【不動産屋がスレる理由!】モラルを求めるお客のモラルとは!?

2020年6月13日土曜日

不動産ビジネスあれこれ

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私も不動産業界にたずさわって、20年あまりにもなりましたが、この業界のイメージが一向に良くなっている気がしませんね。(-_-;)

確かに、お客さんのメリットなんかまったく考えないで、売却物件を囲い込む業者も未だに後をたたない。

全国展開している大手の業者でも、物件の囲い込みを当たり前のようにやっているから呆れてものも言えない。



でも、すべてを不動産業者のせいにするのも難しい面があるんです。

今回は、不動産屋がどうしてスレてしまうのかを改めて考えてみたい。


どうして不動産屋は悪どいイメージが付きまとうのか?

不動産業界に長くいるので、今でもおかしいと思う部分も多々ある。

上っ面の保証サービスなんかに、お客が簡単に騙されていたりするのがいい例だ。

ものは言いようで、保険なんかもそうだが、事が起こっても想定したような保証がうけられないようなケースはよく起こる。

契約書を細かいな部分まで確認する人は、ほぼいませんからね。

だから、仲介に保証とか付いていると、知識のない人は飛びついたりするんだけど、耳障りのいい話だけでほとんど意味のないサービスばかり。

それでいて、仲介手数料はしっかりと上限いっぱいの満額取られているから、話にならない。

そんなに、取引後のトラブルが心配なら、物件価格の値引きや、自分で保険に入った方がよっぽど安上がりだし、保証も確実だ。

このような、知識のないお客向けの、耳障りのいいサービスは20年業界にいるが後を絶たない。

『どうせお客は何もわからないんだから、得したように見せればいいんだよ!』

こんな考えが大手の業者にも充満してるから、エサに食いついて物件を囲い込みされて、損していることにさえ気づかいない。

そして、取引が終わってから、どこかで取引の不透明な部分を調べたりして、不動産業への悪いイメージが定着していく。


どうして不動産業者はコソクな手段を使うのか?

『正直不動産』という人気マンガがあるが、まさに不動産業界は正直者が損する構造的な要因が多い。

その最もな原因が、『成功報酬』の仕組みにある。

弁護士さんなんかは、仕事の依頼を受けたら必ず着手金を請求する。

つまり、途中で顧客の気が変わって、依頼を完結されなかった場合の、逃げ得を許さないためだ。

一方、不動産業界にはそのような仕組みはない。

だから、多くの人は勘違いしているが、お客としてドヤ顔で不動産業者に仕事を頼むのは間違っている。

なにせ、『成功報酬』で契約が無事に完了するまでタダ働きを先に提供するからだ。

ここを勘違いしている人が多いので、不動産業者はスレてコソクな手段を多用するようになっている。

最近は大手のポータルサイトなんかで、不動産業者の評価ができたりするが、タダ働きを散々させて、途中で仕事を他者に投げた上に、今まで仕事を頼んでいた業者に低評価をつける人もいたりするが、逆の立場になったら不動産屋がスレる理由もわかるだろう。

そもそもお金ももらわないうちから、働くのはしんどい。

あなたは、『後でしっかりお金は払うから、頑張ってよ。』と言われて仕事のやる気が出るだろうか。

しかも頑張ったあげく、『なかなか売れないから、他に頼むわ!』みたいなお客も数多くいる。

最初にした約束あっさり反故にして、タダ働きされた分だけ業者は損をする。

なにせ、不動産屋とて、家賃や電気代、自動車の維持費なんか毎月固定でかかるし、広告宣伝費に莫大な金額を使わなければならない。

それを常に、仕事を依頼されたら先行投資しなければならない。

だから、できれば弁護士さんみたいに先に着手金もらえるなら、安心して仕事に従事できる。

でも、お客サイドはまったくNOマネーで仕事を頼めるので、気が変わったり、ちょっとでも気に入らないことがあろうものなら、『もう結構です!他にいきます!』みたいな剣幕で怒る人もいる。

もし、着手金を先に払っていれば、着手金分だけ損金になるから、まずこのような横柄な態度で業者にあたる人はいなくなるだろう。

不動産業者はいつも、タダ働き前提で動き出すから、よっぽど専属専任契約のような縛りの強い契約でも結んでもらえなければ、その場に応じた仕事の取り組みしかできない。

お客も不動産業者もこの『成功報酬』の仕組みで、相互不信になっているのは間違いない。


不動産業者から見る悲惨な現場事情

不動産業者は常に不平等条約のもとで働かされる宿命を負っているので、どうしてもコソクな手段を使わざる得ない面も確かにある。

だから、業界にいる立場からすると、仕事を頼むお客サイドの倫理も問題が多いのを日々感じる。

多分この記事の読者の方は、かなりバランスの取れた良識のある皆さんだろうから、わたしは是非一緒に仕事をしたいと思う。

業者をいじめまくるような、迷惑なお客はこのような情報は読みませんからね。


ここで業者がどうやってスレていくかの不動産売却での細かな実例と内状をみてもらいたい。

お客サイドは手持ちの不動産をキャッシュに変えたい時に、気軽に不動産業者に仕事を依頼できるが、不動産業者は常に先出しで、物件を預かったら間取り図を作成したり、写真を撮りにいったり、資料を作ったりしなければならない。

資料もなければ、販売活動ができませんからね。

ここまでの作業をして、その後にポータルサイトへの物件登録や自社HPへ物件を掲載したりする。

ここまでの、工程すべてに人件費が必要になるし、広告宣伝費も費やさなければならない。

そして、お客さんのために先にお金を使っているが、請求一切できない。

販売活動をするにしても、価格の決定権はもちろんお客にある。

だから、不動産業者の査定なんかほとんど意味がなく、お客サイドがいくらで売りたいかが重要になる。

そして、多くの人は査定価格より高い価格で物件を売りに出す。

査定価格は直近の取引などを勘案した、相場に準ずる価格だから、それより高値で売りに出せば、すぐに売れることは難しい。

不動産屋もお客の要望をきいて、販売活動を始めるが、売れない価格はすぐにわかる。

でも、そんなこと言ってお客の気持ちを害することをしたくないので、『なんとか売れるかもしれません。』みたいな、反応を返すしかない。

そして、2ヶ月、3ヶ月と時間は過ぎる。

この間も、案内に行ったり、他者に鍵を貸したり、預かっている物件での仕事は継続して行っている。

当然、しばらく売りに出して、売れないから不動産業者はお客に値下げの提案をする。

すると、、、

『あんたのところが売れると言ったから頼んだのに!』

『もっと売れる努力をしてくれなきゃ他に行くよ!』

こんな脅しのようなことを言われたりする。

不動産業者としては先に、お金を先行投資しているので、ここで依頼が破断したら元も子もなく大赤字になる。

だから、必死に『では、チラシを作って周辺にまいてがんばりますから、もう少し時間をください。』(^_^;)

などと、必死にお客をなだめる。

そして、追加の費用を使って、チラシを作って、配布する。

これにもすべて多額の費用がかかる。

当然すべて費用は不動産業者持ちで、お客に請求することはできない。

必死の営業活動も虚しく、買い主がみつからず更に2ヶ月が経過する。


再度、価格の見直しの提案をお客にする。

すると、、

『あなたが売れるというから、信頼して仕事を依頼したのに!』

『もういいです!他にいきます!』

(-_-;)


結局、お客は不動産業者に『ありがとう』の一言もなく、1円も払うこと無く、怒って契約を解除して去っていった。

不動産業者は罵声を浴び、多額の損失と、疲労感を味わっただけだった。


このようなことが起こるのは、日常茶飯事です。

立場が違えば見解も違うのはしかたないですが、あまりにも不平等条約で、一方的にお客サイドが有利なのが現行の『成功報酬』の仕組みです。

このようなことをする人が現実に存在するので、業者がスレる理由がわかるはずです。

しかも、仮にうまく契約が決まったとしても、後出しジャンケンで手数料の値引きを要求してくる人もいます。

こうなったら、どこまで売却活動に予算を投じればいいのか、考えるだけでも大変になるし、仕事がうまくいっても後味が悪いケースもあります。


お客サイドの立場からは、契約するまで一切お金がかからないから、『成功報酬』の仕組みは、不動産業者を気軽に利用できていいですが、業者は常にお金を先出ししています。

長く根付いた商習慣とはいえ、この仕組ではお客さんの利用モラルも問われることを、ご理解頂けると、業界にいる一人の人間としてありがたいです。

確かに、不動産業者のなかにはお客の利益なんか無視した、自分の売上至上主義の業者も沢山います。

その反面、真面目に不動産取引の円滑化に従事している業者も沢山います。

そして、お客さんのなかにも、とてもご理解ある素晴らしい方もいるし、実例で紹介したような、お互いの立場をまったく尊重しないで、一方的に罵声を浴びせるような方もいます。

私としては、『成功報酬』での仕事である以上、お互いの立場を尊重して気持ちのいい取引ができるように、業界とお客さん双方が成熟することを祈るばかりです。

★荻原功太朗の業務について★

私、荻原功太朗(宅建士・不動産コンサルティングマスター)は資産家の皆様を対象とした、投資物件の限定情報のご紹介、コンサルティング業務を担当致しております。不動産売買のご相談についても、ご指名頂ければ対応させて頂きます。
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宅建士・不動産コンサルティングマスター。株式会社サンプランの荻原功太朗が運営。速読を使いこなし、年間200冊以上を読書する活字大好き人間です。

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