、同時にバス路線の崩壊が始まる宇都宮市の未来が来てしまったら!?】あえて最悪なシナリオから不動産マーケットを分析してみると・・!?

経済の現実から目を背けない

私たちは「いずれ状況は改善する」という過度な楽観主義から脱却し、資源・エネルギーコストの上昇という経済的現実を直視する必要があります。

国際的な資源価格の高騰で建設資材が上昇するだけでなく、少子高齢化の深刻化とブルーカラー労働者の極端な不足で、人件費の上昇が今後も続くのは確実です。

コロナ禍明け後、すでに時代はニューノーマルに入り、私たちの生活と経済環境に大きな影響を与え始めています。

もちろん、LRT西側延伸は宇都宮市の持続的な発展にとって必要不可欠な重要事業であることは間違いありません。

しかし、費用対効果を無視した形での整備は、限られた財源のなかでは実現不可能です。

コスト意識を持ちながら、持続可能な交通システムの構築にあたり、「LRTにこだわらない」柔軟な発想の転換が求められるかもしれません。

市民生活を第一に考えた意思決定を

最終的に重要なのは、宇都宮市で暮らす我々の生活をより良くすることです。

理想的な交通システムを追求しながらも、財政負担とのバランスも考え、将来世代に重くのしかかる負担を避ける責任が私たちにはあります。

そのためにも、柔軟に現実の状況を踏まえ、市民と対話し、合意形成を得る必要があります。

経済情勢が悪化するなか、新たなインフラの整備費が大幅増になることが周知されると、大きな反発も予想されます。

事業費が増額する現実を率直に認め、その上で何が最適な解決策かを市民全体で考える姿勢が求められていきそうです。

まとめ

宇都宮LRT西側延伸計画の事業費増額は、避けられない現実として受け止めるべきでしょう。

これは単に宇都宮市だけの問題ではなく、現代の社会経済情勢における公共インフラ整備の本質的な課題を浮き彫りにしています。

LRT西側延伸は街の持続的発展には必要不可欠な要素です。

しかし、事業費のさらなる増額は避けられない状況を考えると、計画の柔軟な見直しと現実的な代替案の検討も同時に進めるべきではないでしょうか。

市・県・国の三者による財政負担が増大し、調整が複雑化する中で、当初の計画にこだわりすぎることは、かえってプロジェクト全体を危うくする可能性もあります。

市民の税金を使う以上、事業費の膨張に対して適切な対応策を検討し、より効率的で持続可能な計画へと調整することも必要です。

現実の経済状況を直視し、状況に応じた柔軟な対応をすることこそが、真に市民のためになる道ではないでしょうか。


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