栃木県から2023年、最新の基準地価が公表されたので、今回はそこについて考察してみます。
公表されたのは県内の7月1日時点の基準地価、447地点です。
全用途平均の変動率はマイナス0・5%(前年はマイナス0・7%)と3年連続で下落率が縮小し、用途別では工業地が2年連続で上昇しました。
住宅地は平均0・5%下落(前年は0・7%下落)となり、こちらも下落幅が縮小してます。
住宅地は31年連続、商業地は32年連続で下落しましたが、、もはや県全体の平均を語る事自体があまり意味がありません。
それだけ日本全国で地域ごとの2極化が進み、さらにミクロな市町村内でも2極化が進んでいることから、県内の平均地価を語ることが時代遅れになっています。
注目するべきは、個別の上昇変動率の状況です。
・住宅地
住宅地の上昇率トップ5はすべて宇都宮市で、LRTが開業した駅東エリアに集中してます。
上昇率も4%台とかなり大きな地価上昇を見せています。
2位の元今泉5丁目は駅東公園があるエリアで、宇都宮ブレックスの新アリーナができることから、これからの変化に注目です。
以前からこのブログでお伝えしているように、宇都宮市の東エリアは上昇し、西エリアは地価が低迷する、『地価の東高西低』が鮮明となっています。
それだけ宇都宮市の東エリアはLRTの開発投資の好影響を受けています。
LRTが開業し、利便性を実感した人たちが増えることで今後は更に、このエリアに民間投資が集中することが予想されます。
そのため、LRT沿線は今後も上昇傾向が続くのは間違いないでしょう。
LRT沿線に住民を増やすためにも、前回のブログでお伝えした、調整区域の規制緩和が期待されるところです。
→【投資家必見!?宇都宮LRT沿線に宝の山!?】不可解な不動産業者の動きとウワサ話とは!?
・商業地
商業地の上昇率の上位は、JR宇都宮線の沿線に集中してます。
1位の東宿郷1丁目はLRTが開業したJR宇都宮駅東口の目の前のエリアです。
東宿郷4丁目も1丁目に隣接エリアで、駅から国道4号線までのLRT沿線は商業地域で高層マンション建設が活況を呈しています。
下野市の祇園1丁目は、JR宇都宮線の自治医大駅の目の前の商業地で、小山市駅東通り1丁目も小山駅の目の前の商業地となっており、JR沿線の人気が鮮明です。
商業地は首都圏のアクセスの良さが価格に直結する流れが当面続くことになるでしょう。
・工業地
工業地のトップ1,2はLRT開業の好影響を受けた、芳賀町芳賀台と宇都宮市の清原工業団地で、上昇率はともに3%弱とかなり大きな上昇見せています。
全体から見ても、LRT沿線の工業地は、上昇が目立っています。
ちなみに、北関東3県の工業地はすべて上昇傾向を示していて、栃木はプラス1.0%、茨城はプラス1.1%、群馬はプラス0.9%でした。
コロナ禍も終わり、再び東京一極集中の傾向が強まり、首都圏に近い3県の工業地は、受け皿となっています。
特に昨今は、電子商取引(EC)が急伸し、物流拠点の引き合いが強いのと、円安傾向が鮮明なことから、製造業の投資意欲も高いので、今後も安定した地価上昇が進行すると見ています。
・地価の上位地点
市町別の変動率は、宇都宮市が前年のプラス0・5%から0・8%に、下野市は横ばいがプラス0・6%にそれぞれ上昇しました。
一方、茂木町はマイナス2・9%、那須烏山市がマイナス2・4%、市貝町がマイナス2・3%と中山間地域を中心に下落が目立ち、県内も地域により2極化傾向が更に強まっています。
地価は4種類もある?で、実際の取引価格は?
そもそも、公表される地価だけでも、公示地価(国土交通省が決定 *公示価格)、基準地価(各都道府県が決定 *公示価格)、路線価格(国税庁が決定)、固定資産税評価額(市区町村が決定)と4種類もあるんです。
更に、不動産鑑定士が経済価値を検証して算出した価格である不動産鑑定評価額も加えると、5種類も地価の評価があります。
がしかし、、
皆さんにとって一番身近で、欲しい情報は現場で取引される直近の『実勢価格』でしょう。
マイホームの売買にしても、投資物件の売買にしても、とにかく最新の相場情報が重要になります。
不動産は同じものが2つとないだけに、実際の価格評価は当事者間により無数にあるのが現実です。
ただ、今回のような公的機関が公表する数字ではおおよその全体の流れがつかめると思います。
しかし、公表されている地価はあくまでも参考価格で、現場では公示地価で取引が行われることはまずありません。
特に、値上がり傾向を示しているエリアでは、更に値上がりをする期待感から、売り主は公示地価より、かなり上乗せした高値でしか売りたがらないのが常です。
また、値上がりを続けているなら無理して売る必要もないとの思惑から、さらに地価が上がるような循環が起こりやすくなります。
そのため、人気エリアの地価は一旦上がり出すと、なかなか落ち着くことがありません。
実際に宇都宮市のLRT沿線なんかだと、着工が決まった直後が一番の買い時なのはプロ目線ではわかっていました。
なぜなら、まだ実際のLRTができる前は、売主さんも不動産の将来価値を明確に理解できない方も多く、それほどふっかけた価格を提示してこないからです。
しかし、実際のLRT工事が進むにつれ、徐々に自分の所有不動産価値が上がっていく期待感を抱くようになり、所有し続けたいと思う気持ちが強くなります。
一方、投資の好循環が起こり、便利になって行く場所への不動産需要は急増します。
そうやって、需要と供給のバランスが変わり、地価は上がっていくのです。
ですから、不動産で財を成したいなら、これから行われる予定の投資開発情報をいち早くキャッチすることがいかに重要かわかるはずです。
今回の地価動向でもわかるように、地域に投資資金が流れない場所は衰退する一方なのです。
栃木県内でも開発投資を行えない、中山間地の地価下落に歯止めがかかりません。
街の開発投資にすべからく反対し、予算のすべてを『福祉へ!』と唱えるシルバー民主主義政策を続けると、いずれ経済が立ち行かなくなり、福祉予算の確保が困難になるのは自明の理です。
いかに地域に若い人たちを引き寄せ、インフラを誘致できるかが、将来の安定した財源を確保し、福祉政策を担えるかを決めるのです。
シルバー向けに耳障りのよい『福祉!』声高に叫ぶ、選挙運動が横行しているのが残念です。
驚いたのは開業後、LRT開発に多くの方が反対していた高齢者層の方々が、宇都宮のLRTをかなり利用している現状です。
結局のところ、街の開発投資で経済が潤えば、沿線の住民以外の高齢者の方にも多大な恩恵があるのです。
地価の東高西低の流れを変えるためにLRTの西側延伸を早期に着工し、宇都宮市全体に好循環が波及するようにすることが重要です。
宇都宮市全体の発展が、回り回って長期的な福祉予算の安定確保につながることを、税金の恩恵を受けるシルバー世代の皆様に理解して頂き、安易な選挙活動に感化され、世代間闘争を煽られないのを祈るばかりです。
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