【売れない空き家の取引は増えるのか!?】仲介手数料の上限が緩和されることに!でも現実は!?

2017年8月9日水曜日

不動産ビジネスあれこれ 不動産売却

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国土交通省が、比較的価格の低い空き家の不動産取引について、仲介手数料の上限規制を緩和する方向で検討に入ったようです!!

空き家取引活性化へ仲介手数料の上限緩和 国交省が告示改正を検討(産経新聞)





実際、栃木県内でも田舎の物件は取引価格が安くて。。。
不動産屋として商売にならない物件も多い!

それだけ市場には格安の空き家が大量に供給されるようになっているのです。
しかし、残念ながら不動産業者が扱わないこともあってなかなか空き家が流通しない。

不動産屋も商売でやっている以上、赤字になる仕事はできない。
その結果、売主さん個人で販売活動せざる得ないケースも。(T_T)


これだけ情報通信が発達した時代だから、不動産屋がいなくてもインターネットを利用すれば、不動産売買なんて簡単にできそうだと考える方も多いようだが・・

現実はまったく逆で、不動産屋が関わらない物件はほとんど流通しない!


そもそも不動産は個人間での取引を行うには非常にハードルが高い。
不動産テックを志す起業家が出てきて革命を起こそうとしても。。
今後しばらくは仲介業者に依頼して不動産取引を行う現状のスタイルが続くでしょう。



国もなんとか空き家の流通を促進させたいと考えて今回の策を考えたのだろう。

そもそもは不動産屋が成功報酬として受け取ることのできる、仲介手数料が安すぎることに原因がある。

不動産屋が受け取ることのできる手数料の上限は以下のように決められている。

・200万円以下の物件 → 価格×5%(+消費税)

・200万円超から400万円以下の物件 → 価格×4%+2万円(+消費税)

・400万円超の物件 → 価格×3%+6万円(+消費税)

例えば、300万円の物件を売買する場合、仲介手数料の上限は300万円×4%+2万円+消費税=15万円1200円となる。消費税を合わせても、わずか15万円程度の手数料しか受け取ることができないのが現状だ。


一般の方からすると、15万円ももらえれば充分だろうと思う方もいらっしゃるだろうが、実際は赤字になる可能性が非常に高い!
それは、不動産屋の仕事が成功報酬のため、着手したすべての仕事がお金になるわけではないからだ。


この点はが税理士さんや司法書士さんなんかとの仕事の大きな違いになる。
他の士業の方は、仕事の依頼を受けて着手すれば必ず手数料を受け取れる。

しかし!
不動産屋は仕事の依頼を受けただけでは、お金にならない。
あくまでも成功報酬なので物件の取引が無事に完了しなければ1円にもならない。

というか、、むしろ赤字になる。
人を動かしたり、調査にいったり、広告を打ったりと膨大なコストかけて、取引が決まらなければ大赤字だ。

日々、依頼される仕事のなかで、取引に至らないケースは多々ある。
(売れない・他の業者にも依頼されていてそちらで決まる・売るのをやめる・買うのをやめる・などなど)


他の士業の方で不動産屋の手数料が高いと声高に叫んでる人がいたが、成功報酬の仕組みを理解していないのだろう。仕事のなかでどれだけ無駄が多いかを知ればむしろ安すすぎるを実感するはずだ。


それだけ、1つの物件の販売図面を作るだけでも、膨大なコストと労力が費やされている。さらに!広告を打つのにも非常にコストがかかるのです。
スーモなんかのポータルサイトに物件掲載するだけで1件あたり毎月1万円くらいの広告コストがかかる。
それが2つも3つものポータルサイトに載せれば3万円/月額くらいの広告コストが1つの物件でかかることになる。

これが、3ヶ月も続けばあっという間に広告宣伝費だけで10万円近い出費となる。
販売用資料の作成や契約書の作成費用・調査費用なんかも考えれば、300万円の物件で15万円くらいの手数料しかもらえないのではとても元が取れると思えない。

しかも、成功報酬だ!!!

これでは、仕事を受けたとしてもまともに物件を取り扱わない。
てか、まともに取り扱えない。


広告の掲載料が物件の価格に連動していればいいが、広告の掲載や、契約にいたる手間、契約書の作成に関する一連のコストは、価格に関係なく1物件あたりほぼ同じになる。

そうなったら、誰だって採算の取れる高額な物件だけを取り扱おうと考える。



実際、国土交通省は現在の状況について「遠隔地における老朽化した空き家の現地調査には通常より調査費用等がかかるにもかかわらず、物件価額が低いために成約しても報酬が伴わず赤字になるなど、媒介業務に要する費用の負担が宅地建物取引業者の重荷となって空き家等の仲介は避けられる傾向にある」と指摘している。

そのうえで「空き家の売却を望む所有者との関係において、一定の限度内で、宅地建物取引業者の負担の適正化を図るべき」との提言をまとめている。


そんな流れからの今回の報道だろう。

報道によると、国交省はこの上限額について規定している告示を改正する方向のようだ。
400万円以下の空き家取引を対象に、現地調査などの必要経費を売主との仲介手数料の上限に上乗せすることができるようになるという。

ただし、仲介手数料との合計で18万円以下になるようにするとの方針のようだ。

確かに、売買価格が100万円の物件のような場合、100万円×5%+消費税=5万4千円。現行制度では5万円4千円までの手数料しか受け取ることができない。
しかし、改正後には必要経費を合計18万円を限度に上乗せできるので、単純計算で仲介手数料が13万円くらいは増加することとなる。

一方、300万円の売買価格だった場合は、前述のとおり手数料上限は14万円(税抜)。上乗せできる上限額は18万円で変わらないので、4万円しか上乗せできない計算となる。


現実として、この改正内容ではほとんど効果はないだろう!

300万円くらいの物件を、交通費をかけて何度も案内することは多々あります。
1回で決まればいいですが、5回、10回かかることもザラです。
そうなると、近隣の不動産会社以外は採算が合わないと思って、空き家を扱わないことになる。

そして残念ながら、格安の空き家があるような場所の近隣には不動産屋がないケースがほとんど。


更に、放置された空き家ほど、瑕疵リスクが高く、取引後のクレームのことを考えると18万円が上限の手数料では扱いたくないと考える不動産屋も多い。


現実はそう甘くはありません。
今回の国の改正案では、不動産屋のモチベーションを向上させて、空き家の取引を活性化させることは難しいでしょう。


本当に空き家の流通を活性化させるには、不動産屋の力だけでは不十分です。
空き家の取引の活性化には『売主さん』の協力も不可欠となる。

今のままの状況では、空き家を放置したままにするケースも増えていくのは必然です。
そうならないためにも、
空き家所有者へ厳しい管理義務を課すことや、課税の強化、固定資産税の増税なども行っていくことが重要になる。


更に!
空き家問題があるのに、今だに大量の新築物件が供給されている矛盾があることも見逃せない。
いずれそれらの新築物件も空き家となるリスクを抱えている。

人口も世帯数も減少するのが確実ななか、新築建設へ偏重していた施策を中古市場の育成に切り替えることが不可欠だ。

中途半端な仲介手数用の上限緩和では、空き家問題を解決するのに限界がある。
空き家問題を解決するには、ドラスティックな開発規制や規制緩和が必要になるだろう。

★荻原功太朗の業務について★

私、荻原功太朗(宅建士・不動産コンサルティングマスター)は資産家の皆様を対象とした、投資物件の限定情報のご紹介、コンサルティング業務を担当致しております。不動産売買のご相談についても、ご指名頂ければ対応させて頂きます。
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