素人が自由に情報を発信し、それを観て楽しむことが目的であったYou Tubeもすっかりと様変わりして、人気YouTuberがちょっとした芸能人よりも有名になるなど、プロと素人のかきねが良くわからない状態が見受けられます。
もっとも最近ではテレビの世界でも、プロと素人の境はあいまいです。
一般的にプロとは専門性の必要な特定の分野において、高い見識や技術などを有し、質の高い仕事をする人と定義されています。
この定義から私も不動産のプロを自認しているのですが、最近では「金銭」を稼いでいればプロと分類されているようです。
不動産のプロとは想定される問題を予めクリアにし、安全・安心に不動産取引をおこなえる人のことだと思うのですが、問題ばかりを起こしていても契約件数だけ上げればプロとされてしまう傾向もいかがなものかと思ってしまいます。
今回のテーマであるYou Tubeのおいては、高い見識を有しているとは思えない内容でも、フォロワーが多数いるユーチューバーはアフィリエイト広告(動画の途中に流される広告の成果報酬)で稼いでいるのですから、稼いでいる意味でプロです。
You Tube動画は娯楽であると考えれば、それで良いのでしょう。
ですが当初は楽しむために見ることが多かったYou Tubeも、現在では料理やアイロンの掛け方、ギターテクニックなど講座のような番組も多数、存在しており、内容も感心するものから「コレは……どうかな?」と思うようなものまで様々です。
見るのは自由ですから、後は受け取る側しだいなのでしょう。
You Tubeには不動産に関しての番組も多数、存在しています。
不動産について解説するのであれば、娯楽であってはイケマセン。
ですが、解説している内容自体が誤っているものや、誤解をまねくような内容のものは閲覧をオススメしません。
中には、あきらかに集客目的のものもありますから見る側としてもうかつに信じない配慮は必要でしょう。
もっとも公共性を持つテレビでさえ、時に誤った情報を伝達して放送倫理・番組向上機構から駄目出しされ担当責任者がお詫びするなどの事態に発展するのですから、よほど公共性に反していない限り規制されないYou Tube動画は、いわば放任状態であると言えるのでしょう。
知識のある方が見れば問題はないのでしょうが、自信たっぷりに誤った情報を伝えられれば、知らない方は信じてしまうこともあるでしょう。
もっとも「信じる・信じない」は自己責任となるのですが……。
ですが不動産に関してのYou Tube動画は娯楽系ではなく、少なからず学ぼうとして見る人が多いでしょうから、あまりにも内容に問題があるとさすがに……といった気持ちになります。
インターネットで不動産・人気You Tube番組などで検索すると、上位にあがっているのは不動産投資関連の番組です。
意味を取り違え言葉が独り歩きしている感の「老後2000万円問題」の影響でしょうか、資産形成のため投資がブームの様相ですが、不動産投資の番組をみると「楽して儲かる」と誤解をまねく内容になっています。
不動産のプロとしてハッキリといっておきます。
楽して儲かる不動産投資などありません!
相応に知識があり土地建物について目利きできれば、少ない投資金額で利益を得ることも可能ですが、私達、不動産のプロでも失敗する可能性が高いのも不動産投資です。
不動産投資物件の売却サイトなどを見ると、表面利回りの高い物件が数多く売り出されています。
その利回りは本当でしょうか?
本当に利益が出るのであれば、売却せず所有している方が「得」でしょう。
ですが、ワンルームやオーナーチェンジ物件と呼ばれる、賃貸に転用した分譲マンションが数多く販売されています。
それらは収支が合わず、所有していても赤字が増加するといったケースが多く、売却するしか方法がないのです。
不動産コンサルとして投資検討物件の調査を行うことがありますが、登記情報を見ると抵当権が売却価格以上に設定されていることも多く、それらは満額ローンで不動産業者の言いなりで購入した結果でしょう。
詐欺に近い投資物件の勧誘行為が増加していることから、消費者庁も専用ホットラインを設けて対応しているほどです。
セカンドオピニオンとしてそのような物件を販売している会社から提供されたレントロール(家賃や居住人数などを盛り込んだ賃貸借収支等を確認できる一覧表)を精査すると、かなりの部分で抜けている箇所や読み込みの浅い部分が多く、とても謳(うた)っているほどの利益が得られないことが多くあります。
もっともレントロールの作成や書式には、法的なルールなど存在していませんから参考資料程度のものでしかありません。
投資物件を購入する場合にはリスクも含め収支がどの程度得られるかを検討して判断する必要があります。
そのようなリスクについての説明が不十分で、「間違いなく儲かる!」と誤解をまねくようなYou Tube「投資」番組はオススメできません。
このような番組は具体的に名前を上げてもよいのですが、さすがに後々、問題が生じるので控えます。
また多くの番組は、最終的に自社の問い合わせに繋げることを目的として構成されています。
番組制作には労力が必要ですから、目的が集客であることに問題はないでしょう。
ですが、あまりにも露骨(ろこつ)だとさすがに……と言った気分になります。
不動産系と言われているYou Tube動画を分類すると、不動産投資のほか、不動産知識を解説している知識拡充系、また新築建築時の注意点や、販売目的のための物件紹介系などがあります。
そのように数ある不動産系You Tube番組のうち、おすすめできる番組を2つ紹介します。
1つ目のオススメは「ふくろう不動産」です。
チャンネル登録者数も、不動産系では多い1.75万人です。
この会社はチャンネル登録が2009年ですから、不動産業界でまだYou Tubeが注目されていない頃から、不動産や業界の知識などを動画化して取組んでいます。
それだけの期間、定期的に動画を更新していますので内容も不動産売買に役に立つ内容が一通り上げられており、フラット35などの融資動向や結露いついてのなどまで、誠実さがにじみ出る語り口で解説をしています。
★荻原功太朗の業務について★
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