社会全体のデジタル化を目指すデジタル改革関連法により、2022年5月に売買契約書を始めとする不動産関連文書の電子化が認められました!
コロナの長期化により、可能な限り人との接触を避けるため職場におけるテレワークが普及し、それだけではなく一般の方々の間でもZoom飲み会などインターネットを利用してコミュニケーションを取る方も多くなりました。
不動産業界はこれまで電子化にウトいと言われてきましたが、現在では内見(住宅の中を見ること)もZoomを利用するなど、ご希望があれば家にいながら物件選びをすることができるようになりました。もっとも大切な住宅を購入する場合には、少なくても一回以上、実際の住宅を確認いただく必要があると思います。
このような時代ですから、非対面で時間を気にせず売買契約を行えるIT重説が解禁され、すでに多くの方が利用されています。
この方法は重要事項説明書等を事前に郵送して、書面の到着後、スケジュール調整してZoomなどの画面上で説明、締結をおこなう契約方式です。
ですが印刷された書面のやり取りが多少、手間です。
事前に書類の郵送が必要で、署名・捺印後にはまた私達、不動産業者に返送しなければならないという手間(もちろんご連絡を戴いて回収に伺うことも可能です)です。
ですがつい先日のこと、事前に契約書等を郵送せず、決済を除く全ての契約行為がオンライン上で完結できる「電子契約」が解禁となりました。
なんと、この契約方式を利用戴くと契約書に印紙を貼る必要がありません。
つまり「印紙代が不要」になるのです。
5000万円以下の物件だと契約書に貼る印紙は¥10,000円ですが、買主・売主双方の負担になります。
これが不要になります。
それ以外のメリットとして
●時間節約
移動を必要とせず、当事者の合意があれば時間を気にせずに契約ができます。
●郵送代不要
書類の郵送などが必要ありません。
●契約書等がデータで保存できる
書面として保管する必要がありません。
とくに印紙代や郵送代が不要となる点が注目されています。
ここでちょつと小ネタですが「なぜ電子契約だと印紙代が不要になるの?」ということですが、国税庁は「公には電子契約にかかる文書は印紙税が非課税」としていません。
ところが「印紙税法」という法律は、印紙が必要な文書を下記のように定めています。
(1)印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること
(2)当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること
(3)印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと
気づかれた方も多いかと思いますが、電子取引についての記載がないのです。
そこでいたしかたなく、国税局も
「注文請書の調製行為を行ったとしても、注文請書の現物の交付がなされない以上、たとえ注文請書を電磁的記録に変換した媒体を電子メールで送信したとしても、ファクシミリ通信により送信したものと同様に、課税文書を作成したことにはならないから、印紙税の課税原因は発生しないものと考える」との意見を表明しているのです。
ですが、電子契約をおこなうには契約当事者、つまり不動産業者はもとより売主・買主など契約にかかわる全ての方の了解と、インターネット契約に対応できる程度の知識が必要とされます。
ですから当事者のうち誰かが「電子契約に対応できません」となれば、おこなえません。
その場合には従来どおり、契約書等を書面で行うことになりますから「印紙の貼附(印紙をはること)」が必要になります。
少しだけハードルが高いような感じもする電子契約ですが、これからは一般的な契約方式として普及していくでしょう。
なんせ民事裁判に限りですが、申立から口頭弁論や証人尋問、判決・訴訟記録の閲覧にいたるまでをオンラインで完結させる改正民事訴訟法等が5月18日、参院本会議において賛成多数で可決、成立しており、2025年までには標準化させると言っているぐらいですから、それと比較すれば不動産の電子契約はそれほど難しいものではありません。
「電子契約」についてもう少しお話しておきます。
先程、説明したように電子契約で契約することを当事者全てが「合意」しなければなりません。
ですから売主・買主それぞれことなる仲介業者が入ることを「共同仲介」と言いますが、業者の一方が電子契約システムに対応できない時点で、電子契約をおこなうことはできません。
これは業者に限ったことではありませんが、売主・買主も同様で、合意を得るためには「電子署名って何?」といったあたりから説明する必要があります。
人によっては、そんな面倒くさいことをせず「印刷してやり取りしたほうが良いでしょう!」となってしまいます。
普段から電子契約システムを利用している方なら、このような説明もすんなりと受け入れてくれるかと思いますが、知らなければ不安になるでしょう。
ですが電子契約は、一般の方が不安に思う以下のような内容について、間違いなく「契約が行われた」という証明(保全を含む)されますので、紛失リスクのある書面よりも安全なのです。
「電子署名」
「電子証明書」※印鑑証明書の代わりとなる
「日時証明」※契約を締結した日時の証明
「タイムスタンプの刻印」※その日時以降に文書が改ざんされていない証明となる刻印
これらにより締結された電子契約データは企業内サーバーやオンラインストレージ上に保管されます。
データで保管されたものは「電子文書の改ざんや署名の偽造が防止され、署名の本人性が担保できる」状態になっています。
このように安全性の高い電子契約ですが、残念ながら現在のところ対応できる不動産業者は多くありません。
なんせ解禁されたのがつい先日のことですから、「当社も時代に乗り遅れてはイケナイ!」と慌ててシステムを導入している段階だからです。
ですが内見・契約はすでにIT化が実現し、残る決済(残金を支払い、不動産の所有権移転をすること)についても、司法書士だけは面談による本人確認が原則ですから走り回ってもらうしかないのですが、それ以外は非対面が可能な時代になりました。
弊社では常に最新の情報を皆様にお届けし、様々なご提案で不動産に関する「お悩み」を解決させて戴いております。
電子契約にも柔軟に対応しております。
どうぞ、お気軽にご相談ください。
★荻原功太朗の業務について★
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