不動産購入と言うと、敷居が高いと考える方が多いものです。
家族が増えるなど、必要に迫られてから購入を検討するケースが多いのです。
ですが、その決断の時期は本当に正しいのでしょうか?
家族がいる場合には賃貸住宅でもそれなりの広さが必要になります。
あたりまえですが、部屋が広いほど家賃は割高になります。
高額な家賃を毎月支払っても賃貸住宅は、自分の物にはなりません。
不動産購入に戸惑いを覚えるのは、価格が高額であるとの理由もありますが、住宅融資に対する漠然とした恐怖感があるのではないでしょうか。
住宅を現金で購入される方はそれほど多くありません。
大半の方は、金融機関で住宅ローンを組みます。
「多額の融資」と言うイメージに先行し「もしリストラにあったら」や「病気で働けなくなったら」など不安になるのは皆さん一緒です。
ですが、賃貸の家賃と同じく「月々の支払金額」と言うポイントのみで考えればいかがでしょう?
マンション・一戸建てに限らず「建物性能」や「広さ」を月々の支払額で比較した場合には、購入したほうが“割安”になります。
住宅の融資に関しては低金利が継続しており、各金融機関も最優遇金利を推奨していると言う点も見逃せません。
賃貸でも一定期間、家賃を滞納すれば退去させられます。
融資でも、それは変わることはありません。
ですが融資を組んでいる方が、債務不履行(支払い遅延など)に対して立ち退き猶予が長くなります(滞納を進める訳ではありませんし、当然として滞納があれば督促はされますが、督促頻度は賃貸住宅の方が苛烈です)
金融機関は融資金と利息が、約条通りの支払金額と期間で完済されるのが目的で、回収金額の低下する競売などによる一括弁済は出来れば避けたいのです。
何らかの事情で支払いが困難になると予測出来る場合には、予め金融機関に相談すれば応じてくれます。
きちんと実情を踏まえて説明をすれば一定期間の支払い猶予や、月々の減額処置など様々な方法が提案されます。
賃貸住宅の家賃は、まずそのようなことはありません。
支払い遅延する家賃滞納者は契約約款により立ち退きをして、新たな賃借人を募集する方が、家主に取って良いからです。
住宅融資は年齢や勤務先・所得・物件担保力などで総合的に融資金額が決定されます。
これらを「与信力」と言います。
つまり融資を借りようと思ったときに借り入れ出来る金額を決定づける信用力だと理解してください。
よくある「社宅や公宅に住んでいて、家賃が安いか急いで不動産を持つ必要がない」と、言う意見をお聞きします。
社宅や公宅で、安い家賃で住める場合、無理して不動産を購入しなさいと言うのではありません。
現在ある「与信力」を生かして、不動産購入を検討するのも大切では無いのかと言う問題提起です。
「与信力」は個人の状況によって変化します。そこで必ず押さえて戴きたいポイントを書きに列記しました。
- 完済時年齢
住宅融資は各金融機関が定めた完済時年齢から逆算して融資年数を決定します。
例えば完済時年齢が75歳の金融機関の場合、住宅融資の最長期間が35年の場合には
75歳-35歳=40歳(誕生日の年度で、完済時年齢達したと見なすため計算から1歳減になります)
つまり、39歳で融資実行しなければ、最長である35年間の融資が受けられないことになります。
もちろん支払総額は融資年数で増加するので、単純に期間が長い融資を推奨する意味ではありません。
支払いが可能であれば、融資年数が短いにこしたことはありません。
ただ融資期間が長いと月々の返済額が減少するので、日々の生活にもゆとりが出ます。お勧めとしては最長期間で月々の負担を下げておき、可能であれば繰り上げ返済を推奨します。
繰り上げ返済は返却時点で元金とそれ以降の金利が無くなることから、返済時期が早いほど支払総額に対する減額効果が高くなります。
- 将来的に所得が上がるのが確実か
金融機関は融資額の決定を行う場合に返済負担率を見ます。
返済負担率とは「年収に占める年間返済額の割合」のことです。
例えばフラット35の返済御負担率は下記のようになっています。
100~300万円未満で 20%以下
300~450万円未満で 30%以下
450~600万円未満で 35%以下
600万円以上 40%以下
自己資金も少なく所得が上がるまで待ってからと言うのは、現在の職場が安泰で、これからも年功序列式に所得が上がり続けると言う前提です。
パンデミック以降「まさか」と言われる企業の倒産が相次ぎました。
働き方も変わり、在宅業務にシフトした企業も無数にあります。
待つだけのメリットは本当にありますか?
- 健康でなければ融資は受けられない
住宅融資は健康でなければ借りられません
会社の健康診断などで再検査要判定が出た場合には、迷わずに受けて下さい。
融資を申し込む際の団体信用生命保険告知書には正確に記入をしなければなりません。
告知義務違反は、もしもの際に融資残額免責が受けられなくなります。
そもそも、健康体でなければ団体信用生命保険に加入できません、
完治から数年で申し込みが出来る種類の病気もありますが、例えば“がん”などは一定の生存率を超えて根治したとしても加入することが出来ません。つまり、団体信用生命保険が強制加入である住宅融資は申し込めないことになります(フラット35は団信強制加入ではないのですが、万が一の時に残された家族に対してのリスクがあるのでお勧め出来ません)
上記のことを踏まえ、不動産購入を資産形成と言う観点から考えてください。
現在ある「与信力」を利用して、資産としての不動産を購入すると言う考え方も見えてきます。
「すぐに住む」「住まない」と言う観点ばかりでは無く、流動性の高い不動産を予め購入しておき、住まないうちは賃貸で貸すと言う選択肢があります。
これは俗に言う、不動産投資とは違い資産形成の考え方です。
イギリスではこの点について非常に考え方がしっかりしており、早いうちに小さな不動産を購入し、必要に応じて買い替えを行って資産形成を行います。
新築思考では無く、手入れをして長く使うと言う国民性があり、購入してからも自分であちらこちら手入れをして資産価値を増していきます。
日本でもこの考え方を踏襲しようと、国交省が主体になりリノベーションを推奨しています。
日本においてはまだまだと言ったところですが、いずれ浸透して行くと思っています。
個人的には過度なリノベーションはお勧めしていません。
例外は自分自身が住むために快適性を追求する場合のみ。
日本はまだリノベーションが正しく資産評価とされる土壌が形成されておらず、多大な金額を投じてリノベーションを行っても、資産性にはそれほど反映されないからです。
これらをご理解戴いたうえで、現在あるご自分の「与信力」について検討を行い、不動産購入をご検討されては如何でしょうか。
★荻原功太朗の業務について★
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