宇都宮市の東口エリアでは日常の風景となったLRT
開業1年くらいは、地元民の私でもLRTを見かけたらスマホで「パチリ!」と撮る機会が多々ありましたが、もはや当たり前の光景過ぎて、写真を撮る気は、全く起こらなくなりました。
私のような、市内在住の方も多いのではないでしょうか。
今でもLRTに乗ると、写真を撮っている方をよく拝見しますが、多分、地元の方でなく、どこかから観光で来られたのかと思ってしまいます。
それだけ、LRTは街の一部となり、地元民の日常になったと感じています。
私はLRTが開業してから、毎月1.2回、事務所のある「駅東公園前」から「宇都宮駅東口」までLRTを利用しています。
今回は、そんな私視点の実体験として感じた、LRT開業から1年弱における駅周辺の街の変化を振り返って見たいと思います🙌
思わぬ開業フィーバーとマイカーユーザーの冷めた感情
日本国内で、なんと75年ぶりの新設の路面電車であり、デザインも未来型でスマート。
日本全国でも珍しい試みだけに、注目を集めるはと思っていましたが、、
まさかまさかの大フィーバー!!
開業前は、一部の「鉄オタ」の方々や子供たちには、ささるコンテンツだと思っていましたが、一般の老若男女が、ここまでLRTに熱狂し、LRTを目的に街を訪れるほどになるとは、想像もしていませんでした。
実際に、LRTが走っている姿を間近で見ると、なんともスマートでエレガント。
街の風景がLRTが通るたびに一変したのをよく覚えています。
誰が見ても未来志向のスマートな公共交通で、SNS映えする乗り物なだけに、ネット上では、ものすごいスピードで情報が拡散していきました。
地元民でも実際にLRTに乗車した多くの方が、想像以上の素晴らしい公共交通であることを実感したはずです。
それだけ、マイカーで移動するドア・ツー・ドアの移動から、価値観の大きな変化受け入れ、公共交通を利用させる動機づけ与えた、LRTのソフトパワーは偉大です!
しかし一方で、普段からマイカー信者で、自転車や徒歩・公共交通をまったく使わない方ほど、開業後のLRTブームには冷ややかでした。(今も💦)
それもそのはず、LRTが開業したことで、沿線の道路では、自動車での移動は制限され、信号待ちが増えたり、車線が減らされたりと、マイカーユーザーは確実に不便になりました。
それこそが、LRTの真の目的であり、自動車での移動を不便にし、交通弱者を最優先にした道路の利用をすることで、スマートな次世代都市へと生まれ変わるためのインフラだからです。
まだ一回もLRTに乗ったことのないマイカー依存の方ほど、LRTで生活が不便になった印象しかなく、今でもLRTには否定的なのは当たり前です。
強者であるマイカーを最優先にする道路の利用は、先進国のトレンドからすると、かなり時代遅れな発想となりつつあり、宇都宮市も街の成熟とともに、時代の流れに従って変化が迫られています。
LRT!想像以上の注目度!
マスコミ各社で特集が組まれるほどの、大注目を集めたのはひとえに、「イケてるデザイン」LRTが持つソフトパワーが大きいからだと思います。
老若男女問わず、みんなカッコいい乗り物が大好きなんです!
カッコいいから写真を撮りたいし、乗ってみたいし、遠方からでもLRT目的で観光に来てもらえる。
インフラ整備を検討する際に、目先の運行採算ばかりを考えてしてしまうと、LRTのような次世代交通が生み出すソフトパワーの価値を理解できなくなってしまいます。
これから行われる市長選挙で、LRTに反対する候補者の方々の主張を聞いていていると、街のソフトパワーの重要性を全く理解していないように見え、残念に思います😅
そもそも、北関東は関東外縁部の地方であるため、魅力度ランキングを意図的に下げられるバイアスが高く、ソフトパワーを発揮しにくい環境です。
地元を愛する皆様も、街の良さが伝わりにくいことを、歯がゆく思い、心無い負のイメージの押し付けを残念に思う方も多いのではないでしょうか。
そんな北関東のネガティブ思考に風穴を開けるように登場したのが、LRTです!
LRTはそこに住む住民みんなの新しいシンボルであり、街に希望をもたらす象徴的な存在となりました。
明らかに変わった人の流れと不動産需要
日々、不動産取引の現場にいる私の視点では、街の富の流れが開業後に明らかに変化していることを実感します。
LRT沿線では、国道4号線までの大通りで、分譲マンションの建設ラッシュが起きました。
また、沿線のニュータウンゆいの杜エリアでも、移住者が急増し、地価が高騰。
公表される地価は、年々、東高西低の流れとなり、LRT沿線は人口も増えて活気がある一方、もともと人口の多い街の西側はLRT開発の恩恵をいまのところほとんど受けれず、開発の明暗がはっきり別れています。
再開発された東口に集まる人流
もともと人が集まるような施設のなかった東口駅前。
LRTが開業しても3ヶ月位は、新たにできた商業ビル(ウツノミヤテラス)に、人はまばらにしかいませんでした。
LRTの利用者は多いはずなのに、、開業2ヶ月の平日夕方、ウツノミヤテラスのビックカメラに寄ってみたら、お客さんが私含め、2.3人なんて時もありました😅💦
その時は、再開発も失敗か・・、、と先行きの不安を感じていました。
しかし、時は流れ、先日の日曜日、ウツノミヤテラスに寄ってみたら、2階の空きテナントも無くなり、人人人で賑わっていました。
1年で、東口駅前の人流は3倍くらい多くなった印象です。
もう、私の記憶する東口駅前でなく、次世代にバージョンアップしています。
そして、駅前の活気を印象付けているのが、集う若者たちです!
LRT開業で、一番の恩恵を受けたのは若者たち
若い力は偉大です!
若者たちが集まっているだけで、その場所には自然と活気が宿ります!
駅前に若者たちが集っているだけで、その街は活気があるように感じます。
楽しそうに談笑している若者たちでにぎわう駅前広場の風景は日常となり、沿線住民の若い世代のライフスタイルは明らかに別次元に進化しました。
土日祝日、小中高生のLRT利用率の高いこと😮
彼らの生活圏は一気に拡大し、生活が豊かになりました。
LRTができたことで、若者たちはこの街に希望を見出している姿が、まざまざと伝わってきて、なんだかホッコリしています😊
LRT沿線で暮らす若者たちは、親に依存することなく友達同士だけで、映画館やモール、街の都心部へも気軽に遊びに行けるようになりました。
かつて、私(団塊ジュニア世代)がオリオン通りや、大通り周辺に、理由もなく向かったような、光景を再び見るようです。
人口構成から見て、日本ではシルバー民主主義に反した政策を進めるのは、制度上、困難です。
そんな中、過半数の高齢者層の皆さんが反対するなか、シルバー世代の反対を押し切り、なんとかLRTの開発を成し遂げた街に、若者たちは歓喜しているようにも思えます。
西側延伸への思いと厳しい現実
LRTが生み出した活気を、街全体へ、街の東西につなげてほしいと思うのは、この街を愛する誰もが切実に思うはずです。
そうすれば、宇都宮市は東西の壁を超え、新たな都市の発展が期待できますからね。
LRTが開業してから、反対多数だった、高齢者層の皆さんも、整備された公共交通の快適さを実感し、若者同様に、大きな恩恵を感じ、開発に賛成するようになりました。
そのため、次の市長選では、LRT反対派候補の票はまったく伸びないとみています。
事実上、現職と新人のLRT推進候補の戦いになるのは目に見えています。
しかし、いくら民意がLRTの西側延伸を望んだとしても、残酷なものでタイミングを逸すると開発は容易に頓挫します。
そもそも、LRTの東側ですら、構想から30年以上、すったもんだして、ようやく開業にこぎつけたのをみれば、西側延伸も一筋縄ではいかないことは、容易に想像できます。
過去ログ→【どうなる宇都宮市長&栃木県知事選挙!?】政治にほんろうされ続けた、LRT開通までの30年を振りかえると!?
私自信も、開業から予想以上の大盛況が続いていたので、この勢いで西側延伸はすぐにでも実現するだろうと、楽観視していました、が、しかし。
ここへきて、建設業に深刻な供給制約が襲いかかり、全国的に再開発に急ブレーキがかかり始めています。
残念ですが、大盛況であるLRTとて時代の流れには逆らえません。
グラフを見ればわかるように、現在なんとか労働需給の均衡を保っているような状況が、これから先、恐ろしい勢いで不足していきます。
全国の不動産開発の現場では、すでに官民含む、新規開発案件に、大きな供給制約が起こり始め、計画の遅れ、着工中止、計画の見直しが相次いでいます。
キラキラした未来の都市再開発プランの多くが、実現困難となる状況のなか、LRT西側延伸も例外ではありません。
LRTも公共交通として運行に採算を求められるため、増額する一方の建設費に対し、予算を簡単に追加できないため、開発を続行するのは非常に困難になる可能性が極めて高いです。
人口が減り続けるなか、増え続ける高齢者。
際限なく増え続ける、社会保障費。
先の国政選挙で、与党が惨敗したのもひとえに、庶民の生活がインフレで困窮しているからに他なりません。
すでに社保と年金、税金を合わせた現役世代の負担は限界を超え、増え続ける高齢者を支えるのは不可能となりつつあります😓💦
そんな状況で、新たな都市整備を行う余裕も急速に失われ始めています。
新規の建設に限らず、介護や医療、物流など、日本中あらゆるところで、供給制約が顕著になっているのは誰の目から見ても明らかでしょう。
これから急速に事務系ホワイカラーを除く、すべてのガテン系、ブルカラー労働の職種で人手不足が深刻化していきます。
ここから先、供給制約の荒波は加速度を増して進むため、さらなるインフレも招きやすく、皆さんが今まで想像しなかったような生活の混乱が起こることが予想されます。
自分の住む街で人口減少が顕著になり、皆が基礎的な生活にさえ困窮するようになると、すでにあるものを維持するだけで精一杯となり、新たに都市開発をする余裕はなくなります。
元旦に震災のあった能登半島の復興が一向に進まない現状を見れば、既存のインフラの維持さえ困難になっているのは明らかです。
震災でひどい目にあっても、国や自治体は、一向に復興を進めてくれない。
というか、供給制約があって、スムーズに復興したくても進められない状況に陥っています。
今は、耳の痛い話である、供給制約の現実を受け入れる方は少数でしょう。
しかし、あと1,2年も経てば、誰もが新しい開発なんかをやっている場合ではないことに気づくことになると思います。
現実的に、これから供給制約の影響をモロに受ける地方都市では、公共交通は衰退する一方になる可能性が高く、現状で考えられる移動の自由を確保するための解決策は、ライディングシェアのみになるかもしれません。
私個人としても、宇都宮市が思い描くような、LRTを核としてた次世代のコンパクトシティ構想を大いに支持していますが、現場の現実からは新規の開発を行う供給力が日々急速に失われているのを目の当たりにしています。
どのような時代になっても、生き残っていかなければならない皆様の参考になれば幸いです。
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