【現実の危機!運転手不足で、宇都宮市のバス路線崩壊は待ったなし?】LRT西側延伸も不透明で、早期の方向転換が不可欠か!?

2025年8月24日日曜日

宇都宮市のLRTについて 宇都宮市の不動産と街の動向 不動産投資・大家さんネタ 不動産売却

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このブログで何度も警告してきたLRT西側延伸計画の延期が現実となってしまい、深刻な公共交通の問題が宇都宮市を襲おうとしています。

それは、全国で急速に進行しているバス運転手不足による路線崩壊の危機です。

→「バス担い手不足」9割 県職員や建設会社、兼業で補う 都市交通の実相 (日本経済新聞)

記事の中で、日本バス協会の清水一郎会長は「人手不足の抜本的な解決策は自動運転しかなく、30年までに当たり前になっていなければならない」と話していますが、全く現実的ではありません。

過去ログ→【宇都宮LRT西側延伸の代替案として自動運転バス導入の可能性は?】LRTと比較した5年間の総コストを比較してみたら・・!?

今回は、この二重の危機が宇都宮市に与える影響と、現実的な対応策について考えてみたいと思います。

全国で現実化するバス路線の崩壊

日本経済新聞の最新調査によると、主要都市の9割超が運転手・整備士などの不足をバス交通の課題に挙げています。

日本バス協会は、2030年に必要人員の3割にあたる3万6000人が足りなくなると予測しており、これは単なる数字の問題ではありません。

実際に東京都練馬区の光が丘駅では、2024年春に国際興業が運行する土支田地区のバスが廃止されました。都内でさえこの状況です。

北海道北部の中頓別町では路線バスが廃止され、地元の建設会社がスクールバスを走らせているという、まさに綱渡り状態です。

バス運転者の平均年齢は55歳で全産業平均より11歳高く、平均年収は463万円と64万円低い一方で、労働時間は16%長いという厳しい労働環境であり、今後も深刻な運転手不足が続くのは明らかです。

さらに「2024年問題」により時間外労働の規制が強化され、路線維持はますます困難になっています。

宇都宮市も例外ではありません。

市内のバス路線も同様に運転手不足に直面しており、すでに大幅な減便が行われていますが、今後は減便だけでなく、路線選別を余儀なくされ、廃線も現実的になってきます。

特にLRT西側延伸が延期された今、西側地域の住民はバス路線への依存度がさらに高まることになりますが、高齢化の進む中で公共交通の縮小は大きな痛手です。

LRT西側延伸の現実的な実現可能性

先日報道されたLRT西側延伸の「開業時期未定」について、多くの市民は「いずれ実現する」と期待を抱いているかもしれません。

しかし、過去の大型プロジェクトの延期事例を詳細に分析すると、非常に厳しい現実が見えてきます。

日本経済新聞の調査では、現在進行中の市街地再開発事業のうち、8割弱で完了時期の延期や費用の増加が起きており、見直した計画の平均で期間は2.7年延び、費用は2割膨らんでいます。

一度延期となったプロジェクトが最終的に実現する確率を、経済情勢の変化、技術的要件の変化、政治的環境の変化、関係者の状況変化などの要因から総合的に分析すると、最終的な実現率は20-30%程度と推定されます。

つまり、延期となったプロジェクトの7-8割は最終的に中止または大幅な計画変更を余儀なくされるのが現実なのです。

宇都宮市でも、JR宇都宮駅東口の再開発で目玉とされていたラグジュアリー高層ホテルの計画が頓挫し、その後一向に再開発の目処が立っていないという苦い経験があります。

LRT西側延伸も、事業費が当初400億円から700億円へと大幅に膨張し、さらなるコスト増が避けられない状況では、同じ道を辿る可能性が高いと言わざるを得ません。

バス路線再編による西側地域の交通弱者化

LRT西側延伸が実現困難な状況で、バス運転手不足が深刻化すれば、駅西側エリアは確実に交通弱者が増加します。

現在でも朝夕の通勤・通学時間帯の運行維持に苦労している状況で、今後さらに運転手不足が進行すれば、減便や路線廃止は避けられないでしょう。

特に深刻なのは、高齢化が進む住宅地での生活交通の確保です。

車に頼れない高齢者にとって、バス路線の減少は生活そのものを脅かす問題となります。

しかし、現実問題として運転手が確保できなければ、路線を維持することは不可能です。

福井県では県職員が兼業で路線バスを運転する制度を始めましたが、これは緊急避難的な措置であり、根本的な解決策ではありません。

宇都宮市も同様の状況に陥る前に、抜本的な対策を講じる必要があります。

東側LRT沿線への資源集中が現実的選択

この厳しい現実を踏まえ、宇都宮市が取るべき戦略は明確です。

LRTの西側延伸は一旦、長期目標として出直し、既存のバス路線の維持や再編策を早期に策定するべきでしょう。

そして、コンパクトシティ構想を進めるためにも、しばらくは既に成果を上げているLRT東側路線に開発資源を集中させることです。

東側集中戦略の合理性

まず、宇都宮市の税収構造を考えてみてください。

多くの企業が市の東側に立地し、清原工業団地や芳賀・高根沢工業団地など、重要な産業拠点はすべて東側にあります。

LRT沿線にはさらなる産業団地の開発計画もあり、税収面でも東側の重要性は圧倒的です。

既に開業しているLRT東側路線は初年度から黒字を達成し、沿線の地価上昇や企業進出など、目に見える効果を上げています。

この成功している路線の機能を強化することは、限られた予算で最大の効果を得る最も合理的な選択です。

具体的な改善策

現在、LRT東側路線では朝夕のラッシュ時に、多くの利用者から不満の声が聞かれます。

まずは車両を増やし、運行本数を増加させることで輸送力を増強すべきでしょう。

実際、宇都宮市は2024年2月に車両2編成の追加導入を決定しており、費用は総額15億円(1編成約7.5億円)となっています。

これは当初の車両価格約4.3億円から→15億円 と、7割もの値上がりという衝撃的な価格上昇を示しています!

円安と資材費高騰により、わずか数年でこれだけの価格上昇が起きているのです。

この現実こそが、車両の早期確保が重要である理由を物語っています。

インフレと円安が続けば、車両価格はさらに上昇する可能性が高く、将来購入するほどコストは膨らみます。

西側延伸には「あと10編成程度は必要になる」とされており、西側延伸が実現した際にも、これらの車両はそのまま活用できます。

つまり、現在の車両増備は無駄ではなく、むしろインフレヘッジとしての意味も持つのです。

また、検査体制の課題もあります。

LRTは2023年8月に全線開業したため、すべての電車がほぼ同時期に4年、8年ごとの定期検査に入ることになります。

この検査は2カ月程度かかるため、運転ダイヤに支障を来さないよう、追加車両による余裕が不可欠です。

西側延伸の700億円という巨額投資が不透明な中、車両の先行確保は現実的で賢明な戦略といえるでしょう。

価格がさらに上昇する前に必要分を確保し、東側路線の利便性向上を図りながら、将来の延伸にも備える。

これこそが限られた予算を最大限活用する方法ではないでしょうか。

さらに、沿線の不動産開発をセットで進めることにより、大きな経済活性化の相乗効果を期待できます。

産業団地の開発、商業施設の誘致、住宅開発を東側LRT沿線に集中させることで、コンパクトシティ構想の実現にもつながります。

不動産相場から見た現実的判断

不動産相場の観点から見ても、東側集中戦略は理にかなっています。

LRT西側延伸の延期により、駅西側地域はバス路線も近い将来に限界を迎えることは明らかで、長期的な衰退要素が増えてしまいました。

駅西側が直面している厳しい現実を見てみましょう。

まず、LRT延伸計画の不透明化により、長期的なインフラ整備への期待が大きく後退してしまいました。

加えて、東武宇都宮百貨店の先行きも不安視されており、地方百貨店の閉店が相次ぐ中、宇都宮も例外ではありません。

パルコ跡地のゼビオ再開発についても、スポーツ用品店を核とした施設では、かつてのパルコのような集客効果は期待しにくいのが現実です。

さらに深刻なのは、バス路線の減便・廃止リスクが高まっていることで、これにより西側地域では交通弱者が増加し、コンパクトシティ構想が大きく後退することが懸念されます。

一方、東側LRT沿線の状況は対照的です。

既に実証された投資効果により、継続的な地価上昇が続いています。

企業誘致の実績も着実に積み重なり、脱マイカーによる新しいライフスタイルの定着も進んでいます。

過去ログ→【LRTがもたらした宇都宮駅東エリアの新ライフスタイル!】不動産の現場ではさらなる相場上昇の兆しも!?

これらの成果は、東側への投資が確実にリターンを生むことを証明しています。

投資効率を考えれば、非常に厳しい決断ですが、既存のLRT沿線に開発資源を集中させる方が、宇都宮市が目指すコンパクトシティ構想に最も近づけるのではないでしょうか。

早期の方向転換が不可欠

長期的にはLRT西側延伸の可能性を完全に諦める必要はありません。

しかし、当面の10〜15年間くらいについては、現実的な選択をする時期に来ているのではないでしょうか。

緊急に検討すべき施策を考えてみましょう。

まず最優先は、既存のLRT東側路線に車両を増加し、輸送力増強することです。

これにより現在の混雑問題を解決し、利用者満足度を向上させることができます。

次に重要なのは、東側沿線への産業・商業・住宅開発の集中です。

限られた開発資源を効果的に配分することで、より大きな経済効果を期待できます。

同時に、駅西側地域のバス路線維持のための緊急対策も欠かせません。

運転手不足が深刻化する前に、福井県のような県職員の兼業制度のような創意工夫が必要でしょう。

また、高齢者向けデマンド交通の充実により、車に頼れない住民の移動手段を確保する必要があります。

さらに、自転車・歩行者インフラの整備により、短距離移動の選択肢を増やすことも重要です。

バス運転手不足という現実の危機は、5年後、10年後の話ではありません。

すでに始まっています。

LRT西側延伸という長期的な夢を追い続けている間に、目の前の公共交通が崩壊してしまえば、元も子もありません。

まとめ:現実と向き合い、時代に合った判断を!

LRT西側延伸を期待している皆さまには厳しい現実をお伝えすることになりましたが、供給制約という構造的問題は、期待や願望では解決できません。

LRT東側の成功体験が、かえって現実認識を曇らせている面もあるでしょう。

しかし、限られた資源を最も効果的に活用し、持続可能な街づくりを実現するためには、勇気を持って現実と向き合う必要があります。

東側LRT沿線への資源集中は、決して「諦め」ではなく、「選択と集中」による戦略的判断です。

既に成功しているインフラを最大限活用し、そこに人と企業と投資を集約する。

これこそが、人口減少・高齢化・供給制約という三重苦の時代を乗り切る、現実的で賢明な選択ではないでしょうか。


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