インフレと人手不足の深刻化で、分譲マンションオーナーで形成される共同体、マンション管理組合の運営が苦境に立たされています。
→マンション組合、資産運用に動く 物価上昇で修繕に懸念(日本経済新聞)
マンション管理組合の36.6%もの組織が積立金が不足していてると回答しています。
そこに加えて、修繕コストが大きく上昇し続けています。
このまま現金で多額の積立金を持っていても、インフレで通貨減価の影響を受けてしまうので、大切な積立金を防衛するためにも、運用が不可欠な状況に追い込まれています。
しかし、通貨価値の減価を抑えるため、リターンを狙うということは、リスクがつきもので、運用で大きな損失を出す可能性も生まれます😅
近い将来、多額の損失を出したマンション組合がニュースになる日が来るかもしれません💦
さて、今回は急速に悪化する分譲マンションの管理運営を考えながら、宇都宮市の中古マンションのおける、ベストな売却タイミングについて考えてみたいと思います。
そもそも販売当初は割安なマンションの積立金
多くのマンション組合では積立金を段階的に引き上げていく、段階増額積立方式を採用しています。
これは、マンションを新築販売する際に、積立金の設定が高いと、販売に不利に働くため、意図的に低く抑えられています。
少しでも購入時のランニングコストを低く見せることで、できるだけ高値で物件を購入してもらえるよう、開発業者が行いがちな手法です。
さらにマンション住民の高齢化も顕著で、2023年のマンション所有者の半分以上は60歳以上の方で占められています。
そのため、年金で細々と暮らしている高齢者も多く、毎月の定期支出となる、修繕積立金や管理費の値上げを行うのは容易ではありません。
そして、修繕積立金が不足し、必要な修繕が行うため、金融機関からの借り入れも増えています。
借り入れをすれば、一時的に問題を先送りできますが、新たな金利負担も増えてしまい、修繕積立金の問題を悪化させるおそれがあります。
日本人は住替えを極端に嫌い、マンションでも終の棲家として考える割合が多いですが、ここへ来て、様々な問題が浮上してきています。
管理組合に問題が生じていると感じたなら、「終の棲家」にこだわり、問題に巻き込まれることを選択するより、早いタイミングでマンションを売却し、住替えを視野に検討するのが賢い選択になるかもしれません。
では、宇都宮市内の中古マンションを売るなら、いつがベストな売却タイミングなのかを考えてみましょう。
宇都宮市の中古マンション売却タイミング分析
宇都宮市の中古マンション市場でも、国際的なインフレ、人手不足という構造的な建設業の供給制約の課題に直面しています。
今後急速に、建設資材価格の高騰と深刻な職人不足により、維持管理コストの急激な上昇が予測されています。
このような状況下で、マンション所有者のみなさまは、以下の警戒サインと売却タイミングを慎重に見極める必要があります。
重要な警戒サイン
・修繕積立金の動向
修繕積立金の急激な値上げは、マンションの収益性と資産価値を大きく左右します。
現在、資源価格の高騰により建材費が上昇傾向にあり、人手不足による工事費用の増加も顕著です。
月額の修繕積立金が2万円/戸を超える場合、もしくは年間20%以上の値上げが予定される場合は、将来的な追加値上げリスクを考慮し、売却を検討する必要があります。
・空室率の推移住民構成の高齢化と若年層の転出増加により、空室率の上昇が懸念されます。
特に空室率が20%を超えると、管理組合の機能低下リスクが高まります。
これは修繕計画の遅延や管理品質の低下につながる重要な警戒サインとなります。
・設備更新時期
主要な大規模修繕・設備更新の目安はこちらです。
外壁・防水工事:12-15年周期(規模により5000万円-2億円)
給排水管の更新:築30-35年(戸当たり150-200万円)
エレベーター更新:築25-30年(1基あたり2000-3000万円)
これらの更新時期が重なる築30年前後は、工事費用の集中と価格高騰により、所有者の負担が急増します。
現在の建設コスト上昇傾向を考慮すると、大規模修繕前の売却判断が重要です。
宇都宮市内の中古マンションエリア別市場動向
駅東・東宿郷エリア
東宿郷エリアはLRTが整備されたことで、マンション開発が加速しています。
既存物件は、新規分譲との競争が激化していますが、LRT駅徒歩圏という立地優位性を活かした需要は維持できています。
ただし、このエリアの新規供給過多は今後の中古価格に影響を与える可能性があり、築年数の古い物件は早めの売却判断が必要かもしれません。
特に大規模修繕のタイミングが近い物件は、修繕費用の高騰リスクも考慮した判断が求められます。
駅西・大通りエリア
オヴェスト宇都宮、シティタワー宇都宮、宇都宮PEAKSなどのタワーマンション(20階以上の大規模物件)は、LRTの西側延伸への期待も相まって現在は高い需要があります。
しかし、タワーマンション特有の課題として、建物の高層化による修繕費用の増大(足場代、揚重費用など)や、エレベーター等の設備維持費の大幅な上昇が予想されます。
特に2025年以降の建設資材高騰と人手不足は、一般的なマンション以上に管理費・修繕積立金の上昇圧力となる可能性が高く、中長期的な保有リスクとして考慮が必要です。
峰・陽東地区(LRT開業済みエリア)
LRT開業により交通利便性が大きく向上し、不動産価値は上昇傾向にあります。
特にLRT電停まで徒歩圏の物件は若年層の需要が増加しています。
さらに、清原工業団地内での民間投資の増加と、沿線に巨大な産業団地の整備計画があり、このエリアの資産価値は今後も上昇が期待できます。
大規模修繕のタイミングと産業団地開発の進捗を見極めながら売却を検討すべきでしょう。
駅徒歩10分圏内の築15年以内の物件は、当面の保有継続が有利と考えられます。
LRT西側延伸が予定されているエリア(桜・南宇都宮駅周辺)
LRT西側延伸は、2030年前後の開業を目指しています。
西側延伸ルート沿線の不動産価値は、開業までの間に段階的な上昇が期待できます。
特に延伸予定駅徒歩圏内の物件は、開業までの保有継続がベストな選択となるでしょう。
知事が推進するLRTの東武宇都宮線乗り入れが実現すれば、東武沿線も宇都宮市の新たな交通結節点となる可能性があります。
東武線の駅周辺の不動産価値は利便性の向上で、大きく上昇する可能性があります。
ただし、年々深刻になるばかりの建設業の供給制約を考えると、LRT西側延伸が予定通りに開業できるか、かなり微妙な情勢になってきていますので、状況の注視が必要です。
築年数別の売却タイミング
・築20-25年のマンション
次回の大規模修繕工事前が売却の好機となります。
2025-2030年には工事費用の大幅な上昇が予想されるため、それまでの売却を推奨します。
現在は比較的市場価値が維持されている時期であり、売却に適したタイミングといえます。
・築30-35年のマンション
給排水管の更新前に売却を検討すべきです。
インフレの進行により工事費用の上昇が予想され、住宅ローン金利の上昇前の売却が望ましいと考えられます。
・築40年以上のマンション
早期売却を強く推奨します。
建て替えコストの高騰リスクと将来的な解体費用の上昇を考慮すると、できるだけ早い段階での売却判断が必要です。
まとめ
これからインフレと人手不足により、マンションの維持管理コストは確実に上昇します!
特に宇都宮市内では、人口減少による需要低下も懸念されます。
築30年以内のマンションは次回大規模修繕工事前の売却を、築30年超のマンションは早期売却を検討することをお勧めします。
なお、売却判断に際しては、エリアごとの特性と都市開発の進捗状況、LRT延伸計画の影響を十分に考慮する必要があります。
日本人は、諸外国と比べると、住替えに関する拒絶反応が高い傾向にありますが、所有不動産の価値を維持するためには、適切なタイミングで住替えを行うのが賢明です。
みなさまの参考になれば幸いです🙌
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