【観光業を育成する宇都宮市の戦略!?】大谷周遊拠点を 2023年に開業へ!旧公会堂を復元、活用する!?

2021年3月8日月曜日

宇都宮市の不動産と街の動向

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宇都宮市は、市の観光拠点でもある『日本遺産 大谷石文化』の魅力の発信を強化し、大谷地域の滞在型観光を促すために「大谷観光周遊拠点施設(仮称)」を2023年3月、市営大谷駐車場にオープンすると発表しました。


 計画では、国登録有形文化財「旧大谷公会堂」を活用して、ビジターセンターや多目的スペースとして整備するとのことです。

 予定される施設の敷地面積は約5560平方メートルとなり、今年度4月より実施設計に着手して、8月からの着工を予定しています。


 宇都宮市では、大谷地域における地域資源を活かした持続可能な地域振興の推進として、昨年も様々な取り組みが計画されました。

たとえば、大谷石文化との相乗効果を狙う取り組みとして「大谷夏いちごブランド推進協議会」を設立し、冷熱エネルギー等を活用した新たな事業の具体化するための研究実施に向けて、民間事業者等との連携を図りながら、冷熱エネルギー等の効果的な活用に向けた研究開始を開始しました。

大谷石文化を背景として、石の持つ冷熱エネルギーを「いちご栽培」へと応用する興味深い研究は、採取場跡地内に賦存する冷熱エネルギーの活用に加え,保温性の高い半地下ハウス等のエネルギー効率の高い設備導入により,ランニングコストの低減や夏いちごの品質安定を図るという、史跡と現代科学の融合という新しい取り組みです。

また大谷石文化を更に広く周知する目的として「宇都宮市大谷石文化推進協議会」を核とした官民連携の促進を計画し、 日本遺産魅力発信事業を実施し、ホームページ・インスタグラム・ツイッターなどによる情報発信を充実させる他にも、市民ホールにおいて定期的に大谷石文化パネル展開催するなど広く魅力を伝えるための取り組みがされています。

ご存じの方も多いかとは思いますが、民間の有志による魅力発信に関する取り組みも度々、紹介されています。


大谷地区の景観改善を目的とした空き地や空き家の利活用などに取り組んでいる、宇都宮共和大学シティライフ学部西山ゼミの学生らが企画した映画鑑賞会もその一つです。

 大谷石の天井をスクリーンにして、学生らが寝そべりながらドキュメンタリー映画「鉱毒悲歌そして今」を鑑賞する取り組みなどは、石文化の利用方法についての利用促進への提言も含め話題性もあり、マスコミでもたびたび取り上げられています。

素晴らしい環境での鑑賞、私も見てみたいです!


宇都宮市は古くから、二荒山神社の門前町・宇都宮城の城下町として栄え、発展してきました。

誇るべきところは、この石文化による発展が日本において稀有であり、世界的にも類を見ない採石産業の営みによる景観、農村部に残る天棚や屋台など、多様な文化が息づいている「まち」であることです。

大谷石は、約千五百万年前の海底火山の噴火によって形成された凝灰岩ですが、宇都宮市民にとっては、昔から身近な存在でした。

宇都宮市の祖先は、早くから石質の特質を見抜き、竪穴住居のカマドや横穴式石室の石材として使ってきた歴史があります。

また、岩肌を露出する石山に磨崖仏を彫り、人々の安寧を願いました。

城下町・門前町として発展した宇都宮の市街地では、江戸時代以降、都市づくりに大谷石を使い続けてきました。

これは現在でも宇都宮市の都市シンボルである二荒山神社の石垣をはじめ、教会や寺、公共建築、豪商の屋敷、民家の塀まで、用途・身分・宗教を問わず大谷石が使われてきたことによります。

当初は宇都宮市内に限定して使用されてきた大谷石も、明治以降は採石産業が確立し、人車軌道や鉄道などの輸送手段の発達や採掘の機械化により、出荷量は飛躍的に増加しました。

この時代変化により大谷石は宇都宮以外の東京や横浜に大量に出荷され、近代化する日本の都市づくりの礎を担ってきたのです。

採掘の結果として生み出されたのが、大谷資料館で見られる幻想的で巨大な地下空間です。 


このように広く出荷された大谷石ではありますが、使用された建築物のデザイン性や機能美は、やはりお膝元とも言える宇都宮市内に残る建築物においての評価が高くなっています。

たとえば大谷石で外壁を覆うカトリック松が峰教会聖堂では、浮彫を施した大谷石タイルを複雑に組み合わせた、見る人を魅了する象徴的な丸いアーチや、西洋中世の教会建築の意匠をあますところなく実現しています。

対照的になりますが、日本聖公会宇都宮聖ヨハネ教会聖堂は、同じ大谷石タイル張りの仕様ですが、自然石の持つ荒々しくも、自然な表情を活かした独特の信仰空間をつくりだしています。

好みにもよりますが、どちらも宇都宮市が長年培ってきた石使いが、いかんなく発揮されている建築美です。

意匠性だけではありません。
大谷石は、耐火性に優れ調湿・消臭効果を備えていることから、食品醸造にも適しているとされ、味噌や酒、醤油などの商家の蔵にも広く用いられてきた歴史があります。

江戸時代からの続く宇都宮市内の老舗では、いまも石蔵が現存し、宇都宮石文化の象徴をつくりだしています。 

歴史を紐解くと、大谷石が本格的に建材として採掘されたのは江戸時代頃に遡ります。

当初は農閑期に露出する石を採掘すると言った零細産業でしたが、明治以降は採掘産業として本格化し、人車軌道や鉄道等の輸送手段の発達や採掘の機械化により出荷量は飛躍的に増加したのは先ほど解説したとおりです。

そして出荷のために開発された軌道沿いの街道には、いまでも石材店が連なり、石工たちも集まった大谷石造りの旧公会堂もその一角にたたずんでいます。

それらの問屋は石山ごとに「山の神」を祀り、石山の安全や産業と地域の繁栄を祈願していました。

また建造物以外にも、人々の憩いの場となる庭園の花壇や園路、道路の敷石にも用いられます。



宇都宮市内に住む私たちは、「大谷観光周遊拠点施設(仮称)」の建築計画により注目を浴びる大谷石が、近代化に向け日本の都市づくりの礎となったという誇り高い歴史を深く学び、広く情報を発信する必要があると思います。 


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宅建士・不動産コンサルティングマスター。株式会社サンプランの荻原功太朗が運営。日々の不動産業務や宇都宮市の動向に関するブログ。

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