相続で譲り受けた実家等の空き家を売却したい、賃貸に出したいという場合に、自治体が運営する「空き家バンク」を利用する方法があります。
栃木県内の各自治体や宇都宮市でも『空き家バンク』を利用することができます。
一見便利そうなこの仕組ですが・・・
イマイチ盛り上がりを見せない現実とは!?
空き家が日本中で年々増加しているにも関わらず『空き家バンク』が普及しない事情を考察してみます。
そもそも『空き家バンク』はなぜ必要なのか?
実は問題の本質はここに集約されています!
結論から先に言うと、『空き家バンク』に登録されているような田舎の空き家は、不動産屋さんが手を出さない物件が多いんです。
都市部から離れ、案内するのも一苦労な場所の物件が多く、価格も安いため、商売として成立しにくい物件ばかりなので、手を出せないの主なが理由です。
つまり、、田舎の空き家は不動産屋さんにとっては「お金にならない物件」が多いのです。
物件としての魅力が乏しく、買い手や借り手がつきにくい不良物件も多いので、手間暇やトラブルが頻発するようなら誰も積極的に扱おうとしません。
慈善事業でない一般の不動産業者は利益を出さないことには、会社そのものが倒産してしまいますから、当然といえば当然の帰結です。
空き家の所有者は、売りたい・賃貸に出したいという場合、まずは不動産屋さんに相談します。
しかし、、
どこの不動産屋さんに相談にいっても、仕事を受けてもらえない・・・(^_^;)
この点は不動産業者の立場にたって少し想像してもらえばわかります。
そもそも不動産屋さんはすべからく成功報酬で仕事をしています。
つまり、物件の契約にいたり、ようやく売上を得ることができます。
契約前にあれこれ動いて経費をさいても、契約にいたらなければ赤字です。
相談されても赤字になりそうな案件には誰も手を出せないのです。
売却が難しいなら、賃貸ならどうなの!?
となりそうですが、、そもそも誰も買わないような物件を賃貸で借りようと思う人はなかなか見つかりません。
賃貸中もトラブルが頻発するような『空き家』は管理するのも一苦労です。
そのような経緯で、
不動産屋さんに相手にしてもらえなかった物件が空き家バンクに流れ着くという現実は多々あります。
多くは様々な「訳アリ物件」の可能性も高いです。
ではなぜ自治体がマッチングに協力してくれるか?
自治体が空き家バンクを運営するメリットは「人口が増えること」です。
外から人が移住してきてくれれば、空き家問題が解決でき、税収も増えますからね。
格安の空き家を探している人にもメリットがあります。
空き家を売却したい、活用したい人にとって、空き家バンクに物件を登録することによって、情報を外に向かって発信することができ、自治体がマッチングしてくれることはとてもありがたいことでしょう。
日本のどこかに自分の空き家を欲しがる人がいるかもしれませんし、自治体がマッチングしてくれる安心感もありますからね。
しかし、、残念ながら全国の「空き家バンク」はほとんど機能していません。
自治体の7~8割は、『空き家バンク』を利用して売買が成立するのは年間10件未満だということです。
そもそも『空き家バンク』にすべての空き家を登録できるわけではありません。
空き家バンクの担当者が現地調査をして、その審査に通らなければいけません。
老朽化が進んでいたり、傷みが激しかったり、解体するしかないようなボロボロの空き家は登録ができません。
むしろ、自治体に現地を見られてしまうため、下手をすると特定空き家と認定されてしまうリスクもあります。
「きちんと維持管理してください」「修繕工事をしてください」「解体してください」など言われてしまうと、かえってお金がかかります。
購入を検討している人にとっては、引っ越し後に様々なトラブルに見舞われるリスクが非常に高い物件なります。
よっぽど建築の知識があるプロでもない限り、物件を見て、修繕にいくら位予算が必要かわかりません。
そのような物件を買うのはバクチに等しい行為です。
購入してから、数百万の修繕費が必要になることもザラにあります。
しかも、、『空き家』を一旦購入して、失敗したと思って売却しようと思ってもなかなか買い手が見つからない。。
負のループに突入していまいます。(T_T)
プロの不動産屋さんが手を出さないような『空き家』はまさに負動産となりがちなので、売るのも買うのも大変なことをよく理解して慎重に取引することをお勧めします。
★荻原功太朗の業務について★
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