東京証券市場第1部に上場し、中古住宅買取再生を中心として不動産事業をおこなっている㈱カチタスが、プレスリリースで興味深いアンケート結果を公表していました。
今回はそのデータに基づき考察も含めブログを更新したいとおもいます。
このアンケートの名称は「第1回 空き家所有者に関する全国動向調査(2021年)」で、2021年に空き家所有者を対象に、963名の有効回答を得て作成されたデータです。
調査項目については以下の通りです。
【調査項目】
1. 空き家の建物形態について
2. 相続登記義務化法案の認知度について
3. 相続登記義務化が施行される際の空き家所有者の現時点で考える対策について
4. 相続について家族、親族と相談したことがあるか
5. 空き家所有者が売却先へ求めること
6. 売却検討している方の選択肢について
7. コロナ禍における空き家所有者の意識・行動変化
7.1. コロナ禍における空き家の売却検討について
7.2. コロナ禍における移住検討について
7.3. コロナ禍における二拠点居住検討について
7.4. 移住・二拠点居住住宅の条件について
設問1_空き家の建物形態は、予想通りではありましたが一戸建てが多数を占めていました。
不動産業者である私が、設問の中でもっとも興味を引いたのが②と③です。
つまり「相続登記義務化の認知度」と、その対策についてです。
この相続登記義務化については【宇都宮の不動産ホンネの話】過去ブログでも記事を掲載し、実際に問い合わせも戴いております。
【宇都宮市の不動産でも待ったなしの登記義務化!?】自分で出来る相続登記を解説します!
義務化前には政府から委託された野村総合研究所の調査報告があり、2033年には空き家戸数が全国で2150万戸、現状で把握されている戸数の約30.2%増加するとの予測がありました。
そのような予測も含め空き家対応に苦慮する地方自治体からの強い意向もあり、ようやく国が重い腰を上げたという背景があります。
この登記義務化はすでに施工されており、新聞やニュースでも取り上げられていますのでそれなりに認知度があると思っていたのですが、集計データでは「相続登記義務化」の認知度が23.2%しかありませんでした。
インターネットによる調査なので回答の信憑性に疑義が生じる部分もありますが、それにしても少なすぎます。
それなりに認知度があったもおかしくないとおもっていたので、驚きでした。
ねんのため解説しておきますが、この法律は2021年4月21日に義務化されています。
相続の開始を知って、かつ所有権を取得したと知った日から3年以内に登記を完了しなければなりません。
ちなみにですが、「ワタシ、相続したなんて知りませんでした」などの言い訳は通用しません。
「知っている・知らない」は、法による罰則には何ら影響を及ぼさないからです。
「知らなかった(もしくは知ろうとしなかった)貴方が悪い」というのが法の原則です。
登記義務に違反すれば、10万円以下の過料です。
それだけではありません。
未登記で所有者所在不明の場合には、固定資産税が徴収不能状態で累積されています。
地方自治体も税負担公平性の観点から不明所有者調査を行っていますが、人員や調査難航により必ずしも芳しくはありません。
ですが登記義務化により、地方自治体の調査に関する行政権も強化されていますから見つけられるのも時間の問題です。
10万円の過料と滞納した固定資産税に延滞金のオマケつきで徴収されることになります。
個人的には義務化の3年後、つまり2023年にはこの徴収問題が多発するであろうと見ています。
悪いことはいいません。
すぐに登記と、空き家の対策を考えましょう。
所有者不明空き家は、その大半が「相続」による取得です。
不動産評価が低く扱いの困難な山林や、閑散地のあばら家であっても法定遺留分が存在していれば、適法に相続放棄をしてなければ相続により所有権を取得します。
相続により不動産を取得したものの、面倒なのか登記費用を惜しんだのか、はたまたその知識を有していないのか定かではありませんが登記がされていないことが、所有者不明の空き家の根本的な原因となっています。
このような管理されていない空き家は家具を放置している場合も多く、治安上も好ましくないうえに不審火の原因ともなりうるので、地方自治体も苦慮しています。
管理ができないなら、売る、もしくは貸してしまいましょう。
一番悪いのは、放置することです。
また登記の義務化を理解している方も、その対応策に悩んでおられる方が多いようです。
アンケート結果でも、「まだわからない」が過半数を占める結果になっていました。
「分からない」といった回答が多い理由については、様々な諸事情により悩んでいるのだろうと。ある意味では納得できます。
とくに法定相続人が複数ある場合などでは、売却をするにも意見調整が必要とされますし、それいにがいに何か良い方法があるのではないかと模索するでしょう。
ですが分からないと回答している方に、「空き家相続について話し合いをしていますか?」といった意味合いでの設問をすると、66.7%の方が「ない」と回答しています。
貸すにしても売却するにしても、具体的な行動をおこさなければ時間を浪費するだけです。
悩んでいるからこそ不動産のプロに相談することをお勧めします。
第三者が介入することにより、適切なアドバイスを受け膠着状態から一気に動き出すことはよくあるケースです。
弊社では仲介による売却のほか、買い取りや運用など幅広く不動産事業を手掛けております。
どうぞお気軽にご相談ください。
★荻原功太朗の業務について★
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