建設業の倒産が昨年、2025年に2021件と12年ぶりに2000件を超えました!
仕事はあるのに、受ければ受けるほど赤字が膨らんで潰れる・・
そんな異常事態が全国で常態化しています。
ところが、同じ建設コスト高騰の中で、東京23区ではホテル113棟の建設ラッシュが進行中。
矛盾するように東京23区では新築マンション供給は過去50年で最低水準に落ち込んでいます。
なぜ東京のホテルだけが「別世界」のように建て続けられるのか?
この歪んだ構造が、宇都宮市の不動産マーケットに何をもたらすのか。
すでに始まっている構造的な大変化を、現場の実感を交えて、お伝えします。
目次
- 建設業倒産2000件超、「仕事があるのに潰れる」という異常事態
- 地方の建設会社が消えていく一方で、東京ではホテルの建設ラッシュという矛盾
- 新築マンション「氷河期」到来:過去50年で最低の供給水準に
- 宇都宮市の再開発・LRT延伸への深刻な影響
- 宇都宮市で不動産を持つ方が今考えるべきこと
- まとめ
建設業倒産2000件超、「仕事があるのに潰れる」という異常事態
2025年に発生した建設業の倒産は前年比6.9%増の2021件。
2000年以降では初となる4年連続の増加で、2013年以来12年ぶりに2000件を超えました。
しかし、驚くべきはその中身です。
倒産した建設業者の多くは、近年売り上げを伸ばしていました。
受注は十分にある。仕事は入ってくる。
なのに、潰れるのです。
なぜでしょうか。
答えはシンプルです。
人件費と資材価格の高騰が、売上の伸びをはるかに上回るスピードで進行しているからです。
このブログでも以前からお伝えしてきた「受ければ受けるほど赤字が膨らんで倒産する」という構造が、ついに年間2000件超という数字で裏付けられました。
過去ログ→【全国で公共工事のストップが続出!都心マンションバブルでも供給減!】つくれない時代が宇都宮市の不動産に与える影響とは?
特に深刻なのは、地方の中小・零細業者です。
負債5000万円未満の倒産が全体の57.7%を占め、まさに町の工務店や中小建設会社が次々と消えていっている状況です。
全国的に苦戦が聞かれるのが木造建築工事業、いわゆるハウスメーカー・工務店で、住宅価格の上昇で戸建ての着工が減少しているうえに、2025年4月からの法改正で工期が延び、資金繰りが悪化するケースが多発しています。
また、とび工事業やはつり・解体工事業など、労働集約型の業種では人手不足の影響がもろに直撃し、倒産件数がリーマン・ショック期を上回って2000年以降で最多を記録しています。
私が現場で感じているのは、この「建設業者の消滅」が、地方の不動産マーケットに想像以上のインパクトを与え始めているということです。
地方の建設会社が消えていく一方で、東京ではホテルの建設ラッシュという矛盾
では、地方の建設業者が次々と倒産する中で、東京都心部では何が起きているのでしょうか。
日経新聞によると、東京23区で2026年に完成予定の新築ホテルはなんと113棟。
コロナ後最多で、しかも1棟あたりの規模は2020年のピーク時と比べて2倍に拡大しています。
記事リンク→東京23区のホテル新設、コロナ後最多 建築コスト高騰も投資相次ぐ(日本経済新聞)
「え、同じ建設コスト高騰の中なのに、なぜ東京だけホテルが建てられるの?」
そう思いますよね。これを分かりやすく説明します。
ホテルは宿泊料金を自由に設定できます。2025年の訪日客数は約4270万人と過去最多を更新し、円安も追い風。
東京のホテルは1泊5万円、10万円という料金設定でも外国人旅行者が喜んで泊まってくれます。
つまり、ホテルであれば建設コストがどれだけ上がっても、宿泊料金に転嫁できれば採算が取れるのです。
一方、地方の公共工事や住宅建設はどうでしょうか。
公共工事は予算が厳格に決められており、資材が値上がりしても追加予算はなかなかつきません。
住宅も購入者の年収に上限がありますから、建設費が上がったからといって無限に価格を上げるわけにはいかないのです。
つまり、同じ「建設コスト高騰」という環境にいながら、価格転嫁できる東京の大型案件は建てられる。
価格転嫁できない地方の案件は建てられない。
この構造的な格差が、今まさに拡大しています。
ここからが、私たち栃木県に住む者にとって深刻な問題です。
国土交通省のデータでは、建設業就労者の4割近くが55歳以上で、29歳以下はわずか1割程度。職人の数は限られているのに、東京では113棟のホテル、さらに数え切れない再開発プロジェクトが同時進行しています。
建設会社の立場で考えてみてください。
東京のホテル案件なら確実に利益が出る。
一方、地方の工務店の下請けや公共工事は、採算割れのリスクが高い。
どちらを選ぶかは明白です。
結果、栃木県を含む地方では何が起きるのか。
腕の良い職人ほど、日当の高い東京のような大都市の現場に流れていきます。
建設資材も、大量発注する東京の大手ゼネコンが優先的に確保し、地方の中小業者には回ってこない。
以前のブログでもお伝えした「選別受注」がさらに加速し、地方の建設現場はますます人も資材も手に入りにくくなっているのです。
過去ログ→【衝撃!建設業界が深刻な機能不全状態に!?】15兆円の工事が完了できない事態で、宇都宮の住宅市場にも大きな変化が!
東京がまるで「ブラックホール」のように建設リソースを吸い込み、地方がその分だけ空洞化していく。
これが今、この国の建設業界で起きている構造的な現実です。
新築マンション「氷河期」到来:過去50年で最低の供給水準に
この建設リソースの東京一極集中は、もう一つの深刻な現象を引き起こしています。
記事リンク→新築マンション「氷河期」時代に 26年の供給数は過去50年で最低水準(日本経済新聞)
首都圏の新築マンション供給戸数は2026年に2万3000戸と、過去50年で最低水準になる見通しです。
過去50年で最低ですよ・・
バブル崩壊後でも、リーマン・ショック後でも、ここまで落ち込んだことはありませんでした。
では、東京のホテルは建てられるのに、なぜマンションは建てられないのでしょうか?
答えは明快です。
ホテルは宿泊料金に建設コストを転嫁できるが、マンションは購入者の支払い能力に上限があるからです。
マンション開発大手の幹部が「採算が取れるギリギリの高値を提示しても(用地を)買えない」と嘆いているように、もはやマンション用地の取得段階で、ホテルやオフィスとの競合に負けてしまう状況です。
結果、東京23区では新築マンションの平均価格が1億2420万円(2025年11月時点)に達し、中古マンションですら70㎡で1億1485万円と、中古でも「億ション」が当たり前になりつつあります。
共働きの高所得世帯、いわゆる「パワーカップル」ですら予算オーバーで新築マンションの購入を断念する時代。
まさに「新築氷河期」です。
新築が供給できないなら、消費者は中古に流れるしかありません。
記事リンク→東京都心マンション「もう築古しか買えない」 老朽物件に関心集中(日本経済新聞)
実際、首都圏の中古マンション成約件数は前年同月比38%増と急伸しています。
この中古シフトの波は、やがて地方都市にも確実に押し寄せてきます。
宇都宮市の再開発・LRT延伸への深刻な影響
さて、ここからが本題です。
建設業の倒産2000件超、東京のホテル建設ラッシュ、新築マンション氷河期。
この3つの現象は、すべて一本の線でつながっています。
そして、その影響が宇都宮市の不動産マーケットにどう波及するのか。
私が現場で感じていることをお伝えします。
LRT西側延伸は延期した計画よりさらに遠のく可能性
このブログではLRT開業フィーバー熱狂中の2024年から一貫してLRT西側延伸が困難になりそうだと、お伝えしてきました。
個人的には、計画通り街の東西を結ぶ公共交通ネットワークとして、西側延伸を開通を夢見る者の一人ですが、目の前に現実から目をそらすことは危険です。
LRT西側延伸計画は当初の「2030年開業」から「2036年開業」へ延期され、事業費も約400億円から約700億円(税込約770億円)へ膨張しています。
これが現実です。
過去ログ→【宇都宮市のLRT西側延伸、2036年に開業延期で事実上の計画凍結か!?】知事も弱気の発言で先行きの見通しはどうなる!?
今回発表された建設業倒産データを見ると、状況はさらに厳しくなっていると言わざるを得ません。
帝国データバンクのデータでは、建設会社の社長の平均年齢は60.3歳。
「経営者の病気・死亡」を主因とした倒産は2025年で78件と過去最多を更新しています。
つまり、今後も建設会社の数は減り続ける見通しが濃厚です。
LRTの軌道工事のような高度な専門技術を要する工事を請け負える業者は限られています。
その少数の専門業者は、東京の再開発やインバウンド関連の高収益案件を優先するのが合理的な経営判断です。
いくら700億円の予算があっても、工事を引き受けてくれる業者がいなければ、計画は実現しません。
過去ログ→【県立病院の建て替え困難で、宇都宮市でも医療崩壊が進行中!?】「計画はあっても建てられない」時代に、不動産マーケットにも大きな変化が?
これは、以前からお伝えしている県病院の建て替えや、全国の入札不調と全く同じ構図です。
JR宇都宮駅東口ハイブランドホテルの頓挫が示す現実
宇都宮駅東口のハイブランドホテル計画が事実上の凍結状態にあることは、以前のブログでも詳しくお伝えしました。
過去ログ→【監査で暴露されたJR宇都宮駅東口ハイブランドホテル計画の舞台裏!】建設費高騰で事実上の計画凍結か?
ここで皮肉な対比が浮かび上がります。
東京23区ではホテル113棟が建設ラッシュ。
台東区だけで42棟、ヒルトン最高級ブランドの「ウォルドーフ・アストリア」が日本橋に初上陸する。
一方、宇都宮駅東口では、LRTが大成功を収め、累計利用者1000万人を突破しているにもかかわらず、駅前一等地のホテル用地が3年以上も手つかずのまま放置されている。
この差は何でしょうか。
結局のところ、建設会社は利益が最大化できる場所に集中するのです。
東京のインバウンド需要は確実に利益が見込める一方、地方都市のホテルは、いくら立地が良くても、東京ほどの収益性は期待できません。
建設リソースが有限である以上、「東京に吸い上げられる」構造は今後ますます強まるでしょう。
宇都宮市で新築住宅がさらに「高嶺の花」に
首都圏で新築マンション供給が過去50年で最低水準に落ち込む影響は、当然ながら宇都宮市にも波及します。
全国的に木造建築工事業(ハウスメーカー・工務店)の倒産が急増していることは、宇都宮市で家を建てようとしている方にとって他人事ではありません。
実際に、私のところにも「想定より工期が大幅に長くなった」「予算内で建ててくれる会社がなかなか見つからない」というご相談が増えています。
以前のブログでもお伝えしましたが、5年間で建設費は全体的に3〜4割上昇しており、2019年に2500万円で建てられた住宅が今では3500万円近くかかるのが珍しくない状況です。
過去ログ→【栃木県の新築マンション年収倍率が12倍超に急騰!】中古需要は増加、しかし恩恵を受けるのは一部エリアだけ!
さらに今後は、工務店の淘汰が進むことで、宇都宮市内で住宅建設を請け負える業者そのものが減少していく懸念があります。
建てたくても「建ててくれる会社がない」という時代が、じわじわと現実になりつつあるのです。
宇都宮市で不動産を持つ方が今考えるべきこと
ここまでお読みいただいて、「では、どうすればいいのか」と思われた方も多いのではないでしょうか。
この構造的な変化を踏まえて、私が現場から感じていることをいくつかお伝えします。
まず、新築が供給困難になるということは、質の良い中古物件の価値が相対的に高まるということです。
首都圏では既に中古マンションの成約件数が前年比38%増と急伸しており、政府も中古シフトを住宅ローン減税の拡充で後押ししています。
この流れは遅かれ早かれ宇都宮市にも確実にやってきます。
ただし、すべての中古物件の価値が上がるわけではありません。
全国各地で不動産の三極化が進む傾向が一層強まるでしょう。
LRT東側沿線やJR宇都宮駅徒歩圏内など、交通利便性の高いエリアの物件は希少性が増し、価値の維持・上昇が期待できます。
一方で、郊外の交通利便性に劣るエリアは、新築が建てられないとはいえ人口減少・世帯数減少の影響が勝り、価値の低下が避けられないでしょう。
もっとも、建設リソースの枯渇は、リフォームや修繕にも影響します。
以前お伝えした火災保険の3倍高騰に加え、修繕工事の費用と工期も確実に上昇しています。
過去ログ→【宇都宮市で火災保険が3倍に急騰!しかし・・家賃は上がらない!?】相続で受け継いだ築古アパート・マンション、同時に押し寄せる5つのコスト増と売れないリスクとは!?
築古の賃貸物件をお持ちのオーナーさんにとって、「修繕したくても業者が見つからない・費用が高すぎる」という問題は、今後さらに深刻化するはずです。
投資家にとって今は大きな分岐点であり、高いリスクを承知の上で長期間このまま物件を保有するのか、もしくは出口があるうちに逃げるか、早急に検討が必要な段階だと見ています。
出口戦略の検討は、早ければ早いほど選択肢が広がります。
まとめ
建設業倒産2000件超、東京のホテル113棟建設ラッシュ、新築マンション供給の過去50年最低水準。
一見、矛盾だらけでバラバラに見えるこれらのニュースは、実はすべて同じ根っこからつながっています。
限られた建設リソースが、利益率の高い東京の大型案件に集中し、地方の建設業者は淘汰され、新築住宅やインフラ整備はますます困難になる。
この構造は、短期間で解消される見込みはありません。
建設業就労者の高齢化は不可逆であり、若手の参入も極めて限定的です。
宇都宮市にとって、LRT西側延伸の2036年開業すら楽観できない状況であり、JR宇都宮駅東口のホテル計画も先行きが見通せません。
県内の公示地価トップである、東口駅前のホテル再開発計画が未達の段階で、LRT西側延伸が実現するとは思えません。
新築住宅の取得も今後ますます困難になるでしょう。
しかし、これは必ずしも悲観一色の話ではないと、私は考えています。
新築供給が制約されることで、質の良い中古物件の価値は確実に見直される時代が来ます。
立地の良い既存物件を適切にメンテナンスし、価値を最大化する戦略が、これからの宇都宮市の不動産においては極めて重要になるでしょう。
時代の大きな変化を正確に把握し、現実に即した判断をしていくことこそが、大切な資産を守る第一歩ではないでしょうか。
今回の内容が、皆さまのお役に立てば幸いです🙌
本記事は2026年2月15日時点の情報に基づいています
★荻原功太朗の業務について★




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