全国的にLGBT向け住宅ローンが増加しています。
LGBTとは「レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー」の頭文字を並べた性的なマイノリティーの総称です。
従来であれば法律婚以外では、住宅ローンを組む場合に返済負担率を補う目的や、夫婦共有名義での不動産取得を目的とした収入合算や担保提供は認められていませんでした。
ですが、この性的マイノリティーとして広義のジェンダーを認知する動きが世界的に活発化し、他国に遅れてではありますが日本でも住宅融資の際に単独購入での所得額不足を補ための所得合算に関し、連帯債務者や担保提供者を法律婚のみとした原則を撤廃し、取り扱いを可能にする動きが活発化しています。
そのような動きに反したのが、夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定が憲法に反するかどうかを争った最高裁家事審判の判決です。
最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は6月23日に、2015年12月の同種訴訟の判決に続き夫婦別性を認めないことは「合憲」とした判断を示し、物議をかもしだしました。
判決の論旨では「司法がこの問題を判断するべきではなく、それを判断し規定するのは立法の仕事である」と丸投げとも解釈できる考えを示し、有識者などを中心に「司法としての権威を放棄する蛮行」などと叩かれています。
あくまでも個人的にではありますが、最高裁判断は無難な判決だろうと思っています。
これは、けして司法を擁護しているわけではありません。
現行司法制度の限界が判決に表れていると思うからです。
私たち民間は、不動産業者も含め金融機関なども様々なライフスタイルに対応するべく、柔軟な姿勢でSDGs(持続可能な開発目標)に向けての活動をしています。
立法や行政・司法では支えきれない実生活を支援するのは、民間企業でしかないという思いがあるからです。
このような考え方から全国的に2017年ごろを始めとして、都銀である三井住友銀行やみずほ銀行が、同性パートナーの収入合算を認める審査を取り扱いを始めました。
ただし、都銀は融資判定基準のハードルが高いという欠点があります。
地元密着で地方を下支えしようという考え方の地方銀行と、全国に支店網をもち大型融資を数多く手掛ける都銀の融資に関する判断基準の差です。
地元の栃木県では「あしぎん」でなじみの足利銀行が、本年度の3月29日から連帯債務での借入、住宅ローンやリフォームローンの審査での収入合算、夫婦連生団信などへの加入における配偶者の定義に、同性パートナーを含める取扱いを開始しています。
これにより、栃木県内の地銀などが続々と導入を検討しているようです。
このような形での収入合算が広く認められると、単独では返済負担率により予算が届かなかった物件購入も可能になるなど、同性カップルが希望の不動産を購入できる選択肢が広がります。
ただし、この同性パートナー融資(ペア・ローン)の申し込みは、民間と司法の見解の違いから、万が一の相続などに関しては注意をする必要があります。
現行制度では、実際に同性パートナーとしての関係が成立し、対外的に認知されていても
「法律婚」としては認められていないことによります。
ですから、融資を利用するには宣誓受領証や各自治体が発行する同性パートナーシップ証明書などが必要となります。
これらの書類を必要とする理由ですが、主たる債務者と連帯債務者、どちらか片方が死亡もしくは高度障害の状態になった場合には住宅ローン返済は免除されますが、例えば死亡の場合に住宅の所有権や家財などの財産に関する相続の問題が発生し、それらを回避する意味からも事前に手を打っておこうという考えがあります。
司法はこのLGBTカップルのパートナーにたいし、予めの手立てなしに当然には相続できないとしています。
これは現行司法ではLGBTのカップルの場合に法律婚とは認めておらず、相続のみならず財産分与も求めることもできないとされているからです。
■任意後見契約に関わる公正証書および任意後見契約に関わる登記事項証明
任意後見契約に関わる書類に関しては、以下の内容が記載されていることが条件となっています。 【必要記載文言】 2人が共同生活を営むにあたり、当事者間において、次の事項が明記された公正証書を作成していることを確認します。 ●2人が愛情と信頼に基づく真摯な関係であること ●2人が同居し、共同生活において互いに責任を持って協力し、およびその共同生活に必要な費用を分担する義務を負うこと ■パートナーシップ証明書 パートナーシップ証明書を不要としている金融機関が、最近では多くなりました。
その理由は、パートナーシップ証明書は地方自治体が独自の判断で公的証明を発行する制度だからです。
栃木県内では栃木市や鹿沼市が「市パートナーシップ宣誓制度」を導入して証明書を交付していますが、残念ながら宇都宮市ではまだ制度導入にまで至っていません。
地方自治体で温度差があることから、金融機関も柔軟に対応しパートナーシップ証明書を不要としているのです。
この市パートナーシップ宣誓制度は、そもそもが多様性(ダイバーシティ)を尊重する社会づくりを、地方自治体が下支えることを目的として公的証明を発行しています。
この考え方は、法律は単に六法全書に記載されているもののみが「法律」ではなく、現実に生活をする様々な人にたいして柔軟に対応し、その「権利」を守り、自由と正義を守る枠組みを重視する考え方に成り立っているからです。
私たち不動産業者には、業務上知りえた情報を漏洩しない守秘義務があります。
それによらずとも宇都宮市に住む、様々なお客様のご要望に柔軟に対応するべく活動しております。
安心して不動産に関するご相談を、お問い合わせください。
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