【人手不足と資材高騰にプラスして新たな問題が!?再開発・インフラ整備の限界が迫る!】コンクリートの材料不足で宇都宮市のLRT西側延伸にも影響が!?

2025年4月1日火曜日

宇都宮市のLRTについて 宇都宮市の不動産と街の動向 不動産ビジネスあれこれ 不動産投資・大家さんネタ 不動産売却

t f B! P L

宇都宮市はLRT(ライトライン)の2030年に街の西側への延伸開業に向け、迂回路整備を柱とする道路再編については用意周到ですが、肝心要のライトラインは宇都宮市が作成したイメージ図などが物議を呼んでいます!

過去ログ→【宇都宮市の駅西大通りはLRT整備で1車線化へ!】中心市街地の大改革でマイカー依存からの脱却は進むのか!?

過去ログ→【2050年頃を想定、JR宇都宮駅西口の将来メージを公表!】再開発のハードルが上がるなか、実現可能性を考えてみたら・・!?

「歩かない、ぬれない、待たせないが公共交通では大原則。十分な設備をお願いします。」

ライトラインの運行会社、宇都宮ライトレールの中尾正俊常務が強く訴えています。

→宇都宮LRT 駅西口停留場、朝夕混雑時への備え必至 ライトライン、30年延伸開業へ加速②(日本経済新聞)

確かに、このイメージ図の計画では、ホームのスペースが狭く、天候の影響も大きく受け、朝夕のラッシュ時に駅前が乗客でごった返し、大混乱になるのが予想できます。

イメージ図のダメ出しで、実際の計画は大きく修正を余儀なくされそうですね😅

建設費抑制を狙い小さな停留場を造り、想定外の乗客増加で、途中で改修を迫られたら、高架上の工事だけに費用と難易度がさらに上がることになります。

そして、ここへきて、人手不足と建築資材高騰だけでない、新たな問題も明るみになってきており、LRTの西側延伸計画は大きな困難に直面しています。


宇都宮LRTの延伸計画に暗雲

宇都宮市が進めるLRT(ライトライン)西側延伸の2030年開業計画において、建築コストの増加は、計画推進の深刻な懸念となり始めています。

そこへ来て、さらに、その整備に必要なコンクリート資材が確保できるかが不透明となってきているのです!

全国的な建設資材不足、特に軽量コンクリートの原材料である軽量骨材の供給不足が、この計画にも影を落としかねない状況となっています。

宇都宮LRTの西側延伸計画では、JR宇都宮駅西口停留場がペデストリアンデッキを解体した上で2階部分に建設される予定です。

このような高架構造では一般的に構造物の軽量化が望ましく、同様の公共交通インフラ事業では軽量コンクリートが使用されるケースがあります。

現在のコンクリート資材不足を考えると、以下のような問題が生じる可能性があります。

  1. 構造設計の見直し必要性: 通常のコンクリートを使用した場合、構造物の自重が増加するため、支持部分や基礎の強化が必要になります。これは工期延長とコスト増加に直結します。
  2. 既存構造物との接続部分の課題: 駅西口の既存施設と接続する部分では、荷重計算の見直しが必要となり、追加的な補強工事が発生する可能性があります。
  3. 高架部の工期延長リスク: 建設資材の調達難により、工期の延長が避けられなくなる可能性があります。これにより予定されている2030年の開業時期が遅れるリスクが高まります。

こうした技術的課題が複合的に発生することで、宇都宮LRT西側延伸計画は当初の想定よりも大幅なコスト増と工期延長のリスクに直面しています。

特に、駅西口という市の玄関口での工事は市民生活にも影響を与えるため、建設資材の供給不足は単なる技術的問題を超えて、まちづくり全体の計画にも波及する可能性があるのです。


建設資材全体に波及する供給危機

日本の建設業界で直面している問題は、単に軽量骨材の不足だけではありません。

軽量骨材の供給逼迫は、コンクリート資材全体の需給バランスを崩す引き金となっています。

通常のコンクリートに使用される一般骨材(砂利・砂)も採掘規制の強化や環境問題により安定供給が難しくなっており、軽量骨材の不足はこの状況をさらに悪化させています。

軽量コンクリート用の資材が不足すると、高層ビル建設などの需要が通常コンクリート市場にシフトし、需給バランスを崩します。

その結果、生コンクリート全体の価格高騰と供給不足が更に生じてしまいます。

特に大都市の都市部では、再開発プロジェクトの集中により、建設資材全般の争奪戦が起きており、宇都宮のような地方都市のインフラ整備プロジェクトではコスト面で大都市に太刀打ちできず、今後、大きな影響を受けるのは避けられないでしょう。


生コンクリート業界の構造的危機

日本の生コンクリート業界は複合的な要因による深刻な供給危機に直面しています。

→都心の高層ビル建築に「砂利不足」の影 骨材価格が急騰(日本経済新聞)

この問題の直接的なきっかけは、軽量コンクリートの原料となる軽量骨材の供給不足です。

国内で唯一の生産会社となった日本メサライト工業(千葉県船橋市)は2024年7月に製造設備故障により数週間生産が停止し、再開後も「生産しても即出荷されてしまう状態」が続いています。

しかし、この問題はより根本的な構造変化に起因しています。

人工軽量骨材協会のデータによれば、全国の出荷量は2000年代初めの年間60万立方メートルから、近年では10万立方メートル強まで激減しました。

さらに2021年には頁岩(けつがん)の採掘コストや設備維持費の高騰により西日本の生産企業が撤退し、供給が1社に集中する脆弱な体制となりました。

この影響は軽量コンクリートだけにとどまらず、生コンクリート産業全体に波及しています。

→東京の生コン出荷、2月21%減少 軽量コン不足響く(日本経済新聞)

直近の状況を見ても、状況は悪化しており、東京地区の2025年2月の生コンクリート出荷量は前年同月比21.4%減の18万1797立方メートルと大幅に落ち込み、当初計画の25万立方メートルを27.3%も下回りました。

軽量骨材不足により需要が通常コンクリートに集中する一方で、型枠技術者の不足や2024年度からの建設現場の働き方改革による作業時間短縮も出荷減少に拍車をかけています。

特に懸念されるのは、受注残が340万立方メートルを超えて積み上がっていることです!

東京地区生コンクリート協同組合の発表では「都心の大規模再開発だけでなく、小規模マンションや個人住宅向けの出荷までもが滞っている」と指摘しており、建設業界全体がこの供給危機の影響を受けています。


高層ビルから公共インフラまで広がる影響

コンクリート資材の供給不足は、高層オフィスビル建設から公共インフラ整備まで幅広い建設プロジェクトに影響を及ぼしています。

高層ビルでは、軽量コンクリートが床や壁に使用されることで、建物全体の自重が軽減され、柱や基礎の負担が減ります。

これが実現できなくなると、設計変更や工期の延長、コスト増加が避けられません。

公共インフラでは、橋梁や高架道路、駅舎など多くの構造物でコンクリートが使用されます。

特に長大スパンの橋梁や高架では、構造物の軽量化が耐震性や施工性の向上に繋がるため、軽量コンクリートが選ばれるケースも多いのです。

これらの事業でもコンクリート調達の遅れが工期延長やコスト増加を招いています。

この影響は、東京都心部の再開発にもすでに発生し、三菱地所が発注し大成建設が施工している「大手町ゲートビルディング」(東京・千代田区)の工期延長など、既に具体的な形で表れています。

完成時期が2026年7月と当初より半年ほど遅れる見通しとなり、テナントへの通知も行われました。


都市開発とインフラ整備の新たな課題

建設資材の供給不足により、都市開発とインフラ整備の見直しが各地で始まっています。

東京では生コンメーカーが大手ゼネコンに「軽量コンクリート使用量削減」の設計変更を提案する異常事態となっています。

最も打撃を受けているのは地方都市です。

→市街地再開発、5割超が東京都 地方は採算確保難しく 岐路に立つ再開発(日本経済新聞)

大都市圏のプロジェクトが調達力と資金力で限られた資材を確保する中、宇都宮のような地方都市は不利な立場に置かれています。

昨年あたりから、地方での再開発プロジェクトの延期や規模縮小が相次いでいます。

さらに地方都市では、首都圏と異なり建設コスト増加が直接採算性を脅かします。

日経の調査によれば、地方の再開発事業見直し率は大都市圏より1.5倍高く、完全中止に至るケースも2倍以上です。

大分市や郡山市の再開発では規模縮小が決定され、民間デベロッパーの撤退により自治体主導で縮小継続するケースも増えています。

こうした状況は、「より大きく、より高く」という従来の開発常識の転換点となっています。

特に地方都市は限られた資源の中で都市機能の集約と再整備という、より困難な課題に直面しているのです。


今後の見通しと宇都宮LRTへの影響

コンクリート資材の需給逼迫が今後解消されるかは見通しにくい状況です。

日本メサライト工業は24年度、都内向けに当初予定より3割弱多い年間9万立方メートルの出荷を見込んでいますが、ビルの工期の遅れなどで発注の後ろ倒しが多発しており、「新規受注が供給量を上回り、在庫も確保しづらい状況」(同社)が続いています。

さらに、一般コンクリート用の骨材も良質な資源の枯渇や採掘規制により、調達が難しくなっています。

この状況は、宇都宮LRTの西側延伸計画にも無視できない影響を与えるでしょう。

宇都宮LRT西側延伸計画では、資材調達の困難さに対応するため、早期の資材確保、代替工法の採用、柔軟な工程管理、そして資材価格高騰を織り込んだ大幅な予算枠の見直しが必要になると予想されます。

しかし、建設資材不足の現状と今後の見通しを冷静に分析すると、当初目標の2030年開業は極めて困難と言わざるを得ません。

コンクリート関連資材の供給状況は好転の兆しがなく、地方都市の資材調達優先度の低さを考慮すると、少なくとも2〜3年の工期遅延は避けられないでしょう。

資材供給の不確実性は今後も続くと予想され、宇都宮市は市民に対して早い段階で現実的な計画見直しを検討する必要があります。

おわりに:資源制約時代のインフラ整備を考える

コンクリート資材の供給不足は、単なる一時的な問題ではなく、世界の建設業界全体が直面する構造的な課題です。

宇都宮LRTの西側延伸計画のような地方都市のインフラ整備にも影響を及ぼす事態となっており、国内の再開発やインフラ整備全般に大きな変革を迫っていると言えるでしょう。

コンクリート資材を提供する企業の採算確保が難しくなる中、従来型の建設・開発手法は見直しを余儀なくされています。

今後は、限られた建設資材と人材を効率的に使いながら、最大の効果を得られる「資源効率重視型」の開発手法への転換が不可欠になるでしょう。

→誰も引き受けてくれない 山口県で見えた再開発の新課題 岐路に立つ再開発(日本経済新聞)

宇都宮市のLRTのような公共交通インフラは、地域の持続可能な発展に不可欠なプロジェクトです。

しかし、その実現には建築コストの増加だけでなく、資源制約という新たな現実を踏まえた計画の見直しや工期の調整、予算増などを柔軟に行いながら進めていくことが求められます。

日本の建設・インフラ業界は今、量的拡大から質的向上へ、そして資源多消費型から資源効率型へと、パラダイムシフトを急速に迫られています。

しかし、資源効率型へ移行となると、再開発・インフラ整備は、人口が増えている大都市優先が鮮明となり、日経の特集記事のように、地方都市は厳しい状況に置かれます。

先日公表された公示地価でも、宇都宮市ではLRTが整備された駅東に地価上昇が集中し、街の「東高西低」が鮮明でしたが、LRTの西側延伸が計画通りに進まないとなれば、駅西の低迷は長期に続いてしまう可能性が高いです。

過去ログ→【2025年公示地価、宇都宮市では東高西低がつづくのか?】全国で極端な富の偏在が進む理由を深堀りしてみたら・・!

宇都宮市には、なんとしてでもLRTの西側延伸計画を実現してほしいところですが、現実もふまえ、そろそろLRTが西側延伸できなかった場合のプランBも考えておく時期に来ているのかもしれませんね😅



X(ツイッター)を始めました!

→速報配信中!フォローよろしくお願いします🙌

 

★荻原功太朗の業務について★

私、荻原功太朗(宅建士・不動産コンサルティングマスター)は資産家の皆様を対象とした、投資物件の限定情報のご紹介、コンサルティング業務をサンプランにて担当致しております。不動産売買のご相談についても、ご指名頂ければ対応させて頂きます。
【私個人へのコンサルティング依頼はすべて有料とさせて頂いております。】

宇都宮市の不動産売買はサンプランへお任せ!
栃木県内の不動産売買のことならお気軽にご相談下さい。
(無料相談はサンプランにて受付ております!)
詳細はこちらにお電話ください→【028-908-0880】
 
↓ 株式会社サンプラン ↓
↓ 不動産最新情報 ↓
 

 

このブログを検索

自己紹介

自分の写真
「宅地建物取引士・不動産コンサルティングマスター。豊富な専門知識と実務経験を活かした不動産アドバイザー。株式会社サンプラン部長。クライアント一人一人に最適な不動産運営、問題解決を提供いたします。」 X(Twitter)アカウントの紹介: 「不動産売買・相場の最新情報を発信しています。 フォローはこちら → @kotaro_sunplan」

人気の投稿

QooQ