これから春を迎える2月~4月が、不動産の動きが活発化する時期となります!
コロナの影響により、首都圏を中心に繁華街における路線価の見直しが検討されているとの報道も見受けられましたが、そもそも路線価とは何かをご存じでしょうか?
今回は、査定価格に影響を与える公的価格について解説します。
公的価格には公表機関の目的に応じて下記の4種類が存在します。
- 公示価格
- 基準値標準価格(基準地価)
- 固定資産評価額
- 相続税評価額(路線価)
それぞれの価格決定機関(管轄機関)が、利用目的の違いにより価格を決定して公表しています。
不動産仲介業者が査定を行う場合には公表価格の調査をそれぞれに行い、査定の参考にしています。
つまり公示価格に代表される公的価格が、実勢価格にも影響を与えるということです。
公示価格が公的価格の代表格とされるのは、調査主体が国であり、国土交通省が土地鑑定委員会を組織して調査しているからです。
国は当然のことながら全国的な土地の実勢価格を掌握している必要があります。
不動産関連の管轄省は国土交通省ですので、国が地価公示法にもとづき、国土交通省に対し全国でおおよそ3万地点の標準地点を定め、調査する事を命じます。
実際には土地鑑定委員会が毎年1月1日時点における更地単位面積当たりの価格調査を地元の土地家屋調査士などの協力を得て調査します。
公示価格は毎年3月下旬に公表され、同一年度における公共事業の用地収用金額の目安とされています。また努力義務ではありますが、民間の土地取引においても指標にするように定められています。国が主体となり公表時期も早い事から、全ての公的価格の指標ともなる代表的な位置付けとなっているのです。
ただし公示価格が代表的指標であると言っても、そのまま全ての価格として通用する訳ではありません。
全国でおおよそ3万の標準地点は、一見、多い様に思えますが、地方も含めた全国的な更地が持つ価格指標とするには少なすぎることから更に詳細に地域ごとの土地価格指標を定める必要があります。
そこで各都道府県が公示価格を指標としながらも、さらに細分化した地点調査を行い価格決定したものが「基準地標準価格」です。
大枠を国が主体となり価格を定め、各地方自治体は、それを参考にしながら細かく掘り下げ価格を決定すると言うことです。
地方時自体が定める基準地価の評価は7月1時点であり、公表は毎年9月下旬とされています。
「固定資産評価額」は、国税庁の管轄となっています。土地や建物を所有していれば毎年、固定資産税が賦課されることは皆様ご存じのことと思いますが、その計算根拠となる価格が固定資産評価額です。
固定資産評価額は、それ以外にも土地家屋を購入した後に課税される「不動産取得税」や、登記費用のうち「登録免許税」についての計算根拠として用いられます。
「相続税評価額」は同じく国税庁の管轄ですが、固定資産評価額と目的が異なり相続税や贈与税の課税基準です。
「相続税評価額」は、国税庁が選出した標準地の道路に面した土地の価格を定めています。
道路に面する価格と言う事で、相続税評価額と呼ぶよりは「路線価」という名称が一般的に使用されています。
それぞれの違いとしては「公示価格」と「基準地価」は実勢価格に影響を与え、「固定資産評価額」と「相続税評価額」は課税面において影響すると言うことです。国が定めた公それでは土地査定において公示価格を実勢価格にそのまま当てはめればよいかと言えば、そう簡単な物ではありません。
確かに査定時の参考として公示価格は有効ではありますが、実勢価格との間には少なからず違いが生じるからです。
公示価格は全国でおおよそ3万の標準地点における価格であると先ほど書きましたが、総務省から公表されている「土地統計調査・住宅数概数指標の要約」を見ると全国で総住戸数だけでも6242万戸と言われています。
更地を合計すればそれ以上です。
その総数に対して3万の標準地点は、少なすぎます。
公示価格を実勢価格の参考にするとしたのは、この偏差により誤差が生じるからです。
あくまでも目安ではありますが、公示価格の70%が実勢価格に近いのが現状です。
土地や家屋はそれぞれ立地や環境などの諸条件により同一エリア内でも実勢価格が異なります。
土地に関して言えば間口や奥行き、方位や角地であるか否かなどにより同じ坪数でも査定金額が異なるからです。
不動産仲介業者が参考にする実勢価格は、レインズという不動産業者が利用するシステムの登録情報です。
このレインズ登録情報を参考にして近隣物件の販売状況や成約状況、それぞれの物件が持つ特徴(地形や間取り、大きさなど)や公示価格を参考にして査定額を定めます。
公の機関が、それら土地条件の優劣までを含めた市場の実勢価格をもとに用地収用するとしたら、その価格決定に対する労力は膨大となり、相場よりも高値の買取が発生するなど税金の無駄遣いにもなりかねません。
そこで、地価公示法により公示価格を定め土地収用などの指標としているのです。
公示価格の決定においては土地鑑定委員会からの委託を受けて、当該基準地点の近隣で活動している土地家屋調査士が評価を行う訳ですが、土地家屋調査士は調査報告書を作成するにあたって当該エリアで活動している仲介業者を訪問し、実勢価格の聞き取り調査を実施します。
つまり公示価格と実勢価格は相互に補完し合っている関係であるとも言えるのです。
仲介査定や買取を目的に業者を選択するにしても、前もって自分自身で実勢価格(取引価格)や公示価格が調べられれば、業者の提示額が適正かどうかの判断がしやすくなります。
また売買予定がなくても、現状における自己所有の不動産価格を知りたいと思う事も多いと思います。
ここでは取引価格や公示価格を調査する方法を解説します。
一般の方が自己所有の不動産実勢価格を知りたいと考えた場合には、査定依頼をするのが一番の近道です。ですが売却予定もないのに査定依頼を行うのはちょっと、と言う場合には近隣で販売されている物件から類推するという方法があります。
例えば弊社のホームページから物件検索をして戴き、査定物件に近いものを検索して戴くとことで、おおよそではありますが価格を類推する事ができます。
公示価格は国土交通省のホームページ【国土交通省地価公示・都道府県地価調査】から確認できます。
https://www.land.mlit.go.jp/landPrice/AriaServlet?MOD=0&TYP=0
使い方は簡単で上記のURLから調べたい地域を地図上からクリックし、詳細の条件をチエックするだけで検索する事ができます。
このシステムでは公示価格令和2年と言う最新版のほか、過去の公示価格も検索することができます。また、基準地価(都道府県地価調査)も併せて検索できます。
注意点として公示価格は㎡単価で価格表記されていることです。
不動産業界の慣例ですが、広告や査定書は坪単価で表記される事が多い事から、㎡単価×3.3=坪単価と覚えておくと良いでしょう。
国税庁では路線価図・評価倍率表を下記URLページで展開しています
https://www.rosenka.nta.go.jp/
こちらも公示価格とおなじように地図から路線価図を選び、エリアをチエックするだけとなっています。
また公的機関ではないのですが、一般社団法人資産評価システム研究センターが公開している「全国地価マップ」は、公的機関が公表している価格を、このサイトだけで閲覧できるようになっていますので大変便利なシステムです。
これまでご紹介した公的価格は、ある程度の土地価格指標となることから、私たちも査定において活用いたします。
ただし、最終的には、間口や奥行きなどその他の要素を総合的に勘案して査定額を算出します。
弊社では、無料で査定を行っているほかにも、お急ぎの方には積極的に買取のご案内もさせて戴いております。
どうぞお気軽にご相談下さいませ。
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