「人間50年下天の内をくらぶれば夢まぼろしのごろくなり」
織田信長が吟じて舞い、桶狭間の決戦に挑んだとされる逸話で有名な幸若舞「敦盛」の一節です。
この小唄の「人間50年」という部分については色々な解釈はあるようです。
当時の武将の多くが50歳前後で亡くなることが多いため、人の寿命であるとした説もある一方で、仏教における天上世界の六欲天(ろくよくてん)の最下位世界である下天の1日が人間界の50年に相当することから、あくまでも天上界における時間の感覚で唄われたとする説もあります。
私は不動産屋ですので歴史的な背景まで調べた訳ではありませんので、詳細なことは分かりませんが、少なくても戦国時代より人間の平均寿命が伸びていることは間違いないでしょう。
最近では「人生100年時代」なんて言われますが、若い方などは「いや~100年はちょっとね」とさすがにそこまで生きる想像はできないでしょう。
毎年、敬老の日のある9月に厚生労働省は100歳以上長寿者人口を発表していますが、それによれば52年連続で増加しています。
2022年の最新で90,526人、男女別では女性80,161人・男性10,365人となっています。
私も男性ですので、男性の100歳以上年齢の約7.7倍、比率にして全体の約89%を女性が占めているのは気になるところですが、いずれにしても「100歳まで生きる」ことが夢物語ではないことが分かります。
そこで気になる県別の人数ですが栃木県は1,224人で、こちらは17年連続で過去最高を更新しました。
最新の都道府県別100歳以上長寿者人口ランキングはまだ公表されていませんが、昨年の1位は島根県で次いで高知県・鳥取県と続いていました。
このような長寿に関してのニュースは下野新聞SOONでも取り上げられていました。
→100歳以上県内1244人 17年連続過去最多に_記事はこちらから
厚生労働省の担当者は「医療や介護が充実していることなどが増加の要因」としながらも「増加数の伸び率は落ち着きつつある」としました。
ですが有識者によれば2047年を目処として100歳以上長寿者人口は65万人を超えるとの予測もあります。
予測が現実になるかどうかは結果を見なければ分かりませんが、いずれにしても平均寿命の伸びについては疑う余地はないのでしょう。
そこで考えなければならないのは、老後のありかたです。
高年齢者雇用安定法の改正により、企業には70歳までの就業確保についての措置が努力義務とされています。
定年は65歳ですが、それ以降70歳まで就業機会を確保するために、努力義務ではあるものの定年の引き上げや継続雇用制度の導入、業務委託として継続雇用の機会を与えることが求められています。
引退して悠々自適の生活を送るのも理想ですが、元気で働けるうちは働くのが健康や精神衛生上も良いとされています。
このように働ける年齢が上昇し、平均寿命が増加している現状を考えれば早くから考えておきたいのが老後のライフスタイルについてです。
なかでも「住まい」については十分に考えておく必要があるでしょう。
「賃貸と購入どちらが良い」なんて議論は、昔から何度も繰り返されていますが、ライフスタイルや個人の価値観もありますから一概にどちらが良いと断定できるものではありません。
それを踏まえた上ですが個人的に、早い段階で購入することをオススメします。
理由は単純ですが、高齢になると入居できる賃貸住宅が極端に少なくなるからです。
賃貸オーナーは独居老人を入居させた場合、事故物件となる可能性が高まる可能性があることから入居を嫌がります。
事故物件になれば一定期間、告知義務が発生しますから新たな入居者を募集するにも苦労しますし、賃料を下げるなど収益的にも悪影響を及ぼします。
独居老人の入居先獲得には行政も頭を悩ませ、物件確保に知恵を絞っていはいますがなかなか苦労をしているようです。
もちろん介護サービス付き老人ホームへの入居なども選択肢の一つですが、サービスが充実し、部屋が快適などの条件を満たす施設は総じて費用が高くなります。
問題なく費用を負担できる場合は良いのですが、そうではない場合、住む所を探すのにも一苦労することは間違いありません。
その点、持ち家であれば住むところについては心配しなくて良いでしょう。
もちろん老朽化すれば、メンテナンスなどの費用は必要となりますし毎年の固定資産税も負担しなければならないなど、賃貸とは異なる費用負担は発生します。
ですが早くから不動産を取得し、70歳までに住宅ローンを完済してしまえば必要となる費用は上記のような維持費のみです。
賃貸に住んでも月々の家賃はタダではありませんし、立地や築年数などの条件が良くなればその分、賃料が上がります。
持ち家の場合には、介護サービス付き老人ホームなどへの入居を検討した場合に売却し現金を手にする他、賃貸として運用し、収入を得ることも可能です。
様々な考え方はあるかと思いますが人生100年時代が現実となったいまだからこそ、若いうちからの住宅購入を検討されていはいかがでしょうか。
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