7月13日に再生可能エネルギーの地産地消による低炭素化を目的とした地域新電力会社「宇都宮ライトパワー」が、設立されました。
宇都宮市、新電力会社を設立 LRTに再生エネルギー供給 足銀と栃銀も出資(下野新聞)
設立に必要な資金は宇都宮市のほかNTTアノードエネジー(東京)、東京ガス、足利銀行、栃木銀行から出資されています。
宇都宮ライトパワーの本格的な事業開始は2022年1月から予定されおり、当初の段階では、ごみ焼却による熱エネルギーを電力に変換し、次世代型路面電車(LRT)への100%電力供給や、公共施設への供給をメインとするとのことです。
発電システムとしての詳細な情報はまだ確認できませんが、宇都宮市のごみ処理施設である「クリーンパーク茂原」を利用すると公表されていることから
おそらくは「国立環境研究所」のHPでも公開されている「廃棄物発電」システムを組み込むと考えられますが、具体的には現在、実際に稼働している秋田県横手市にある
「グリーンプラザよこて」のシステムを踏襲するのではないかと予測できます。
上記のシステムフロー図を見ると、難解に見えますが原理は単純です。
基本はゴミ焼却する際の「熱」を回収して「湯」を沸かし、その蒸気でタービンを回転させ「発電」するというシステムです。
従来は、火力発電に比べると廃棄物の熱量は低く不安定であることから、ボイラの温度や圧力を一定にするには制御システムが煩雑になり発電コストが割高になるといった欠点がありました。
最近ではこの制御システムが格段の進歩を遂げているとのことで、いずれは枯渇していく化石燃料(石油や天然ガスなど)と比較して、早々に採用し実績を積み上げさらに技術革新していくシステムとして国内外の注目を集めています。
それ以外にも、宇都宮ライトパワーでは再生可能エネルギーである「太陽光発電」にも意欲的に取り組むとしており、宇都宮市内の家庭用太陽光発電における余剰電力も積極的に購入して活用する予定とのことです。
具体的な買い取り金額は明らかにされていませんが、改正FIT法により順次固定買い取り期間が満了し、発電した電力を自己消費できないことから、高額な蓄電池を購入しようか迷われている一般家庭方とっては朗報だと言えるでしょう。
さきほど解説したように、LRTに関して必要とされる運行は、全てをこの再生可能エネルギーによる電力を利用するとされており、そのほかにも市庁舎や図書館、体育館など約240施設にも供給する予定になっています。
この効果として、宇都宮市では年間約1万1千トンの二酸化炭素を削減できると試算しており、電気代については約500万円節減できるとしています。
これらにより得られた事業収益は、環境問題などの地域課題解決に生かすとされており、太陽光発電の普及拡大やバス、タクシーなどの電気自動車(EV)化など、市民生活の質の向上につながる事業を想定しています。
再生可能エネルギーに関してですが、7月12日に経済産業省から興味深いデータが公表されました。
「2030年時点における_発電コスト試算の有識者会議」の公開データです。
再稼働などを巡り二転三転している原子力発電ですが、従来は経産省を筆頭に
「様々な問題ははらむが、発電コストについては原子力が最も安い」と、火力や水力発電、再生可能エネルギーと比較したコストの安さを強調し、なかば強引に計画を進めている傾向が見受けられました。
ですが今回の試算では、東京電力福島第一原発事故をきっかけとして安全対策費が1割以上も上昇したことにより、安さ神話が瓦解して事業用・住宅用も含めて「太陽光発電」がもっとも発電コストが低いとの結果を示しました。
検証の方法としては、2015年に公表されたものと同じく上記の概要に基づいて試算されています。
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