【宇都宮市の実家が空き家になったら売却すべき?】相続まで持つのは正解か?地方都市の厳しい現実とは!

2025年9月28日日曜日

宇都宮市でマイホームを 宇都宮市の賃貸ネタ 宇都宮市の不動産と街の動向 不動産ビジネスあれこれ 不動産売却

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自分の両親が高齢になり、介護施設に入居し、宇都宮市内の実家が空き家になってしまった。

このような相談をいただくことが最近非常に増えています。

多くの方が「売却して現金化すべきか」「相続まで親名義で保有し続けるか」「生前に名義を移すべきか」と悩まれています。

宇都宮市とその周辺で不動産取引に20年以上携わってきた立場から、地方都市ならではの深刻な事情も踏まえて、今回は、実家をどうすべきかの現実的なアドバイスをお伝えしたいと思います。

宇都宮市で深刻化する実家空き家問題

宇都宮市が公表している住生活マスタープランの最新データによると、宇都宮市内の空き家数は平成20年から平成30年の10年間で31,940戸から44,410戸へと大幅に増加しています。

このうち賃貸用住宅が30,610戸と全体の68.9%を占めていますが、問題となるのは管理不全状態や危険な状態にある空き家の増加です。

実際に宇都宮市が令和3年3月に実施した戸建て空き家実態調査では、5,587戸の空き家が確認されており、そのうち目立った腐朽破損のない空き家が4,660戸、管理不全状態の空き家が848戸、崩落のおそれがあり危険な状態にある空き家が79戸となっています。

注意すべきことは、このデータは5年ほど前に公表されているレポートなので、現在の状況は、さらに悪化していることです。

特に深刻なのは地域格差です。

街の中心部では空き家が多くあるのに人口がほぼ横ばいで推移している一方、郊外部では空き家の数そのものは少ないのに需要が乏しく、人口減少率が大きく上昇していることです。

市の住生活マスタープランでは、単身高齢者世帯が平成2年から令和2年まで継続的に増加し、22,505世帯に達しており、介護施設への入居などで、今後さらなる空き家の増加が予想されています。

実家が空き家になると、固定資産税や維持費が継続的にかかり続けます。

さらに、築年数が経過している家屋では、雨漏りや設備の故障といった突発的な修繕費も発生します。

また、宇都宮市内でも空き家の防犯面でのリスクは深刻です。

適切な管理がされていない空き家は、不法侵入や火災のリスクが高くなり、近隣住民とのトラブルの原因にもなりかねません。

このような状況下で、多くの方が「どのように対処すべきか」と悩まれるのは当然のことです。

それぞれの選択肢について、宇都宮市の実情を踏まえた現実的な分析をお伝えします。

選択肢1:売却して現金化する場合

最もわかりやすい選択肢が「売却して現金化する」ことです。

宇都宮市内の不動産売却では、マイホームの3000万円特別控除が使える可能性があります。

これは売却時の譲渡益から最大3000万円まで控除できる強力な税制優遇措置です。

親御さんが実際に住んでいた家であれば、一定の条件を満たせば適用対象となります。

現金化のメリットは何と言っても、管理の負担から完全に解放されることです。

固定資産税、光熱費、修繕費、草刈りなどの維持管理費用がすべてなくなります。

宇都宮市内でも郊外の住宅地では、庭の管理だけでも年間相当な費用がかかることが多く、この負担から解放されるメリットは決して小さくありません。

得られた資金は親御さんの介護費用に充当できます。また、現金という分割しやすい形に変わるため、将来の相続時にも兄弟間でのトラブルを避けやすくなります。

ただし、宇都宮市内での売却には地方都市ならではの課題もあります。

立地によっては想定より価格が低くなったり、売却期間が長期化したりする可能性があります。

特に、LRT沿線以外の郊外エリアや、駅から距離のある住宅地では、需要が限定的になりがちです。

選択肢2:生前に相続人へ名義を移す場合

贈与や親子間売買によって、生前に所有権を移転する方法もあります。

メリットとしては、将来の相続手続きを簡略化できることや、相続人が早い段階から受け継いだ家をどう活用するか判断できることが挙げられます。

特に、宇都宮市内でも立地の良い物件であれば、早期に活用方法を検討することで、より有効な利用が可能になる場合があります。

しかし、税制面でのデメリットが深刻です。

相続であれば「小規模宅地等の特例」により、330平方メートルまでの土地の評価額を最大80%減額できますが、贈与の場合にはこの特例は使えません。

さらに、宇都宮市内でも地価が上昇しているエリアでは、贈与税の負担が予想以上に大きくなる可能性があります。

また、登録免許税や不動産取得税も別途負担する必要があります。

特に注意すべきは、贈与から7年以内に親御さんが亡くなった場合、その財産は「持ち戻し」として相続税の対象に含まれてしまうことです。

節税を目的とした名義変更が、かえって税務上の不利益を招くこともあるため、十分な検討が必要です。

選択肢3:相続まで親名義のまま保有する場合

親御さんが亡くなって相続が発生するまで、そのまま親名義で保有し続ける選択肢もあります。

税務上のメリットは大きいです。

生前に名義変更する場合と比べると、贈与税や譲渡所得税を支払う必要がありません。

相続時には「小規模宅地等の特例」により土地の評価額を大幅に下げられる可能性があります。

また、相続した空き家を売却する際には、一定の条件を満たせば譲渡所得から最大3000万円が控除される「相続空き家の特例」も利用できる場合があります。

しかし、宇都宮市内でも空き家の管理は決して容易ではありません。

定期的な換気、清掃、草刈り、雪かきなど、維持管理には継続的な手間と費用がかかります。

特に冬期間の凍結防止対策や、夏場の雑草管理は想像以上に大変です。

さらに深刻なのは、相続時の「争族」リスクです。

宇都宮市内でも不動産の分割をめぐって家族間でトラブルになるケースが少なくありません。

相続人が複数いる場合、「売るか残すか」で意見が対立することが多く、問題が長期化する傾向があります。

宇都宮市特有の地域格差と立地判断

住生活マスタープランによると、宇都宮市内でも地域によって大きな格差が生まれています。

人口動向による地域格差 市内16地区の人口増減率を見ると、中心部では微減となっている一方で、周辺部の地区によっては大幅な人口増加を続けているエリアもあります。

老年人口割合は市の中心部も含め、市域全体で増加傾向となっており、平均世帯人員は中心部よりも周辺部で高い傾向となっています。

これは、宇都宮市が都市機能を中心部に集約する「コンパクトシティ構想」を進めていることの現れです。

特に注目すべきは、人口集中地区の人口密度変化です。

昭和45年から過去45年間で、人口集中地区の面積はと約2.7倍に拡大した一方で、人口密度はなんと、約2割も減少しています。

これは宇都宮市の街が無秩序に拡散してしまい、スポンジ化が進んでいることを示しており、郊外の空き家問題とも密接に関連しています。

まず、LRT効果による地域格差の拡大です。

JR宇都宮駅徒歩圏とLRT東側沿線では地価上昇が続いていますが、一方で沿線から離れたエリアでは需要が低迷が目立ち始めています。

実家の立地がどちらに該当するかで、将来の資産価値予測が大きく変わります。

駅西側については、LRT西側延伸が延期となり、実現が不透明な状況で、長期的な発展期待が大きく後退しています。

東武宇都宮百貨店の先行きも不透明で、駅西側エリア全体の将来性には慎重な見方が必要です。

一方、駅東側やLRT沿線エリアでは、脱マイカーライフスタイルの定着により、利便性の高い立地への需要は堅調です。

このようなエリアの物件であれば、売却・保有いずれの選択でも比較的安心感があります。

交通利便性による格差拡大も進んでいます。

最寄りの駅までの距離が500m未満に住む世帯はわずか12%で、最寄りのバス停から500m未満でも50%にとどまります。

つまり、宇都宮市民の半数以上が公共交通から遠い場所に住んでおり、LRT開業によりこの交通利便性の格差がさらに拡大しています。

少子高齢化が進む中で、公共交通の利便性や周辺の買い物環境は、資産価値の差に今後大きな影響が出てくるでしょう。

また、インフレによる建築費の高騰が止まらい状況では、中古市場の拡大傾向続くと予想されます。

新築着工数が大幅に減少している一方で、住宅購入に占める中古住宅の割合は増加しています。

市の調査資料から、住宅購入者の典型像は37歳、世帯年収751万円となっており、売却時の想定購入者層の参考になります。

現場からの現実的なアドバイス

20年以上この業界で仕事をしてきて、不動産売買で最も重要だと感じるのは「タイミング」です。

相続まで保有するという選択肢も確かに税制上のメリットがありますが、実際の管理負担や将来の「争族」リスクを考えると、多くの場合は早期売却の方がトラブルが少なく、現実的です。

特に、宇都宮市内でも郊外の住宅地や築年数の古い物件については、今後、需要が激減していく可能性が高いです。

市内中心部への集約化が進む中で、郊外の住宅地は確実に価値が下がっていくでしょう。

逆に、JR宇都宮駅徒歩圏内やLRT沿線の好立地の物件であれば、保有を続けても一定の価値維持が期待できます。

ただし、それでも管理の手間と費用は継続的にかかることを忘れてはいけません。

また、親御さんの介護費用の観点からも、早期の現金化は有効です。

介護にかかる費用は予想以上に大きく、現金があることで質の高いサービスを受けられる選択肢が広がります。

まとめ:データが示す宇都宮市の現実を踏まえた判断を

宇都宮市が公表しているデータが明確に示すように、市内では空き家が急激に増加する一方で、居住誘導区域を中心とした都市機能の集約化が進んでいます。

単身高齢者世帯は22,505世帯に達し、今後さらなる空き家増加が予想される中で、需要はどんどん先細っていくことから、早期の決断がより重要になっています。

市内でも地域格差は歴然としており、交通利便性の高いエリアと郊外エリアでは、不動産需要に大きな開きが生まれています。

人口密度の低下と市域拡散が進む中、将来性の乏しいエリアの空き家は確実に価値下落のリスクを抱えています。

そのため宇都宮市の実家が空き家になった場合、多くのケースで「早期売却」が最も現実的な選択だと考えれます。

税制上のメリットだけでなく、管理負担の軽減、現金化による介護費用への充当、将来の相続トラブル回避など、総合的なメリットが大きいからです。

ただし、立地や築年数、家族の状況によって最適解は異なります。

居住誘導区域内の立地で交通利便性が高く、築年数の比較的新しい物件であれば、保有を続ける選択肢も十分に検討価値があります。

大切なのは、宇都宮市内の地域の将来性を冷静に分析し、感情論ではなく客観的な判断を下すことです。

何も決めずに放置すれば、空き家の管理コストは確実に発生し続けますし、建物の老朽化も待ってくれません。

20年以上この業界で仕事をしてきて確信していることは、不動産の問題は「先延ばしすればするほど選択肢が減る」ということです。

市の住生活マスタープランのデータが示す厳しい現実と向き合い、家族でしっかりと話し合って方向性を決めることが、最も大切なのではないでしょうか。


今回の内容が、皆さまの大切な実家をどうするかという重要な判断について、少しでもお役に立てば幸いです🙌

 

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★荻原功太朗の業務について★

株式会社サンプラン所属。資産家の皆様を対象とした、「増やすよりも、守る」を目的とした、宇都宮市内での不動産の売買・運営・管理・資産保全をサポート。他にも2つの法人の役員を兼務。不動産売買のご相談についても、ご指名頂ければ、できるかぎり対応させて頂きます。

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