以前の過去ログで、宇都宮市のコンパクトシティ構想の成否を決めるのは、「脱マイカー」であると書いたのですが、、最近の不動産取引の現場を見ていると、それだけとも言えない深刻な状況が起こり始めています💦
過去ログ→【宇都宮市のコンパクトシティ構想の成否を決めるのは〇〇だけ!?】他都市の失敗例から見えることとは・・!?
居住誘導区域から外れた住宅街をどうするのか!?
コンパクトシティとして地方都市が目指しているのは、人口減少が進む中で、街のスポンジ化を防ぎ、できるだけ居住地域を集約化させ、人口密度を上げることで、インフラ維持のコストを抑制し、街の活気を維持することになります。
すでに宇都宮市では立地適正化計画を策定しており、将来的に住居を誘導するエリアを決めています。
問題は、現況、市街化区域内の住宅街でも、居住誘導区域外として、将来的に人を追い出したいと考えている場所が結構あることです!
誘導区域外の場所をいかに集約し、インフラの維持コストどう抑えるかが課題となっています。
本来であれば、立地適正化計画を推進するために、できるだけ誘導区域外に新たな居住者を引っ越させないよう、新たな開発規制等が必要なのですが、そんなことをしたら誘導区域外に指定された不動産が暴落してしまうので、現実は何もできません。
そうはいっても、立地適正化計画が出ている以上、将来性のない誘導区域外の不動産はすでに人気薄で下落傾向が顕著です💦
つまり、誘導区以外の物件は割安なのです!
宇都宮市の平均的なニューファミリーのマイホーム予算
栃木県居住者の平均年収は391万円で、中央値は382万円です。
ニューファミリーの収入を考えると、年収中央値の382万円に奥さんのパート収入(非課税限界)を合算しても482万円ほどです。
約500万円くらいの世帯年収だと考えると、現実的に無理のない住宅ローン返済は、年収倍率は5〜6倍程度です。
つまり、宇都宮市で平均的なニューファミリーが購入できるマイホーム予算の目安は2500〜3000万円くらいが購入上限となります。
昨今は低金利なので、8〜10倍まで限界を上げるような風潮もありますが、子供の学費も上がる一方なのと、止まらないインフレ傾向をかんがみると、やはり5倍前後が妥当な水準だと思います。
また、ここ数年、エンゲル係数(家計消費支出に占める食料費の割合)が急上昇中です!
今年も食料品の値上げラッシュでエンゲル係数は更に上昇必須で、電気代やガス代などの光熱費の値上げもひかえており、生活コストが上昇していくのは避けられません💦
生活のコストの上昇で可処分所得が減り、住宅ローンの返済に回すお金も減らさざる得ないような状況になっています。
必然的に、物件の購入上限も引き下げざる得ないのが現状です😥
宇都宮市内で動きのいい物件は?
不動産売買の現場にいて、ここ最近動きがいいと感じるのが、2000万円を切る価格帯で、程度の良い中古住宅です。
1500万円前後で駐車場が2台以上、大きなリフォームが必要ない物件だと足が早いです。
逆に、パワービルダーの新築3000万円オーバーの建売戸建ては苦戦しています。
価格重視の傾向が鮮明です。
大手企業にお勤めの方は、土地を買ってハウスメーカーで注文住宅を建てる方がまだ多いですが、地場の中小企業勤務だと建築費の高騰もあり、注文住宅は「高嶺の花」となりつつあります。
とはいえ、家族が住む家は絶対に必要なので、割安な中古住宅が注目を集めています。
ニューファミリーは誘導区外の住宅街に続々と引っ越し!
宇都宮市がコンパクトシティ構想を進展させるためには、本来、居住誘導区以外にできるだけ若い世代を引っ越しさせたくないはずなのですが、、
将来性の確保された誘導区域(LRT沿線のエリア等)は、不動産の値上がり鮮明で、欲しくても手が出ないニューファミリーが大多数です。
逆に、地価が下落し割安な居住誘導区域外(環状線の外側等)の住宅街は、生活に困窮している世帯には魅力的な物件が多いです。
一般的なニューファミリーとっては、マイホームの将来性より、目先の支払いを優先せざる得ないのが現実です😅
弊社のような不動産開発業者も、宇都宮市が居住者を抑制したいと考えている場所であっても、ニューファミリーに需要がある誘導区域外へ、新たな物件を供給せざる得ないです。
このような状況を目の当たりにしていると、宇都宮市がかかげるコンパクトシティ構想も「絵に描いた餅」に終わりそうに感じてしまいます。
居住誘導区以外に若いニューファミリーが引っ越してしまったら、今後も末永く、非効率なインフラを維持するための膨大な予算が必要になるでしょう。
一度スポンジ化してしまった街を、再び集約化していくのは非常に困難だと現場では実感します💦
コンパクトシティ構想を進めるには新たな規制が必要か?
現実を見れば、立地適正化計画を策定し、誘導区域に公共交通を整備し、生活施設を集約したところで、居住者の誘導は進まないでしょう。
なぜなら、若い世代は、マイカーを難なく使いこなせますからね。
問題が大きくなるのは、誘導区域外の住民がマイカー運転に支障をきたす時です。
先日も高齢者が幼い子供をはねてしまった交通事故が大きなニュースになっていました😰
→埼玉 熊谷 小学生 車にはねられ意識不明の重体 84歳容疑者逮捕(NHK)
こういった悲しいニュースを見る度、公共交通の重要性を痛感します。
近隣に便利な公共交通があれば、他人を巻き込むかもしれない危険な運転をしてまで出かける機会は減るでしょう。
しかし、マイカーしか移動手段のない都市郊外に住んでいたら、危険と感じていても、生きていくためにマイカーを運転せざる得ないのも現実です。
また、そもそもなぜコンパクトシティ化を進めているのかといえば、今後、人口が急速に減少するなか、人口密度の低い場所へのインフラ維持が困難だからです。
コンパクトシティを推進している大本は国ですから、国策として誘導区域外への開発規制を行う等の大鉈を振るわなければ、非効率な都市を集約させていくのは難しいでしょう。
居住誘導区域外に新たな不動産開発規制をかけるなら?
・誘導エリア外の居住者に大きな補助金を与え移住を促す
・誘導エリア外に新たに引っ越す人の固定資産税を増額する
・誘導エリア外の空き家や空き地を行政が買い取る
ざっと考えられることでもこのような施策が考えられます。
ニューファミリーが居住誘導区域内に新たに住宅を購入する際、補助金を出すのも有りだと思います。
立地適正化計画を進めるためには、居住者を誘導するのに大きな予算が必要になるでしょうが、将来のインフラ維持のコスト考えたら、できるだけ早く規制や補助金を出して、移住を促進した方が割安な気がします。
いずれにしても、コンパクトシティ構想を進めるうえで、公共交通の整備だけでは解決できない問題の一つが、マイホームの取得コストです。
深刻な少子高齢化と急速な人口減少が不可避な状況で、人口密度の低い場所へのインフラ維持が近い将来、困難になるのは目に見えています。
大きな開発規制や補助金等で、移住を促すような施策が行政には求められていくことになるでしょう。
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