このコラムでも度々お伝えしているJR宇都宮駅開発状況ですが、それらも含めて市の発展状況を昔と比較してみるのは面白い物です。
不動産業を行っていると、よく質問されることに
「この地域って、昔はどんな場所だったのですか?」
と、言うものがあります。
誰しもが、不動産を購入する時に大雨による川の氾濫や、地震が発生したときの地盤への影響が気になるところです。
そのような購入者からの要望に応える形として、2020年7月17日には不動産契約における重要事項説明に「水害ハザードマップ」に関しての事前説明が義務付けられました。
義務付けの背景には、近年、大規模水災害の頻発により甚大な被害が生じており、水害リスクに関する情報が契約締結の意思決定を行う上で重要な要素となったことによります。
ガイドラインによる具体的な説明方法については下記の通りとなっています。
1.水防法に基づき作成された水害(洪水・雨水出水・高潮)ハザードマップを提示し、対象物件の概ねの位置を示すこと
2.市町村が配布する印刷物又は市町村のホームページに掲載されているものを印刷したものであって、入手可能な最新のものを使うこと
3.ハザードマップ上に記載された避難所について、併せてその位置を示すことが望ましいこと
4.対象物件が浸水想定区域に該当しないことをもって、水害リスクがないと相手方が誤認することのないよう配慮すること
重要事項の説明においては、あくまでも水害に関する説明に留まっています。
ただし購入者から見れば、現在の地盤に影響を与える詳細な情報、つまり田んぼや沼地など過去の地目についても知りたいものです。
そこで先ほど解説した「この地域って、昔はどんな場所だったのですか?」という質問が出ることになります。
この過去の情報を調査するには、従来であれば土地付属台帳地図(明治初期に租税徴収のためのつくられた簡易的な土地測量図のこと)などを確認して調査する必要がありました。
不動産業者であれば調査は容易いですが、一般の方には多少なりともハードルの高い物でした。
そこで今回は、そんな調査を「簡単に・無料で」出来る、不動産業者でも知らない方が多いサイトを皆様にご紹介します。
ご紹介するのは埼玉大学教育学部 社会講座 人文地理学 谷謙治研究室が公開している時系列地形図閲覧サイトです。
「今昔マップ on the web」http://ktgis.net/kjmapw/index.html
こちらにアクセスすると、現在と過去の地図を同時に表示して確認することができます。
不動産購入を検討する場合にはもちろんですが、宇都宮市内の発展経緯を見るだけでも楽しいので、今回は使用方法も含めて詳しく解説いたします。
このシステムで使用される地図は、地理院地図、つまり日本で唯一の国家地図作成機関であり、国土交通省の特別機関である国土地理院の地図と連動しています。
つまり、それだけ信憑性の高い情報であると思って下さい。
システムでは、地理院地図の1916年・1935年・1950年・1995年・1975年の各年度を現在地図と同時に表示してくれます。
使用方法も単純で、画面右側に表示されている現代地図を見ながら、カーソルは左側の旧地理院地図に置き(左側地図に、両方の地図がリンクしています。
もちろん、右側だけ操作することも出来ますが、地図がリンクしていません)調査したい目的地を探すだけ。
表示する画面も1画面・2画面・4画面と選べ、年代の異なる地図を同時に表示して発展の状況や、知りたい情報を現在地図と同時に表示して確認することが出来ます。
それだけではありません。
比較的年度の新しい物に限られますが、上空写真や標高図・陰影起伏図・傾斜量図の他にも治水地形分類図なども表示することが出来ます。
つまり物件を購入検討する場合に予め知っておきたい、活断層図や人口密度・洪水浸水想定図に大規模盛土造成図などのハザードマップを重ねて表示して、検討することが出来ます。
画像は宇都宮駅周辺の地図ですが、このような表示です。
これがあれば、調査したい土地を2面または4面表示で、画面ごとに表示する内容を選択するだけで、確認することが出来ます。
地図の切り替えも簡単で、地図の右上にある表記指定を目的に応じて指定するだけです。
もっとも地図の精度が高く様々な情報を入手できるとはいえ、治水字形分類図や都市圏活断層図・陰影起伏図など専門性の高い地図から情報を読みとり検証するには、相応の知識が必要となります。
安易な判断をしてはいけません。
予備調査として利用するのはお勧めですが、詳細な読み取りや判断は、やはり不動産のプロに相談するのが一番です。
弊社では、不動産のプロとして様々な調査方法を駆使して、皆様に安心して購入戴ける安全な不動産を提供しています。
気になることやご質問がございましたら、お気軽にご相談下さい。
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