「ZEH」いわゆるセロ・エネルギー・ハウスは、その普及に伴い耳にすることも多くなりましたが皆さんご存じでしょうか?
東京都では新たな住宅建築に太陽光パネル設置を義務化が話題となりました!
ZEHの目的は、世界的な目標であるカーボン・マイナス・ゼロ社会を実現するために民生部門において目標を達成するための手段で、簡単に表現すれば「電気は再生可能エネルギーで自給自足で賄ってくださいね」ということで、それが実現されれば火力発電所等の発電施設も余計に稼働しないから二酸化炭素排出量が減るよねということです。
自分たちの暮らす地球全体の二酸化炭素排出量を抑制し、地球温暖化を防止することは大切ですから、可能な限り協力したいと思う一方で、私たち一般人が思うのは「それはそれとして、設備金額の負担を私たちがしなければならないの?」という疑問です。
ZEHを主導する国土交通省や経産省の考え方としては「自給自足で電気代が節約できるのだから、その恩恵を受けるのは自分でしょう!」と、口には出さないけれど思っています。
もっともそのような本音は言えませんから、ZEH補助金を拠出してお茶を濁しています。
栃木県でも今年度予算に省エネ住宅促進へ補助として1億5000万円を盛り込む見通しです。
→栃木県、省エネ住宅促進へ補助 新年度予算に1億5000万円(下野新聞)
気になる補助金についてですが、、
2022年度における補助金の額はZEH支援事業の、いちばんシンプルな形態で
補助額55万円+蓄電池(最大20万円)=最大75万円
上記の要件よりも建物性能や一定要件をクリアすればZEHプラスとなり
補助額100万円(蓄電池を含む)
さらに上記の基本的なZEH仕様にプラスして、先進的再エネ熱等導入支援事業の設備を導入すれば
補助額90万円が加算されます。
ちなみに先進的再エネ熱等導入支援事業とは、ZEHに直交集成板(CLT)・地中熱ヒートポンプシステム・PVTシステム・液体集熱式太陽熱利用システム等を導入する場合の補助金です。
併願が認められていますからZEHプラス+先進的再エネ熱等導入支援事業により最大で190万円の補助金が得られるのですが………
ZEHに限らず、補助金は簡単に拠出してはくれません。
そもそも一般的なZEHに関する記事でも「ZEH補助金」という表現をしていますが、正確には「ネット・ゼロ・エネルギーハウス実証事業」といいます。
あくまでも将来的にZEHを義務化するにあたり、実際の効果を測定する必要性があるので、それらに協力をする「協力費名目」で、補助金を拠出しているのです。
ですから補助金を利用すれば、引き渡し後の一定期間は記載するのも面倒な報告書の提出が義務付けされています。
さらに建前としてはZEH補助金は「公募制」つまり申請をして公募でふるい分けられる体裁をとってはいるのですが、実際には基本的な性能条件をクリアしていないなどの特殊な例を除き、100%使用することができます。
というよりも毎回、予算よりも申請件数が下回っている状態です。
当初は2030年までに「ZEHを義務化」としていたのですが
いつのころからか「遅くとも2030年めでに義務基準をZEHレベルに引き上げ」にトーンダウンしています。
ゼロ・エネルギーハウスが普及しない最大の原因は、一般住宅より建築費用が割高になることです!
収入にゆとりのある方々にはお得な制度とはいえ、予算に限りのある方には、昨今のインフレで更に建築費に負担がかかっています。
そのため、予算に余裕のある方向けの大手ハウスメーカーの新築注文戸建住宅で56.3%だった一方、一般工務店は9.4%と開きがあります!
いくら多くの補助金がもらえるとはいえ、支払総額が増え、月々の負担が増えるのであれば普及を促進するのは難しいし、予算に余裕のある方だけが補助金の恩恵を受けられるのも不公平を感じる方もいるでしょう。
ゼロ・エネルギーハウスを普及させたいなら、マイホームを検討しているみんなが利用しやすいよう、補助金制度を再設計する必要があるでしょうね。
★荻原功太朗の業務について★
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