不動産売買をするにあたり、もっとも重要なのは価格(『お金』)であるのは誰もが認めることでしょう。
そして、取引価格に影響を与える要素が『時間』です。
それ意外に、考慮されない重要な要素として『思い入れ』があります。
不動産を売買するにあたり、意外と意識されないけど重要な要素である『思い入れ』ついて今回は考察してみます。
実は『思い入れ』が取引を支配してる!?
皆さんは家具販売大手の『IKEA』で買い物をしたことはあるでしょうか?
大きなお店に行き、ストック倉庫から目的の商品を自分で探して、重い荷物を駐車場まで運び、家に持ち帰ったら、自分で慣れない組み立てをして、家具を完成させる。
この一連の体験を『IKEA』は戦略的に事業に取り入れています。
なぜなら、自分で苦労して調達した家具に価値を感じてしまうように人間はプログラムされているからです。
だから、近所の家具屋さんで5万円で買ったタンスより、『IKEA』で苦労して自分で作った1万9800円のタンスの方がその人にとって価値があると感じてしまうのです。
それだけ物にはお金で換算できない、個人個人の『価値』が付属され、それが相対的に存在します。
そのため、ある人にとっては『ガラクタ』でも別の人にとっては『お宝』なんてことはよくあります。
これは、家具に限らず、不動産にも当てはまります。
不動産は生活の場そのもの、だから、『思い入れ』が強い
生まれ育った家であれば柱の傷が幼少時の思い出を思い起こさせますし、長年手をかけリフォームを重ねた場合には、あれこれ考えて費やした時間が結実したことが費用以上の意味を持ちます。
これは先程紹介した『IKEA』効果と同じで、個別の不動産にも言えることです。
そのため、愛着のある家を手放す決断は簡単にはできなくなります。
また、仮に手放すとしても想定される実勢価格と売主さんの考える価格との乖離が大きくなってしまいます。
『モノ』の客観的価値に自分の評価が混在してしまうと、なかなか合理的な行動をとれなくなるのが人間です。
結果として持ち続けることにメリットがないとわかっていても、相続で受け取った実家等の不動産を処分するという判断に至らない方がかなりの数います。
全国でなぜ【空き家】が増え続けるのか原因の多くもここにあります。
『空き家にしてるなら売ってほしい!』と近所の人が頼んでも、思い入れが強すぎて売れないことはよくあること。
よほどお金にでも困ってないと、相続された不動産が放置されてしまう傾向が散見されます。
不動産を買いたい場合にも『思い入れ』が・・
では不動産を買いたい場合は『思い入れ』が関係ないのかと言えば、まったくそんなことはありません。
購入時にも例えば、『子供の学区を変更したくない』等の物件選びに何がしかの思考要素が付きまとうのが常です。
冷静に考えると、学区が変わっても子供は転校して学校に通えますが、親の心情としてできるだけ転校させたくないという思いは誰でも持つものでしょう。
そうなると、『お金』という面では、不動産取引ではかなり割高な物件でも購入するしかなく、第三者から見れば損しているようにも見えますが、買主さんは学校の近くに、入学前に新居を買えたことに非常に満足していたりします。
『お金』『時間』『思い入れ』の関係性
3つの要素の関係性で『お金』すなわち価格面で『得した!』、『損した😭』の違いが出てきます。
不動産売買で難しいのが実勢価格で、この3つの要素が個別に相対的に絡み合うので、正確な価格査定をするのが不可能なのです!
相場より高値で売りに出しても、売れる場合もありますし、相場よりかなり安値でしか売れなかったケースもこの3要素の関係性で説明できます。
不動産取引における『時間』も価格に大きく影響
相続等ですぐに現金が必要な場合は、想定される実勢価格での販売を目指し、仲介でのんびり売ることができないので、買取サービスなどを利用して即現金化する必要に迫られます。
そうなると、売却金額は相場よりも安くならざる得ません。
また、逆に購入時も子供の入学に合わせて、3月末までに引っ越ししないといけない等の時間的な制約があると、割高な物件でも購入せざる得ない場合も出てきます。
売るにしても買うにしても、時間的な制約が強ければ強いほど、取引相手が有利になります。
査定価格、相場も絵に描いた餅でしかない
『モノ』の正確な価値なんてものはありません。
つまり『モノ』の価値は相対的で個別の『時間制約』と『思い入れ』で変わるものなのです。
ですから、不動産取引においても『得した!』、『損した😭』は第三者視点でしかなく、常に取引価格が適正価格となります。
誠実でない不動産業者ほど、『お金』面のみを訴求し、不安を煽って商売につなげようとす傾向が強いのでお気をつけください😅
実際の取引における満足度を左右するのは、『お金』、『時間』、『思い入れ』この3要素のバランスが取れていることです。
だから、実家を空き家のままにしておくことだって全く問題ありません。
人間は経済学で言われるような、合理的な生き物ではなく、むしろ理解できないくらい不合理な心理状態に行動は影響されます。
どこに満足するかは人それぞれですから、固定資産税とて、大切な『思い入れ』に支払っていると考えることだってできます。
不安を煽って、不動産取引で儲けようとする業者に乗せられないよう、冷静に判断したいものです。
★荻原功太朗の業務について★
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