【トラブル続出の相続問題!遺言書の紛失も心配なし!?】新しい相続の保管制度が開始される!?

2021年9月3日金曜日

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自分の築き上げた財産を、思った通りの配分で相続させたい。



そのような意思の反映だけではなく、遺産配分により遺族間に発生するトラブル防止や負担軽減の意味合いから相続や遺言への関心が高まりをみせています。


遺言書が必要なのは資産家だけの話で自分には関係ないと思われている方も多いのですが、そんなことはありません。


最近はすっかりと定着した「終活」という言葉。


これも、人生終盤における身の施し(医療・介護・葬儀・お墓・相続)において、身内はもちろんのこと親しき人に迷惑を掛けず、最後まで全うする意識が定着したものです。


つまり財産が多くあるから遺言書を残すのではなく、遺族への最後の思いやりとして残すべきもの。


それが遺言書です。


そのような時代の反映というわけでもないでしょうが、令和2年7月10日から【自筆証書遺言保管制度】が開始されています。


この制度については、運用開始から日も浅く知らない方も多いでしょう。



ご紹介する制度が出来るまで、法律上有効な遺言方法は下記の3種類に限定されていました。


1.公正証書遺言


遺産分割も含め遺言書作成も専門家である公証人に依頼することができ、また原本が公証人役場に保管されることからもっとも安全性が高く確実な遺言方式です。


デメリットとしては遺言書作成のため複数回、公証人役場に出向く必要がある(入院中など本人が公証人役場に出向くのが困難な場合には、経費を負担して出張してもらうことは可能)ことや、2名以上の証人立ち合い署名・捺印が必要とされるなどです。


また相続財産の金額や受遺者の人数により、それぞれ別個の法律行為として証書手数料が加算されますので、もっとも費用がかかります。


2.自筆証書遺言


自分で相続内容を検討し、自署で作成する遺言書です。


映画やドラマなどで登場するのは大概はこの自筆証書遺言です。

なじみ深さは一番かも知れません。


自分で作成しますので費用はかかりませんが、遺言書の形式は法律で厳格に定められていますので、形式不備は法律上無効とされる危険性があります。


またせっかく作成しても予め保管場所の説明を相続人の誰かに話しておかなければ、見つけられずに故人の遺志が反映されないほか、誰にでもわかる場所に保管していては悪意の受贈者に改竄される危険性もあります。


また封入された自筆証書遺言は、開封前に家庭裁判所による検認(事前に開けられた形跡がないかなど、裁判所が確認する作業)が済んでからでないと開封できないなどの手間がかかります。


3.秘密証書遺言


遺言書の存在証明や保管は公証人役場がおこないますので紛失や改竄の危険性はありませんが、記載内容について公証人は関与しませんので、遺言内容に不備があれば法律上無効とされる懸念があります。


保管料だけですので公正証書遺言と比較して費用は安くすみます。


これまで紹介したように、それぞれにメリット・デメリットが存在する遺言方式ですが、簡易的でありながら安全性についても考慮され、公正証書遺言と自筆証書遺言の中間にあたるのが今回、解説する自筆証書遺言保管制度です。


■自筆証書遺言保管制度は何が違うの?■


それでは具体的な内容を解説しましょう。


形式は自筆証書遺言です。


ただし自筆証書遺言で一般の方が不安に思う記載方法(訂正箇所も含む)については、封入前(自筆した遺言書を封筒に収め、封印を押す)に遺言保管所で検分をしてくれますので心配することはありません。


ただしこれは形式についてのみですので、分割の適合性など内容については関与しません。


法定遺留分や分割内容の妥当性などに不安が残る場合は、弁護士や行政書士など相続問題に強い専門家にサポートを依頼するほうがよいでしょう。


具体的な遺言書の記載形式は下記のとおりです。



自筆証書遺言は1.本人が自筆で記載する2.日付を記載する3.署名・捺印3点について特に注意を要します。


また用紙のサイズがA4に限定されている点や、誤字の訂正方法も厳格に定められている点なども注意が必要です。


遺言書に記載する相続財産は、預貯金や有価証券・不動産などを財産目録に漏れなく記載(目録はパソコン等での作成も可)して準備します。


■費用など

公正証書遺言は相続内容により証書手数料は変動しますが、目安として¥50,000円~¥70,000円程度必要です。


自筆証書遺言保管制度は保管申請が1通あたり¥3,900円と安く、閲覧請求や情報証明書交付費用などについても低く設定されています。



費用面以外においても、単純な自筆証書遺言と比較して下記のようなメリットがあります。


  法務局が遺言書を保管してくれる(紛失や改竄リスクがない)

  開封前に家庭裁判所にたいする検認請求が不要(遺言書保管所が形式を確認してから封入するため)

  相続開始後、相続人にたいし遺言書の存在が確実に伝わる。


■具体的な申請方法は?

申請書式のダウンロードや手続きの詳細な流れについては、法務省の下記リンク先から確認すると良いでしょう。

自筆証書遺言保管制度_法務省公式HP



遺言書の保管場所は遺言書保管所と記載されていますが、これは法務局です。

 保管する法務局も①遺言者の住所地②遺言者の本籍地③遺言者の所有する不動産所在地3カ所から遺言者自身が選ぶことができます

 保管申請には事前予約が必要な点については注意しましょう。

■まとめ

運用開始から日も浅いこともあり認知度の低い制度ですが、個人的には今後、主流となっていく遺言方法であると予想しています。


安全面や相続配分なども勘案すれば公正証書遺言がもっとも安全であることは間違いありません。

弁護士などの士業も、現状では公正証書遺言を勧めてくるでしょう。

この考え方には、私も同意します。

ただし相続財産が預貯金や自宅の不動産のみであり、受遺者も配偶者と子1名などの単純相続の場合、法定遺留分も1/2ですので公正証書遺言ですとあまりにも仰々しくなりますし、費用も馬鹿になりません。

とはいえ自筆証書遺言だと紛失も怖い。

そのような場合には、申請費用も安く利便性も高い自筆証書遺言保管制度はメリットのあるものになります。

もちろん相続人の人数や遺贈財産の額によっては、専門士業のサポートを受けたうえでの公正証書遺言をお勧めします。

相続内容によりメリットを比較して、遺言方式を検討されるのが良いでしょう。


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