【地銀マネーの行き先は「都心5区」だった!金融庁が不動産融資の監視に乗り出す】宇都宮市は足利銀行の一時国有化を経験した街・・「蛇口」が閉まる前に売主が知っておきたいこととは!?

2026年10月23日金曜日

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 地方銀行の不動産融資がこの1年で約3兆円増え、統計をさかのぼれる2011年以来で最大の伸びになりました!

銀行全体の融資に占める不動産業向けの割合は18%と、バブル期の10%を大きく上回っています。そして、価格高騰が続く東京都心5区の不動産融資のうち6割が、首都圏の外に本店を置く銀行によるものだったことも明らかになりました。

昨年9月に「地銀の融資の5割超が地元以外へ流れている」とお伝えしましたが、今回はその続報です。

出て行ったお金が、どこで何をしていたのか。

そして金融庁が監視に乗り出した今、その蛇口が閉まる時に宇都宮市で何が起きるのか。

実は宇都宮市は、この問いの答えを一度、身をもって経験している街です。

記事リンク→地銀の不動産融資、最大の伸び 価格高騰の都心5区は6割が「越境融資」(日本経済新聞 )

目次

  • 1年前の「越境融資」の続報!地銀のお金は都心5区に集まっていた
  • 不動産への依存度はバブル期の2倍!「地元に貸せない」銀行はどこへ向かったのか
  • 1990年の総量規制、そして2003年の足利銀行・・宇都宮市が知っている「蛇口が閉まった後」
  • 蛇口が閉まっても、お金は宇都宮市に戻ってこない!なぜでしょうか
  • 「まだ大丈夫」の数字と「すでに動いている」数字を見分ける
  • まとめ

1年前の「越境融資」の続報!地銀のお金は都心5区に集まっていた

昨年9月、地方銀行の融資のうち5割以上が地元以外への「越境融資」になっているという日経の報道をもとに、地元で集めた預金が都市部へ流れ、二度と戻ってこない構造についてお伝えしました。

過去ログ→【地銀の融資方針変化が宇都宮市の不動産開発に与える深刻な影響!】地元資金の都市部流出で再開発はますます困難に!?

あの時点では、「地元以外」というところまでしか分かっていませんでした。

今回の記事で、その行き先がはっきりしました。

金融庁によると、東京都港区など都心5区での不動産業向け融資のうち、6割は首都圏外に本店を置く銀行によるものです。

2025年3月時点で、全国の地銀の不動産業向け融資のおよそ4分の1が、この都心5区に集中しています。

地方の預金者から集めたお金の4分の1が、港区や千代田区のオフィスビルやマンションに向かっていたということになります。

地元の企業を育てるはずの銀行や信用金庫が、数字の上では「不動産ファンド」に近い姿になっている。 

これが、1年前の記事の続きにあたる現実です。

不動産への依存度はバブル期の2倍!「地元に貸せない」銀行はどこへ向かったのか

日銀によると、国内銀行の不動産業向け貸出残高は2026年6月末時点で120兆7588億円。前年同月比で8.2%増えました。銀行融資全体664兆180億円の18%を占めています。

バブル期、つまり1980年代の終わりにこの比率は10%でした。

当時を「不動産に貸しすぎた時代」と記憶している方は多いはずです。その時代の、2倍近い水準に今あるのです。

なぜ、こうなったのでしょうか。

日経の記事はバブル期との違いを、人口減少に伴う地域経済の縮小だと指摘しています。地元の企業にお金を借りる需要がない。だから地銀は、資金需要が旺盛で新規参入もしやすい大都市圏の不動産業へ活路を見いだした、というわけです。

これは1年前の記事でお伝えしたことと同じ構造ですが、今回の記事で新たに分かったのは、その「活路」が不動産に偏っている理由です。

普通の会社にお金を貸すには、その会社の商売が将来も続くのかを見極める目と手間が要ります。一方で、東京のビルやマンションには、誰が見ても分かりやすい担保があります。

地元で貸出先を見つけられなくなった銀行にとって、東京の不動産は、手っ取り早く大きな金額を動かせる、数少ない選択肢だったのです。

ここで注意したいのは、この120兆円には、個人が貸家を建てる際に使うアパートローンも含まれているという点です。

宇都宮市の地主さんのもとに、相続対策としてアパート建築の提案が届く。その裏側にある融資も、この統計の中に入っています。

そして金融庁の地域金融機関へのヒアリングでは、不動産業向け融資の限度額、つまり「不動産にいくらまで貸すか」という上限すら決めていない銀行が一部にあったといいます。

「銀行が貸してくれるのだから、この計画は大丈夫なのだろう」と考えたくなる気持ちは分かります。

しかし、貸す側が上限を決めずに貸している時に、その融資が借り手の安全を保証してくれるわけではありません。

融資がつくかどうかと、その物件が将来も価値を保てるかどうかは、別の話です。

過去ログ→【長期金利3.1%、30年ぶりの高水準に!】宇都宮市のアパート、「利回り8%」ではもう買い手がつかない!?家賃は同じなのに売値だけが下がる理由とは

1990年の総量規制、そして2003年の足利銀行・・宇都宮市が知っている「蛇口が閉まった後」

今回の日経の記事で、私が最も注目したのは、1990年の「総量規制」に触れている部分です。

バブル期は過剰な融資が不動産価格を実態以上に押し上げました。当時の大蔵省は1990年に不動産融資の総量規制に踏み切り、これがバブル崩壊の引き金の一つとなりました。価格の急落は不良債権を膨らませ、金融危機へと発展していきます。

お金の蛇口が閉まった瞬間に、価格が崩れた。 これが、日本が一度経験した出来事です。

今回、金融庁は2026事務年度(2026年7月から2027年6月)の金融行政方針で、不動産業向け融資の動向を監視対象の一つに挙げました。総量規制のような強制力はありません。しかし、方向としては同じです。

では、その蛇口が閉まった後に地方で何が起きるのか。

宇都宮市に住む私たちは、その答えを全国で最もはっきりと知っている立場にあります。

足利銀行の一時国有化は、宇都宮市にとって「よその話」ではなかった

2003年、栃木県最大の地方銀行だった足利銀行は、中間期で債務超過に陥ったことを金融庁に申し出て、預金保険法に基づく特別危機管理銀行、いわゆる一時国有化となりました。

繰延税金資産1359億円を全額取り崩した結果、純資産はマイナス1023億円。

背景にあったのは、バブル期に膨らんだ不動産・建設業向けの融資が焦げ付き、不良債権の処理が長年にわたって経営を圧迫し続けたことでした。

預金は全額が守られ、窓口の営業は続きました。

しかし株主の価値は失われ、取引先には連鎖的な倒産が及びました。

再び民間の銀行に戻ったのは2008年7月で、2013年に再上場できるまでに回復しましたが長い道のりでした。

その後2016年に常陽銀行と経営統合し、現在のめぶきフィナンシャルグループになりました。

国有化から再民営化まで、4年半以上かかっており、再上場にはさらに10年もの歳月がかかりました。

その間、栃木県で何が起きていたか。

地元最大の銀行が国の管理下にあるということは、新しい貸出に極めて慎重にならざるを得ないということです。

事業を広げたい会社も、土地を買って建物を建てたい人も、まず「融資がつくのか」というところで止まりました。担保に入っていた不動産の処分も進みました。

宇都宮市の不動産市場にとって、2000年代前半は「買いたい人がいても、お金が出てこない」時代だったのです。

当時は、地方都市の中小不動産業者であるわたしのところにも、都心(銀座のビル)なんかの物件情報なんかが山程、都心のメガバンクから入手できた時代でした。

地元の宇都宮市内では、東宿郷のLRT沿線の大通りのビルが今の相場の半額以下は当たり前の価格でした。

それでも、売れなかった。。

というかお金が回らなないと誰も買えないのです。

バブル期に地銀が不動産に貸しすぎ、その蛇口が閉まった後に、地元の経済が長く苦しんだ。宇都宮市は、その一部始終を経験した街です。

だからこそ、「地銀の不動産依存度がバブル期の2倍」という今回の数字はこれから不動産相場にどのようなことをもたらすか、歴史から学べることは多いはずです。

蛇口が閉まっても、お金は宇都宮市に戻ってこない!なぜでしょうか

ここで、売主さんにとって最も大切な点をお伝えします。

「東京への融資が絞られれば、地銀は地元に貸すようになるのではないか」と考える方がいるかもしれません。

残念ながら、そうはなりません。

金融庁の監視は「東京への融資」ではなく、「不動産業向け融資」全体にかかります。

地銀が都心5区への融資を減らしたとしても、その分を宇都宮市のアパートや事業用物件に振り向ける理由はどこにもないのです。むしろ、不動産への貸出全体を抑える方向に働きます。

そして、1年前の記事でお伝えしたとおり、地銀が東京に貸したお金は、東京の企業の支払いを通じて全国に散り、地元の預金としては戻ってきません。

出て行ったお金は、戻ってくるのではなく、消えるのです。

もう一つ、宇都宮市にとって見逃せない影響があります。

東京で売って地方で買う、という買い手の存在です。

ご自身やご両親の家を東京で高く売り、その資金で宇都宮市に広い家を買う、あるいは実家を建て替える。ここ数年、そうしたお客様は確かにいらっしゃいました。

東京都心6区の中古マンションの平均希望売り出し価格は、2026年8月まで4カ月連続で下落しています。

首都圏が地盤のある信用金庫は、湾岸エリアのマンション関連の資金需要に陰りが見えると明かしています。

東京の価格が下がれば、「東京で売った資金」そのものが細ります。宇都宮市にとって数少ない現金に近い買い手が、静かに減っていくのです。

つまり、こういうことになります。

宇都宮市は、都心の価格高騰の恩恵はほとんど受けませんでした。

しかし、その調整局面の影響は受けます。

地銀マネーが都心5区を押し上げている間、宇都宮市の価格は上がりませんでした。

それなのに、蛇口が閉まる時には、地元の融資は締まり、大都市からの買い手は減る。

これを分かりやすく例えるなら、隣町の祭りで景気よくお金を使っていた人たちが、祭りが終わった途端に財布のひもを締めて、こちらの商店街でも買い物をしなくなるようなものです。祭りの売上はこちらには一円も入っていないのに、です😅

過去ログ→【日本の債券市場崩壊で「借金頼み大家さん」の退場が始まる!?】宇都宮市の不動産が「資産」から「負債」に変わる瞬間とは?

「まだ大丈夫」の数字と「すでに動いている」数字を見分ける

日経の記事には、安心材料も載っています。

不動産向け融資のデフォルト率は、2026年7月時点で0.39%。

全体の1.22%と比べて低い水準です。

日銀も4月の金融リポートで、リーマン・ショック前のミニバブル崩壊時並みに不動産価格が下落しても、金融機関の自己資本比率は全体として規制水準を上回ると評価しています。

金融当局も、不動産融資がすぐに金融システムを揺るがす問題になるとは見ていません。

確かに、今すぐ何かが起きるわけではないでしょう。

しかし、デフォルト率は「すでに起きたこと」を映す数字です。返済が滞ってから初めて数字に表れます。

一方で、記事の中には「これから起きること」を示す数字もいくつか埋め込まれています。

不動産業は2024年ごろまで全産業や製造業より突出して楽な状態が続いていました。

それが2026年に入り、全産業とほぼ同じ水準まで急速に落ちてきています。

不動産業だけが特別に恵まれていた時期が、終わりつつあるということです。

日本不動産研究所の直近の調査では、開発業者など142社のうち122社、つまり86%が「金利上昇」をリスク要因に挙げました。

そして先ほどの、都心6区の売り出し価格の4カ月連続下落です。

デフォルト率が上がるのは、これらの先行する数字が動いた後です。

私が現場で感じているのは、売主さんが普段目にする数字、例えば近隣の成約事例、路線価、固定資産税の評価額は、どれも過去を映した数字だということです。

1年前、2年前の取引をもとに決まっています。

「まだ大丈夫」という数字と、「すでに動き始めている」数字。

この二つを見分けられるかどうかで、売り時の判断は大きく変わります。

過去ログ→【都心マンションに"ワニの口"出現!売り出し価格と成約価格の乖離が急拡大中!】宇都宮市でも"売れない価格"で出し続けると致命傷に!?

まとめ

地銀の不動産融資は1年で3兆円増え、2011年以来で最大の伸びとなりました。

銀行全体の不動産依存度は18%で、バブル期の2倍近くです。

そして、地銀のお金の4分の1は東京都心5区に集まっていました。

1年前にお伝えした「地元からお金が出て行く」話の続きは、「出て行ったお金が東京の価格を支えていた」でした。

金融庁は監視に乗り出しました。

1990年の総量規制ほどの強制力はありませんが、蛇口を絞る方向であることに変わりはありません。

そして宇都宮市は、地銀が不動産に貸しすぎた末に蛇口が閉まった時、地元で何が起きるのかを、足利銀行の一時国有化という形で一度経験しています。

蛇口が閉まっても、お金は宇都宮市に戻ってきません。

地元の融資は締まり、東京で売って地方で買う買い手は減ります。都心高騰の恩恵は受けなかったのに、調整の影響だけは受ける。それが地方都市の立場です。

もっとも、これはすべての不動産が同じように影響を受けるという話ではありません。

限られた一部の好立地、JR宇都宮駅周辺やLRT沿線、手入れの行き届いた物件には、融資環境が変わっても買い手がつきます。

影響が出やすいのは、買い手が融資に頼らざるを得ない価格帯や立地の物件です。

ご自身の不動産が、「融資がつきやすい物件」なのか、「融資次第で買い手が消える物件」なのか。

デフォルト率がまだ低い今のうちに、一度冷静に眺めてみる価値はあるのではないでしょうか。蛇口が閉まってから慌てた2000年代前半の宇都宮市を、もう一度繰り返す必要はないのですから。


今回の内容が、皆さまのお役に立てば幸いです🙌

本記事は2026年10月19日時点の情報に基づいています

 

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★荻原功太朗の業務について★

株式会社サンプラン所属。資産家の皆様を対象とした、「増やすよりも、守る」を目的とした、宇都宮市内での不動産の売買・運営・管理・資産保全をサポート。他にも2つの法人の役員を兼務。不動産売買のご相談についても、ご指名頂ければ、できるかぎり対応させて頂きます。

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