国土交通省から2023年(1月1日時点)の地価公示が発表されました。
全用途の全国平均は前年比プラス1・6%で2年続けて上がりました!
しかも上昇幅は1・0ポイント拡大しました。
とはいえ、全国平均での数字は3大都市圏の取引が大いに影響します。
地方と大都市圏では全く状況が異なっています。
栃木県内の状況を見ると、全体(全用途)の1平米当たりの平均地価が31年連続で下落しました!
下落率はマイナス0.5%でした。
全国平均では上がっていても、栃木県の平均でみれば、なんと31年も下落が続いています。(^_^;)
しかし下落幅は前年より前年より0.2ポイント縮小、個別地点で上昇したのは21地点増え下落したのは23地点減りました!
ニュース報道では平均の値が大きく報道されますが、正直に言ってあまり意味はありません。
なぜなら、栃木県内でもミクロな視点で見れば、市町村ごとに明暗がはっきりしているからです。
宇都宮市の平均地価は、2023年プラス0.7%と県内トップの上昇率です。
2位はプラス0.6%の小山市で、栃木県内の市町村別で上昇したのは2市のみです。
栃木県内の市町別の平均変動率は宇都宮市が6年連続上昇、小山市も2年連続で上昇しました。
栃木県内では宇都宮市の一人勝ち状態です。
一方、下野市は昨年に続き横ばいで、ほかの市町村の平均地価すべて下落しました。
下落率トップは茂木町でマイナス3.6%です。
それだけ地域地点ごとに2極化が鮮明になっているということです。
ミクロな地点ごとでは、宇都宮市で今年8月開業予定の次世代型路面電車(LRT)の沿線エリアの住宅市場は非常に好調でした!
宇都宮市の住宅地最高価格は22年連続で宇都宮市宿郷5丁目の13万9千円です。
上昇率のトップは、LRT沿線のゆいの杜(もり)4丁目で、なんと6.2%上昇し、価格は6万1700円となりました!
宇都宮市ではLRT開発が進み、民間投資が流れ込んでいる東エリアの上昇が目立ちます。
また、JR宇都宮駅周辺や中心市街地でも分譲マンション建設による再開発が進んでいる影響で地価は好調に推移しています。
また、注目すべきは栃木県内の「工業地」です!
こちらは去年の平均よりも1%上昇しました!
個別で最も気になった地点は壬生町の変化です!
壬生町では区画整理が進んでおり、22年6月にはブームを巻き起こしている、会員制量販店「コストコ」が開業しました。
壬生町を訪れる人が大きく増えたこもあり、地価の平均変動率は住宅地がマイナス0.1%(前年はマイナス0.7%でした)と前年6位から3位に、商業地もマイナス0.2%(前年はマイナス1.1%でした)と9位から4位に急浮上しています!
取引の現場では『コストコ人気』もあり、コストコに近い東武おもちゃのまち駅周辺では強気な売り価格も見られるようになりました。
県内全体としては新規の開発が行われ需要が堅調なエリアが好調でした。
長期的には宇都宮市のLRTとJR宇都宮線沿線エリアが安定した地価の推移を記録しています。
以前からこのブログで再三言っているように、開発投資が行われなくなった場所はどんどん土地の価値が下落していく一方です。
宇都宮市でもLRTの開発前は賛否が二分していましたが、都市開発が行われず官民含めた投資資金の流入がなければ、宇都宮市でも平均地価が今でも下落していた可能性も否定できません。
結果的にはLRTの公共開発が行われたことで、地域全体の富が増えたことになります。
壬生町も『コストコ』の誘致が成功したことによる地域の富創出効果は大きかったのがデータからも読み取れます。
一方、新規の不動産開発から取り残された栃木県内の中山間地域などでは下落率が相対的に大きかったです。
今後もミクロな地域間での2極化が進むことは間違いないでしょう。
大切な財産として不動産の資産価値を考える上では、常に地域の不動産開発情報に注目することが重要です。
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