東京都心の新築マンションは、値上がりが止まりません。
インフレの影響もあり、昨年度は大幅上昇となっております。
東京23区で去年1年間に発売された新築マンションの1戸あたりの平均価格は1億1483万円と、初めて1億円を超えました!
また、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で去年1年間に発売された新築マンションの1戸あたりの平均価格は8101万円で、一昨年より1813万円と28.8%も上昇し、3年連続で過去最高を更新しました。
首都圏の新築マンションはもはや高嶺の花となり、夫婦ペアローンでも購入は容易ではありません。
その一方で・・!
東京23区の2023年12月の新築戸建て住宅の平均希望売り出し価格は、1戸当たり6916万円と、前月に比べ4.9%も安くなりました!
→東京23区の新築戸建て4.9%安 23年12月、高額物件減少(日本経済新聞)
大手パワービルダーの在庫が急増した影響で、新築戸建ての価格調整は首都圏に限らず全国的に起こっています。
宇都宮市内も例外でなく、今現在、新築戸建の分譲価格が調整局面に入っております!
売れにくくなった新築戸建の理由とは?
都心で分譲戸建てが売れない理由を考えると、大きな原因の一つとして億円出して住みたいと思えるような高品質の建売が存在していないという事が大きいと思います。
戸建はマンションとは違い平面でなく立体的な設計に妙味があります。
分譲戸建てはコスト重視で、空間設計の考え方が出来ていないので、当たり障りのない、つまらない建売ばかりになっています。
都心で高額マイホームを購入する立場で見れば、高いお金を出してマイホームを買うのに、建売を見れば見るほどテンションが下がってしまうため、見栄えのするマンションを選ぶ層が多くなるのも値下がり要因だと思います。
一方、宇都宮市のような地方都市では、地場の中小企業に勤めているような方でも手頃な価格で土地と新築住宅が手に入るのが魅力だった分譲戸建てですが、昨今の建築資材高騰と人件費の高騰が販売価格にダイレクトに反映し、価格が高くなり過ぎたのが販売不振の大きな要因でしょう。
地方都市で新築分譲される戸建ての多くは街の郊外に位置し、地価はそれほど大きな上昇をしていませんから、仕入れ原価の中でも資材と人件費高騰が主な値上がりの要因となります。
諸物価のインフレにより実質賃金が低下し、生活が厳しくなるなか、販売価格だけが上昇し、購入できる価格の上限が限界に達したとみています。
宇都宮市のような地方都市では一部の人気エリアを除いて、地価は横ばい傾向で、不動産の資産価値は変化がないのに、物件価格だけが大幅に上昇しているので、無理なローンを組んでまで物件を購入するインセンティブが働きにくいのも大きいな要因の一つだと思います。
ターゲットユーザーのローン限度額を販売価格が超えてしまい、一気に販売不振となってしまいました。
そのため在庫は急増し、現在は在庫一掃のため、価格を値下げして販売するケースが増えています。
在庫調整中の新築戸建ては買い時か?
良くも悪くも分譲されている新築戸建ては、当たりさわりのない、きわめてプレーンなマイホームです。
特別おしゃでもなく、デザインも至って普通で、間取りも3LDK〜4LDKで子供1人〜3人くらいまでのファミリー向けとなっています。
ターゲットとしている顧客ゾーンの実質賃金が目減りし、購入上限を突破した今、購入できるレベルまでは価格が調整されつつあります。
価格が調整されるということは、物件を供給しているパワービルダーは利益度外視で在庫をさばいている状況でもあります!
現状は、ウクライナの紛争だけでなく、紛争が中東でも活発化している状況から、今後ますますインフレが進行するのは間違いないでしょう。
それにプラスして、建築業界の人手不足も深刻さを増しています。
→「大工」不足が深刻、9割減で家が建てられない…ベテランも年収300万円台(ビジネスジャーナル)
建築関連の職人のなかでも、とくに大工さんの減少は深刻です!
1980年の90万人超をピークに減り続け、現在は30万人を割り、ピーク時の3分の1となっています。
このままいけば、2035年には現在の3分の1になり、ピークだった1980年のわずか1割ということになり、9割減という凄まじい減少になります。
当然ですが、建築における人件費上昇は今後も続くことは避けられません。
そう考えると、供給サイドのコスト削減は限界まで達しているので、今後も大幅な販売価格の下落が起こることは考えにくいです。
長期的に販売価格が下る余地は地価しかなく、その地価もそれほど大きく下落することは考えにくいことから、供給サイドのパワービルダーが採算度外視で在庫調整している今は、新築戸建の買い時であるのは間違いないでしょう。
新築戸建の分譲のトレンドは分岐点に!
今までは、当たりさわりのない、プレーンな住宅を格安販売するのに特化し、マーケットを開拓してきたパワービルダーですが、ここへきて大きな分岐点に差し掛かっていると思います。
もはや都心だけでなく、地方でも、サラリーマンが新築物件を購入するのは高嶺の花になりつつあります。
昨今の物価高騰の大きな要因は日銀の金融政策になります。
現状のゼロ金利、金融緩和政策の継続では、物価はどんどん上昇していってしまいます。
円安は進行し、輸入中心の建材価格はますます値上がりし、物件を供給するパワービルダーの収益を圧迫します。
結果的に、皆が買えるような価格まで値下げすることはできず、一部の富裕層以外は新築物件に手が出ない状況になりつつあります。
庶民の生活がどんどん困窮していく様子からは、完全に金融政策の失敗がうかがえます。
しかし、今の在庫調整が終わった後でも、パワービルダーは物件を供給し続けなければ会社が存続できません。
再び在庫過多にならないように、今までと同じような仕様での物件供給を行っていくことは考えにくいです。
そのため宇都宮市のような地方都市では、更に物件の土地と建物のを小さくし、価格を抑えるか、特定のニッチ(単身者や子供のいないDINKS夫婦)層向けの物件の開発などが考えられます。
食品と同じで、価格据え置きで内容量を気付かないように減らすのと同じ手法を使うと思われます。
結果的に、ダウングレードした建物を提供され、それで満足せざる得ないでしょう。
新築へのこだわりから脱却!
日本人は新築大好きな国民性です。
というか、あまりにも住宅寿命が短く、木造は法定耐用年数がわずか22年と定められています。
だから、中古住宅は20年も経てば価値がゼロに近づき、土地の価格しか評価されません。
それが、新築好きの一因でもあります。
しかし、いくら法定耐用年数が22年とはいえ、まだまだ十分に使える高寿命住宅もたくさんあります。
今後は、人手不足の問題もより深刻になってきますから、既存建物の有効利用がますます注目されていくのは必然です。
パワービルダーは成長の限界を迎え、マイホーム購入者が中古物件を取得する割合はますます増えていくとみられます。
コスパを考えれば、中古物件が圧倒的にお買い得です!
ただ、リフォームしければいけない箇所が多かったりすると、別でローンを組む必要があったり面倒なので、築浅もしくは管理のしっかり行き届いたリフォーム済みの物件を狙うのオススメです。
それでも『どうしても新築がいい!』と思っている方も多いでしょうから、そういった皆さんには、パワービルダーが採算度外視でセールかけている今は絶好の買い場であると個人的にはみています。
また今後しばらくは、実質賃金が物価の高騰に追いつくとは考えにくいので、無理のない返済計画を組むことが重要な局面です。
それと、近い将来インフレ率に耐えられなくなり、日銀が金融政策を転換し、金利を上げ始める可能性が高いことから、変動金利で住宅ローンを組むリスクも考慮すべきでしょう。
いずれにしても、日銀が金融緩和政策をやめて、物価の上昇率以上に金利を上げる正常化が行われなければ、インフレが加速してしまうのは当然の帰結です。
マイホーム購入の時期はタイミングで、多くの方が子供が生まれたり、入学の時期に合わせて等の家族事情がほとんどでしょう。
一生に一度の大きな買い物となるマイホーム購入はタイミングがすべてで、人生を左右しかねない側面も持っています。
長期のローンとの付き合いもセットになるでしょうから、現状では日銀の政策が大きく変わるかもしれないことを視野に入れておくべき重要なタイミングとなります。
特に、金融政策の転換で変動金利ローンは大きな影響を受けますから、目先の支払い額だけ注視せずに、慎重に判断して入れてマイホームを計画することが賢明でしょう。
→速報&おすすめ不動産情報を配信中!フォローよろしくお願いします🙌
★荻原功太朗の業務について★
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。